『タッチ』の作者あだち充のおすすめ作品ランキングベスト6!3位は『H2』

更新:2021.11.30

南ちゃんでお馴染み『タッチ』の作者あだち充。1位はやっぱりあの作品? 今回ランクインしたのは、どの6作品? 答えは記事の中にありますよ。それでは、あだち作品6作、お楽しみください。

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数多の青春を描き出す作家、あだち充とは?

そのやわらかい線で描かれた繊細な作風から、少年誌だけでなく、少女漫画誌や学年誌などでも掲載され、幅広い層に指示される漫画家となっている人物あだち充。代表作は『タッチ』『みゆき』など多数。この2作品は、1982年に小学館漫画賞少年少女部門を受賞しました。

特に女性の体の曲線には定評があり、度々描かれる女性キャラクターの着替えのシーンなどは見せ場の一つとなっています。少女漫画であってもそういうシーンが出てきたりします。とにかく女性の体のラインを描くのが上手なのです。

原作のあるもの以外は、ほぼ全て同じ世界観を持ち合わせているといわれており、一環して現代的な日常の風景の中で物語が進行していきます。特にスポーツをからめた青春ラブコメを描く作品は、設定や時代は少々違っていたとしても、同じ匂いがするといいますか、これぞあだち充ワールドといった世界観で物語が展開していきます。

6位:妹萌えの元祖?『みゆき』

著者
あだち 充
出版日


あだち充の代表作としてあげられる作品で、妹萌えの先駆けとも言われています。主人公と二人の魅力的なヒロインが織り成す青春模様は、まさにラブコメ作品の醍醐味と言えます。

主人公である若松真人はある日、海外から6年ぶりに帰国した血縁関係のない妹若松みゆきと一緒に生活することになり、徐々に妹である彼女に惹かれていってしまいます。しかし真人は同級生である鹿島みゆきにも憧れを抱いており、彼女もまた真人に気があるようなのです。と、こうして真人と二人のみゆきの三角関係が始まっていくことになります。

物語を要約するならば、二人のみゆきが真人の事を好きになり、真人も二人のことが気にかかる、さぁどちらを選ぶことになるのかな?という話です。この作品の最大の魅力は、何と言ってもその素晴らしい最終回でしょう。3人の結末がはっきりと描かれていますし、この作品らしいほのぼのとした幸福感を感じさせます。そしてあだち充らしく、多くを語らずに人物の表情と風景でその先を語らせるように物語が幕を閉じていく様は、読者に先を想像して楽しませるという粋なはからいなのかもしれません。

最終回には、テレビアニメ版のエンディングテーマ「思い出がいっぱい」の歌詞が使われており、その感動的な歌詞の内容と物語が絶妙にマッチしたことで、多くのファンに大きな感動を与えました。今もなおファンを増やし続ける名作です。

5位:亡き幼なじみの思い出と共に紡がれる四葉の物語『CROSS GAME』

著者
あだち 充
出版日
2014-06-12

四葉のクローバーをモチーフにした4姉妹と、主人公樹多村光(コウと読みます。)を中心に繰り広げられるあだち充の真骨頂。野球+青春+恋愛漫画を楽しめます。

スポーツ用品店の息子樹多村光は、バッティングセンターを営む月島家の四姉妹とは幼なじみ。しかし特に親しかった、というか両想いだった次女の若葉が、ある日河川事故で亡くなってしいます。そして成長し高校生となった光と、若葉の妹である青葉の恋愛模様が、亡き月島若葉の思い出と共に綴られていきます。

三女青葉は姉の若葉が大好きでした。だからその姉を独り占めしていた光のことが最初は大っっっ嫌いなのです。徐々に自分の気持ちに素直になり始めますが、でもやっぱり最後までツンツンしてます。そのためツンデレ作品として名前があがることもあるのです。

物語序盤は、高校でピッチャーとなった光が、分かりやすいほど嫌味な先輩や監督と対決してそれを打ち負かしていきます。そして中盤以降、それをきっかけにまとまったナインを率いて甲子園を目指すという部分もまた、王道の野球漫画の様相を成しています。

そういった意味では野球漫画としての見応えも十分なのですが、この作品の大きなポイントは、ヒロインである青葉も野球部員として野球をやっている、という点です。野球という舞台を使い、青葉の野球への熱意や想いをエッセンスに加えることで、光との恋愛模様を彩っていると言えます。恋愛感情を抱く相手としてだけでなく、同じ部活の仲間であったり、投手としてのライバルでもあるのですから。

野球部分よりもラブストーリー寄りの本作品は、野球に興味の無い方や知らない方にも楽しめる内容になっています。恋愛ときどきスポ根漫画として、みなさんにも是非楽しんで頂きたい作品です。

 

『クロスゲーム』については以下の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

漫画『クロスゲーム』の登場人物を徹底紹介!青葉がかわいすぎてつらい。。。

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「週刊少年サンデー」にて連載されていた野球とラブコメを掛け合わせた作品『クロスゲーム』。作者は『タッチ』や『H2』といった野球漫画の名作を描いたあだち充です。今回は『クロスゲーム』に登場するキャラたちの魅力を紹介していきます。

 

4位:あだち充の代表作『タッチ』の26年後を読める!『MIX』

著者
あだち 充
出版日
2012-10-12

舞台はあの名作『タッチ』から26年後の明青学園。名作の世界を受け継いだ、精神的続編として注目を浴びるファン待望の作品です。

類まれな投手としての才能を持つ立花投馬と、捕手の立花走一郎。義理の兄弟である彼らが中学2年の頃から物語は始まります。投馬は、中学時代は先輩からの妨害やらなんやらで実力が出せずにいますが、やがてその力を存分に発揮し兄弟バッテリーとして活躍を始めます。そしてそこへ登場する、投馬にとってはこれまた義理の妹立花音美や、野球部マネージャー大山春夏。そんな彼らを中心として様々な人間関係が描かれていく群像劇ともなっています。

見どころはなんといっても『タッチ』との絡み。あの頃のあのキャラは出てくるのだろうかという期待が否応なしに高まります。実際に出てくるかどうかというのは見てからのお楽しみとなりますが、物語の内容は勿論、名作との共通点を探しながら読み進めるのも一つの楽しみ方ではないかなと思います。

さらに本作品で気になる部分はタイトルの『MIX』。主人公バッテリーの義兄弟という設定や、投馬と義理の妹立花音美との恋愛模様など、複雑な人間関係をミックスすることで物語が彩られていくという意味を示すのか、それは各々が読み、感じてみるしかないのかもしれません。いやしかし、実に気になるタイトルではないでしょうか。

名作『タッチ』の設定や登場人物が見え隠れする本作品は、野球部分がより強く描かれているという点でも共通点を見いだせます。あだち充が得意とする青春野球漫画の新しい境地が見れるのか、それとも懐かしくも王道の物語が見れるのか、期待を持たせてくれる作品となっています。

 

『MIX』についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

漫画『MIX』の見所を全巻ネタバレ紹介!『タッチ』続編は26年後の世界?

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2012年より漫画雑誌「ゲッサン」にて連載が始まった『MIX』。伝説の野球漫画・あだち充の『タッチ』の26年後の世界を描いた作品です。 2019年春にはテレビアニメの放送も予定されており、今チェックしておきたい漫画の1つ。今回は既刊分14巻を一挙ご紹介します。

 

3位:ちょっと切ない青春野球マンガ『H2』

著者
あだち 充
出版日
2009-05-15


 英雄(ひでお)と比呂(ひろ)二人のヒーローと、二人のヒロインとのちょっと切ない恋愛を描く傑作野球漫画。良い意味で期待を裏切ってくれたともいえる作品になることでしょう。

子どもの頃に出会った親友でありライバルでもある二人、国見比呂と橘英雄。やがて高校野球界で注目されるこの二人はちょっと複雑な関係にありました。英雄と比呂の幼なじみの雨宮ひかりは学校公認のカップル、そして数年前二人が付き合うきっかけを作ったのが比呂だったのです。

当時ひかりはチビだった比呂を男性としては意識せず、大人っぽかった英雄に憧れる少女でした。彼と親友だった比呂に紹介してもらい、ひかりと英雄は交際することになるのですが、時が経つにつれ成長した比呂は身長も伸び、よく見るとわりと男前。いつしか彼女の心は大きく揺れ動いていきます。橘英雄と国見比呂の間で揺れ動くひかりの心と、それと同様に、成長した幼なじみを好きだったことに気付いてしまった比呂の心。この二人の気持ちの行き先がこの物語の最大の見どころです。

超高校級の投手となった国見比呂と真の天才スラッガー橘英雄との戦いを描く野球漫画部分も濃厚に描かれ、終盤の甲子園での対決などは名シーンと言えます。しかしその背景に描かれている、二人のヒーローのひかりへの想いは、野球、そして甲子園という舞台を上手く使い、感動的でちょっと切ない締めくくりを迎えます。

この作品でも、登場人物に多くを語らせないあだち充の手法が盛り込まれていて、その独特な話運びによって描かれる登場人物の細やかな心情は、きっと読む人の心の琴線に触れることでしょう。是非みなさんにも、この暖かくも切ないラブストーリーを体感してもらいたいものです。

 

『H2』についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

『H2』5分でわかる魅力!英雄たちの野球と恋の青春漫画【ネタバレあり】

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『H2』は1992年から「週刊少年サンデー」で連載されていたあだち充の作品です。同じ名前の由来を持つ2人の少年と、彼らに関わる2人の少女を軸にした青春野球漫画となっています。高校野球の面白さ、四角に交錯する恋心、熱さと切なさがギュッと詰まった名作。本作の要素を1つずつ見ながら、その魅力をお届けしましょう。

 

2位:あだち充が選んだテーマは「水泳」!『ラフ』

著者
あだち 充
出版日

あだち充作品の中では珍しく、野球ではなく水泳を描いた作品。親が経営する和菓子屋が敵同士の二人。最悪に仲の悪い二人ですが、過去の接点や、部活での交流を経て徐々に近づいていきます。

和菓子屋「やまと」の跡継ぎであり、栄泉高校の競泳選手でもある大和圭介は、和菓子屋「にのみや」の一人娘二宮亜美とは犬猿の仲でした。過去の経緯により祖父の代からライバル同士の両家。親から恨みつらみをきかされて育った亜美は、一方的に圭介を嫌っていたのです。しかし実は二人は、幼いころ仲の良かった幼なじみ同士だったということが判明し……。

本作で描かれる、最初仲の悪かった圭介と亜美が、お互いの人間性に触れ徐々に惹かれ合っていくというラブストーリー。圭介が高校水泳界で活躍し、後にライバルとして登場する、日本記録保持者である仲西弘樹と水泳対決をしますが、それもまた二人の恋模様を彩る素材の一つとなります。

最大の見どころは、読者の評価も高い最終回。圭介に素直に好意を示すようになる亜美ですが、幼いころから知るお兄ちゃん仲西弘樹と圭介どちらを選ぶかの選択を迫られます。圭介と仲西の対決直前、亜美は答えを出し気持ちを伝えるのですが、二人には直接それが伝わらないまま物語は幕を閉じます。直接伝わってはいないけど、読者にはその答えがわかり、物語の行先を想像させてくれる——。そんな最終回となっています。

あだち充の作品に一貫して言えることは、はっきりと答えは語らせないけれど、それをわかりやすく読者に示すということではないでしょうか。彼独自の技法といってもいいかもしれませんね。本作品はそんなあだちワールドが味わえる作品に仕上がっていると思います。

1位:あだち充による王道青春スポ根漫画!『タッチ』

著者
あだち 充
出版日

言わずと知れた名作、あだち充といえばこの作品。交通事故により亡くなってしまった弟の意志を継ぎ、ダメ兄貴が幼なじみの女の子を甲子園に連れていくため高校球児となり奮闘する感動作。

グータラでいい加減なダメ兄貴上杉達也と、頭もよく運動もでき女子にモテモテの弟上杉和也。二人は双子の兄弟。そして才色兼備で非の打ち所のない美少女朝倉南。そんな幼なじみの三人が中学生になったころ、和也は幼いときに南と交わした「南を甲子園に連れて行って(『タッチ』より引用)」という約束を叶えるため野球に打ち込んでいて、その高い運動神経により高校からスカウトされるほどの才能を発揮していきます。しかしそんな矢先、和也は突然の交通事故によって若くしてこの世を去ってしまうのでした。

「きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。死んでるんだぜ。それで…(『タッチ』より引用)」

あまりにも有名な達也のセリフ。夢を叶えるための一歩を踏み出した矢先の和也の死は、多くの読者に衝撃を与えました。

そんな和也とお似合いだった南は、実は幼いころから達也のほうが好きだったのです。そして達也もまた南のことが好きでした。しかし弟思いの兄達也は、和也が亡くなってしまったことで南のことが好きだった弟に気を遣い、自分の本音を表に出さないようになってしまいます。

三人の幼なじみの野球への想いと、その原点となる朝倉南との約束を主軸に描かれる本作品は、野球漫画としての演出も見事です。最初は野球のやの字もわからないようなダメ兄貴達也は、徐々に弟を越えるほどの才能を発揮し、明青学園ナインからも信用を得ていきます。そうやって徐々にではありますが、南を甲子園に連れていくため、そして亡き弟の夢を叶えるため、死に物狂いの努力をして様々な強敵に打ち勝っていくのです。まさに王道を行くストーリーですね。

そんな王道の野球漫画である本作品は、登場人物の細かい心理描写がなされている作品でもあります。登場する人物たちの恋愛感情や、野球への熱い想いは、高校野球を舞台として描かれるこの青春漫画に素晴らしい色を添えてくれています。一度は読んで欲しい作品です。

あだち充作品における最大の魅力は、各キャラクターたちの心の動きです。絶妙な表情の変化や独特の言い回しで人物の心情を描き出す手法は、まさに青春や恋愛を描き出すには打ってつけといえます。ついつい感情移入してしまうこと間違いなしの作品です。

 

『タッチ』についてはこちらの記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

漫画『タッチ』の12の事実!あらすじ、声優、結末、その後などを紹介

漫画『タッチ』の12の事実!あらすじ、声優、結末、その後などを紹介

本作はかつて「週刊少年サンデー」で連載されていた人気漫画です。ラブコメと野球を両立させ、「スポ根」の概念を覆した野球漫画の金字塔。一定以上の年代にとっては、まさに青春そのものと言っても過言ではないこの作品を、余すところなくご紹介したいと思います。

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