今や時代は「枯れ専」。 10代から30代の女性たちがハマるのは、同世代の男性ではなく、自分より20歳以上も離れた年上のオジサマたち。 人生経験を重ねてきた男性だけが醸し出す、包容力や信頼感に、若い女性はいつしか夢中になっていく。 枯れ専女子のための漫画。 そう。 それは、年上好きの女子だけではなく、なぜか女性にモテないと悩んでいる男性にこそ読んでほしい、「ホンモノの男の良さ」がわかる本なのである。
初めてこの本を見つけたとき、戸惑った。
「娚」。
この字面を見るのは、その時が初めてだった。
さらに、「老けた男性」の絵。
手に取るべきか、止めておくべきか…。
そうして、買うことを決めたこの本に、私は驚くほど惹きこまれていくことになる。
- 著者
- 西炯子
- 出版日
- 2009-03-10
後から知ったことなのだが、「娚」の訓読みは、「めおと」。
作者は、どんな意図を込めて、敢えて見慣れないこの字を使ったのだろう。
その答えは、スピンオフ作品を含めて、全4巻で描かれるこの本の中にある。
この漫画の主人公は、30代の少しワケありの女性である。
そして、さらにワケがありそうな、50代の関西訛りの大学教授が登場する。
「運命の糸」で結ばれた…と無邪気に信じられるほど、もう若いわけではない主人公に、「クモの糸」のように巧みに絡みついていく年上男性の何とも言えない色気。
読者は、決して目を離すことができなくなってしまうのだ。
「女」とは?
「男」とは?
そして「めおと」とは?
2015年2月、榮倉奈々&豊川悦司で映画化。
枯れ専のバイブルともいえる話題作となった。
今、時代は「枯れ専」ブーム。
その全ての始まりはこの本にあると私は信じている。
もし、誰かに、年上男性の魅力を説明する必要があるのなら、迷わずこの漫画を手渡してほしい。
- 著者
- オノ・ナツメ
- 出版日
- 2006-05-18
舞台はイタリアのとあるレストラン。
そこは、まるでユニフォームのように老眼鏡を身に付けた紳士たちの住む「パラディーゾ(楽園)」だった。
実は、私は、決して、「枯れ専」ではない。
けれども、この本に出てくる老紳士たちは、とにかく色っぽいのである。
芥川賞作家でもあるブルボン小林氏が「マンガホニャララ」の中で、この本を「女にモテる漫画」であって、「これを読めば女にモテる」のではない、と語ったという。
なるほど。
全くその通り。
でも、女性の私としては、それがわかっていても、敢えて言わせてもらおう。
男性諸君、どうかこの本を読んで、本当に女性が求めている、真の「モテる」男になってほしい。
「リストランテ・パラディーゾ」には、関連作がある。
それが、この「GENTE」である。
- 著者
- オノ・ナツメ
- 出版日
- 2007-08-28
時々、ふと思うことはないだろうか。
上手くいかない仕事。
終わりの見えない家事。
カッコわるい日常から、現実逃避したい。
そんなときに、読む本は、スカッと爽快な現実離れした本なのだろうか。
そう考えたとき、私は、いつも少し地味なこの本が脳裏によぎるのである。
年上のカッコいいオジサマたちも、初めからそうだったわけではない。
きっとその素敵な姿になるまでには、たくさんのカッコわるい日常をたくさん乗り越えてきたのだろう。
枯れ専であろうがなかろうが、女性であろうが男性であろうが関係ない。
老紳士から私たちが学ぶべきものは、まだまだたくさんあるようだ。
14歳と59歳。
その設定に、躊躇した。
これは、「犯罪」ではないのか。
ましてや、59歳の彼は警察官なのだから。
いや、違う。
これは、まさしく、幻想、妄想、「ファンタジー」である。
- 著者
- 御徒町 鳩
- 出版日
- 2012-09-20
年の差さえあれば、どんな話でも構わない、というのは、本当の「枯れ専」女子ではないだろう。
年が離れているのに、いや、年が離れているからこそ、通い合う心。
その二人の姿をきちんと描いた漫画でなければ、納得のいく作品とはいえない。
相手の気持ちがわかればいいのに。
普段、そんなことを考える機会は少なくないだろう。
この漫画の主人公は、人の心を読むという特殊能力を持っている。
包容力、哲学、そして、いつまでも少年のような恋心を持ち続ける年上男性の心に直に触れて、少女は何を知っていくのか。
私たちも、この「ファンタジー」の世界にどっぷりと浸ろうではないか。
「Love,Hate,Love.」
愛と憎しみ。
その二つの感情は、遠くて近い。
二回り、24歳の年の差だって、実は、とっても遠くて近いのかもしれない。
- 著者
- ヤマシタ トモコ
- 出版日
- 2009-09-08
年上男性の魅力は、優しさや経験、強さや揺るがなさだと思っていた。
でも、この漫画を読んで、本当は違うんじゃないかな、という気がしてきた。
何事にも動じないはずの枯れた男性たちが見せる「意気地なし」なところに、母性本能をくすぐられない女性は、決していないはず。
これらの漫画を読んでみて、今、「枯れ専」がブームなのは、もしかすると「草食系男子」に飽きた女性たちの反乱なのかもしれない、と考えた。
もう老いて枯れている、と思われる年なのに、新たな恋に一歩を踏み出そうとする年上男性たち。
その姿は、特に、能力のある女性の恋愛感情を、強烈に刺激するのではないだろうか。
命のある限り、恋を謳歌したい。
それは、まさに、遺伝子に組み込まれた本能の叫びなのだから…。