私は空を飛ぶんだ。
思い出してみると、それからも一人で飛行機に乗っていくつかの国に行った。
ストックホルムでは中心地までのバスの中から見えた何気ない郊外の景色に息をのんだ。カンボジアの空港は夜でもやっぱり暑くて、空港を出ると高い位置からオレンジ色のライトがお客さんを待つトゥクトゥク運転手たちを照らしていた。
アラブの空港でのトランジット中、日本は真夜中なのにもかかわらずいつもと変わらないようなメールをしてくれた友達がいたりして、アラブでの私を驚くほど安心させた。
当たり前に意識のある自分と、
周りの人たち、外の空気、
いつもと同じ時間を過ごしているはずなのに、なぜこんなに愛おしく感じるのだろう。
一体私は何を見ているんだろう。
今月、飛行機に乗ってフランスに行く。
行ったことのある国にもう一度行くのは、はじめてのことなんだ。
今回はそんな飛行機でどこかへ行ってみたくなった本たちを紹介します。
どうしてもパリに行きたかった
- 著者
- 猫沢 エミ
- 出版日
- 2006-12-02
どんな場所にいても自分が自分であることは変わらない。
だけど気になるひとを知りたいように、好きになるかもしれない国を知りたい。
どんな性格でどんな怖さがあって、どんな美しい気持ちがあるのか。
もちろんそれは体感しないと分からないことである。
外国を、日本でない国をほとんど知らない高校一年生の私はどうしてもパリに行ってみたかった。
パリの街についてのこと、ひとのこと、フランス語のこと、ふと流れた音楽とか、気持ちのこと。パリで暮らしていたときの猫沢エミさんのことばで綴られた日記は、登校中の私にパリへ行く予行練習をさせてくれたみたいだった。
パリで一緒に暮らしていた猫さん、ピキも登場する!
落ち込んだときは地図を開く
- 著者
- 出版日
- 2016-10-14
私は地理が好きだった。
高校のときに地理の授業で使ったプリントや地図帳は引っ越しても本棚に並べている。
いろいろなことで落ち込んだときは地図を開く。
青い部分や緑、茶色の部分、地球にはいろんな場所があってそこに住んでいる人がいる。
同じ時間がみんなに流れている。
先日、時間も気持ちもなんとなくギリギリの朝に谷川俊太郎さんの「カムチャッカの若者がきりんの夢を見ているとき」とはじまる詩を思い出した。
私がこうしている裏で誰かが川のほとりで笛を吹いていたり、白熊がこぐまに別れを告げたりしているかもしれない。
はぁ、そう考えたらなんだか泣けてくる。大好きな地図帳。
もちろん日本地図も楽しい。