どうも、わちゅ~さんです。私は、非現実的なモノが大好きです。
「うわっ!! 人形が喋ったぁあぁあぁぁあっ!!!」とか、「うおっ!!! あんた魔法だせんのかい!!!」のように、現実離れした世界観に魅力を感じます。夢を見たいお年頃のようですね。てへっ。
今回ご紹介する5冊は、動物や人形といった人間以外が主人公として登場する作品です。決してメルヘンチックなお話というわけではなく、作品自体は推理小説だったり恋愛小説だったりと様々。
人間以外が主人公といえど、現実世界と同様に言葉を発することもありません。言い換えれば、ファンタジックな視点で書かれた現代小説です。作品そのものはフィクションですが、現実世界の物語を人間以外の視点で読み進めていくという斬新さが癖になります。皆さんにも気に入って頂ければ幸いです。
パーフェクト・ブルー
もはや説明不要の著名作家、宮部みゆきさんの記念すべき長編デビュー作! 1989年に刊行され、今もなお色あせることのない作品でございます。宮部みゆきさんは、私の最も好きな作家さんです。文庫化されている作品は、すべて読破しました。中でも今作は、すごーく宮部みゆきさんらしい作品だと私は思います。
主人公は、元警察犬のマサ。現在は第一線から引退し、とある探偵事務所のペットとして暮らしています。そんなマサの視点で、物語は進んでいきます。犬目線ではありますが、三人称のような感覚で書かれているので読みやすい作品です。
物語は、高校野球界のスター、諸岡克彦が全身にガソリンをかけられ焼死するというショッキングな事件から始まります。しかーし! 読み進めると、あら不思議。シリアスな物語が始まるのかと思いきや、そんな重苦しさを感じさせない展開が待っています。社会性のある重いテーマが、犬視点のコミカルな語り口によって見事に中和され、非常に読みやすくなっています。これぞ宮部みゆきマジック! 恐れ入った!!
この作品の見どころは、やはり主人公のマサにあります。警察犬ならではの鋭い観察力、推理力は見物です! しかし、犬であるため言葉を発することができません。なので、鳴き声や行動でどうにか伝えようと試行錯誤します。このストレートに伝えられないもどかしさが、より一層物語を面白くしています。他にも、事件の展開のドキドキ感や個性的な登場人物など、見どころ満載です。
この作品には続編があり「心とろかすような」という短編集が出版されています。もちろん主人公はマサで、他の登場人物や世界観もそのまま。今作を気に入った方は、ぜひそちらも手に取ってみてください。マサシリーズ、非常に見応えがあります。さらなる続編が出ないかなぁと、密かに期待しております。
……ん? そういえば、この作品の主人公は犬。私のバンド名は「Thinking Dogs」。あらま、「犬」つながりですわね。前回の記事に引き続き、奇遇ですこと。やっぱり私って犬に縁があるんですね。ははは。
長い長い殺人
宮部みゆきさん2連続! ひゅーっ!! 本当は、今回ご紹介する5冊とも異なる著者の作品にしようと思っていたのですが、これをハズすわけにはいかない。だってこの作品、主人公が財布なんですもの。財布ですよ財布!! 登場する様々な人物の財布視点で物語が進んでいきます。斬新すぎるやないかっ!!! 過去に例を見ぬ設定でございます。
今作は、殺人事件を取り扱ったミステリー。主人公の財布たちが、物語の魅力をさらに引き立てています。財布の視点なんて想像したこともなかったため、切り口がすべて新鮮! 例えば、バッグやポケットにしまわれてしまえば、会話は聞こえど顔は見えず。人に声をかけようにも財布だから喋れない。
いやはや、確かに財布の身になってみればそうだよなぁと納得してしまいます。一見不利に思えるこの設定を巧みに利用し、事件の謎をさらに深めてくれます。点と点が次第に繋がっていき、事件の真相に迫っていく様は圧巻の一言!
宮部みゆきさんの作品は、非常に読みやすいモノばかりです。ストーリーの面白さ、登場人物の個性、想像しやすい描写、どれをとってもピカイチ! 今回の2冊以外にも、ご紹介したい作品が多数あります。もう宮部みゆきさん特集でも組んじゃおうかしら!!! それほど面白い作品だらけで、新作が出るのをいつも心待ちにしております。