スーパーヒーローチーム「ジャスティスリーグ」メンバーについてよくわかる本

更新:2021.12.3

スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンたちのスーパーヒーローチーム「ジャスティスリーグ」のことがよくわかる本をまとめてみました。

ブックカルテ リンク

ジャスティスリーグとは

スーパーヒーローのなかのスーパーヒーロー、スーパーヒーロー代表「スーパーマン」と、特殊能力皆無なのに金と努力でスーパーヒーローの頂点に上り詰めた裏番長「バットマン」。アメコミ市場を『アベンジャーズ』のマーベル社と二分する大勢力「DCコミック」社の看板ヒーローであるこの2人はよく知られています。ジャスティスリーグは、彼らを中心にヒーローたちを団結させたらどうなるか、という幕の内弁当的な企画として始まりました。

いまやアメコミ映画の代名詞となった「アベンジャーズ」より、実はジャスティスリーグの方が歴史は古いのです。

映画『バットマンVSスーパーマン』で華やかに登場したワンダーウーマンは思い出せるかも知れませんが、他に誰がいたっけ?という人はいませんか。

ジャスティスリーグの主要なメンバーは次の通り。地球を瞬時に何周もできるほどの超高速を誇るフラッシュ、海の支配者アクアマン、あらゆるものを具現化できるスーパーパワーを秘めたリングを持つグリーンランタン、機械の体を持つそのまんまの名前のサイボーグ…。この他にもアベンジャーズと同様にメンバーは流動的で、時代ごとに人気キャラも異なります。

彼らの活躍をコミックスで読みたい!と思ったら、ぜひ今回ご紹介する作品を参考にしてみてください。

半世紀にわたる歴史をリセット。入門者向けのシリーズ

著者
ジェフ・ジョーンズ
出版日
2012-12-15

コミックスの世界でのジャスティス・リーグは、上の「ジャスティス・リーグとは」で書いたとおり、アベンジャーズよりも歴史のある老舗チーム。

関連作も多数刊行されていて、その深層を掘っていくのも楽しいのですが「現代の視点で気楽に楽しみたい」そういった入門希望者向けにオススメなのが本作。

コミックスと映画のストーリーが全然異なることの多いアメコミですが、それでもキャラクターの設定や物語が近い作品を見つけることはできます。コミックスをよむことで、ネタバレとは違う「どの設定が採用されているのか」を予想するという楽しみ方も可能になります。

そこで本作ですが、コミックスをまったく知らない人々を観客として動員したい製作陣が元ネタにしそうな内容です。スーパーマンやバットマンの名前を知っている人こそ多数派ですが、アメリカ本国での彼らの活躍、それも単体での活躍ならいざ知らず「ジャスティス・リーグ」としての活動をフォローしている人は稀でしょう。つまりこのシリーズと映画は共通の目的を持っているということになります。

そんなわけで、本作ではタイトルどおりジャスティス・リーグの「誕生」が描かれています。この「誕生」の冒頭第1話は、あとでに紹介する『DCコミックス アンソロジー』にも収録されていますが、「コウモリ衣装のただの男」で警察に追われているバットマンと、リングの力でほぼ何でもできるグリーンランタンの出会いが描かれています。

「お前になにができるんだ?ふざけんじゃねえ」と言うグリーンランタンの油断をついて、目の前でリングを奪い取るバットマン。スーパーヒーローの超人的なパワーには痛快なカッコよさがありますが、やっぱりバットマンのような常人がスーパーパワーを凌駕する瞬間はさらに爽快。ジャスティス・リーグの中で彼がスーパーマンに並ぶリーダーとして重要なポジションを占めているのも納得ですね。

日本では馴染みの薄い「グリーンランタン」をはじめ、本作から追っていくと映画から入ったファンもメンバーの性格や位置づけがわかりやすいと思います。最近のアメコミは、解説が非常に充実しているので、読み物としても楽しめます。

スーパーヒーローたちの歴史を知る

著者
出版日
2016-03-16

映画版『ジャスティス・リーグ』に繋がると思われるコミックス版『ジャスティス・リーグ(New52!)』シリーズ第1話と、それ以前のスーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンたちの足跡を1冊で捕捉できるアンソロジー。映画で言えば予告編を集めたようなもの、お試し版の総集編といった内容です。

収録作のうちでもっとも古いのは1938年のスーパーマンの最初期の作品。ここから幾たびもの焼き直しを経て、21世紀のスーパーマンの世界が作られることになりました。時代ごと、作品ごとに丁寧な解説が付いているので、ヒーローたちが現実世界の変化の中でどのように描かれてきたのかを学ぶことができます。

映画版『ジャスティス・リーグ』で採用されている設定、映画独自の設定を比べて、なにが変わっていて、それがどうしてなのか、想像してみるのも楽しい筈です。

コミックスの世界は既にかなりたいへんなことになっている

著者
ジェフ・ジョーンズ
出版日
2016-12-14

ジャスティスリーグの入門編という側面を持ちながらスタートした「New52!」シリーズ、その邦訳版の最新刊では、ギリシャ神話の最高神ゼウスの娘でもあるワンダーウーマンが大活躍。

ジャスティスリーグが対峙するのは、異星の闇の神「ダークサイド」。もはやヒーローとかヴィランという次元ではなく、「神」が敵となり、ヒーローたちはほぼ歯が立たず呆然としながらも悪戦苦闘することになります。

映画の『バットマンVSスーパーマン』にも登場し、小悪党ぶりを披露した悪役「レックス・ルーサー」がこちらの世界ではヴィランからヒーローに転身し、「ジャスティス・リーグ」に加えてもらおうと大活躍してるのも胸が熱くなります。(どことなくマーベル社のアイアンマンに似たパワードスーツを着てるあたり、なかなかに味わい深いし、長年宿敵だったスーパーマンとの確執を含んだ共闘、わかりあえたと思った途端にスーパーマンがまさかの闇落ち…?!)

なおダークサイドは、マーベル社のスーパーヴィラン「サノス」の元ネタになったキャラクターで、現在のアメリカンコミックスで最も強大な力を持つヴィランの1人と言っていいでしょう。本作では、その最強の暗黒神ダークサイドを屠るべく現れた「反神」「破壊神」ことアンチモニターも登場。地球を舞台にした暗黒神VS破壊神の激闘が繰り広げられることに。人類を守るヒーローたちに希望はあるのか…というあらすじ。

作中で宇宙の真実にアクセスしたバットマンが「ジョーカーの本名は?」と問い合わせて真実を知り、ひとりで「そんな、ありえない」と驚愕するシーンがあるんですけど、その答えも気になりますね…。

完膚なきまでに追い詰められるヒーローたち

著者
["ジム・クルーガー", "アレックス・ロス"]
出版日
2016-11-30

スーパーヒーローたちは人類を超越した能力を持ちながら、人類を救うという。しかしそれは何故なのでしょうか。

「人類は自らの救済をヒーローたちに委ね切ってしまったのではないか?」という哲学的な問いを軸に、ヒーローたちの信頼を失墜させるためにヴィランたちが手を組んでしまうという最悪のシナリオ。

陰でヒーローたちを陥れ平和活動を妨げたうえで、これまで悪役とされてきたヴィランが「改心して人類を救う」というパフォーマンスを始めます。ジャスティス・リーグの基地すらもヴィランに侵入され、守るべき対象であるはずの人類からも疑いの目を向けられることに…。

人々を救ってきたヒーローたちが疑惑の視線にさらされ、団結をズタズタにされてしまいます。まるでマーベル社の傑作『シヴィル・ウォー』のような極限状態が描かれるのです。

『バットマン』シリーズの傑作『キングダム・カム』や、「ヒーローたちと人間」という同様のテーマを描いた大作『マーベルズ』の作者でもあるアレックス・ロスによる意欲作。克明で写実的な絵画を思わせるアレックス・ロスの画風ひとコマひとコマをじっくり眺めたくなるクオリティです。

最速の男「フラッシュ」が文字通り暴走するとどうなるか(スーパーマンでも追いつけない)とか、単なる海棲人類ではないアクアマンの凄さとか、ワンダーウーマンの「金色の縄」の地味な活躍など、ジャスティスリーグのメンバーたちについて理解するのにもオススメ。大作ですが2巻で完結なのもGood。

ジャスティスリーグ・ダーク!も登場

著者
ジェフ・ジョーンズ他
出版日
2015-06-24

パンドラの箱を巡ってスーパーマンが暴走、拘束されるという事態が発生。ジャスティス・リーグはスーパーマンとバットマンの「ジャスティス・リーグ」と、アメリカの公的組織である「ジャスティスリーグオブアメリカ」に分断されて衝突、さらにパンドラの箱の謎に迫るため、ワンダーウーマンはコンスタンティンらジャスティス・リーグ・ダークに協力を求めます。

ジャスティス・リーグ・ダークは、マーベル社のアベンジャーズで言えばドクターストレンジのような、オカルト系のヒーローたちが集まったチーム。代表格は、キアヌ・リーブス主演で映画化もされカルト的な人気を誇る「コンスタンティン」。このご時世に肺癌のリスクを顧みずに堂々とチェーンスモーキングする生粋のダークヒーローです。

ワンダーウーマンがゼウスの娘であることや、パンドラの箱も登場し、ギリシャ神話をちょっと知ってると楽しめる作品でもあります。(時系列的には上掲の「ダークサイド・ウォー」よりも前ですが、インパクト的にはパンドラよりもダークサイドのほうがどうしても大きいので、こちらは後回しにしました。)


Photo:(C)2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC AND RATPAC ENTERTAINMENT, LLC

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る