電子書籍界に革命を起こした鈴木みそのおすすめ漫画5作品!

更新:2021.12.16

自ら電子書籍を配信し、大成功!出帆業界に激震を与えた鈴木みそのおすすめ5作品ご紹介します。

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電子書籍という新しい道を提示した鈴木みそ

鈴木みそは日本の漫画家です。ゲーム雑誌で仕事をしていましたが、持ち込んだ漫画が穴埋めとしてビックコミックスピリッツに掲載されたことで漫画家デビューを果たしました。

1993年に仕事を全て休み、アジアを1年旅した旅行記を連載したり、高校生向けの科学の漫画を描いたりと、自身の経験に基づいて、また取材を通して描いた作品が多くあります。
 

ゲーム雑誌で連載され人気になった鈴木みそのルポ漫画

ゲーム雑誌に掲載されていたこの『おとなのしくみ』は、業界の裏側など、さまざまな大人の仕組みについて取り上げたルポコミックです。インターネットがまだ発達していなかった時代に、ゲーム業界の裏側を切り込んで紹介していくスタイルが人気を博しました。声優業界の事情など、一般人には垣間見ることのできない世界を漫画で読めるので、ゲーム雑誌でもかなり評判だったそうです。

著者
鈴木 みそ
出版日


5年後のゲーム業界はどうなっているか?と鈴木みそが予想するのですが、これが全くの外れではなくなかなか興味深いものです。例えば、1995年に掲載された100話での予想。2000〜2005年がどうなっているかの予想に、主流が携帯ゲーム、電話会社が主力になる、との予測をしているのです。携帯ゲームは当時DS、PSPなどが主流でしたね。先見の明があるな、と感心します。この時代を先取っていくスタイルが、のちの電子書籍への道につながっていったのだろうか、と感じさせる作品です。

裏話を鈴木みそから聞こう!おすすめサブカル漫画

こちらもゲーム雑誌で連載されていた作品です。『おとなのしくみ』以前に連載されていました。1ページにたくさんのコマを割り、情報をいっぱいいっぱいに詰め込んだこの漫画も、サブカルチャー過渡期の時代を語る上で外せない作品ではないでしょうか。 

あんたっちゃぶる1

鈴木みそ
鈴木みそ


アニメ業界の裏話、例えばどうして女の子が銃を持って戦うのか?どうして彼女たちは薄着なのか?など、鈴木みその疑問にその道のプロが答えてくれます。今となっては珍しいセル画の資料が載っていたりと、ゲーム好きだけではなくアニメや漫画に通じている人ならとても楽しめるものです。

もともと鈴木みそは編集兼ライター兼イラストレーターというスタンスを取っていたため、まるでその場で取材を聞いているかのような臨場感もあるのが面白いところです。自分もこっそり裏話を聞かせてもらっているような気分になれるのも、魅力の一つなのかもしれません。スーパー・ファミコンが出る前、と言われると懐かしさを感じる方も多いのではないでしょうか?時代が違う、という方も、こういう時代を経て今の業界になったんだと歴史を知ることのできる作品です。

鈴木みそのディープな知識が読めるおすすめ漫画

マニアックな知識、業界の裏話は『おとなのしくみ』『あんたっちゃぶる』でも変わらないスタンスですが、この『オールナイトライブ』はもう少し踏み込んで、鈴木みそが感じたこと、経験したこと、問題の提示などを、実際に主人公となってルポ形式で書いた漫画。ゲーム専門学校の実情からおしりの拭き方まで幅広くテーマを選んで描いていますが、その中でも考えさせられるのが「バカフリーの街」です。

著者
鈴木 みそ
出版日


この話は、エレベーターは設置されるが、ぎゅうぎゅう詰めの電車の現状は変わらない、しかしそれでもバリアフリー対策は一応されてはいるという考えはどうなのか、という問題提示から始まります。そこから空想の「バカフリーの街」の話が始まります。

その街ではなんでも何かをガイドする看板だらけ。子供から高齢者まで、誰でもわかりやすくガイドをしなければいけない、という法律ができたからです。鈴木みそが奥さんと喫茶店に入ると、「これは机です」と書かれた注意書きから始まり、ウエイトレスは担当名、年齢まで名乗り、メニューには生産地から味わい方まで事細かに書かれているので分厚くなっています。野球の解説だって、いちいち用語の説明からしなければなりません。

大変な世の中になったと漫画の中で鈴木みそは言います。問題提起をしていながらも、結局は解決してはいない。むしろ害が出てきていることに、これではよくないと訴えかけているのです。この漫画は昔のものですが、現代社会は割とこの『バカフリーの街』に近づいてきているような気がします。もっと知られてほしい鈴木みその社会的視点が光った作品です。

自費出版の実体験を漫画に

鈴木みそは電子書籍で大成功した漫画家ですが、その道は簡単ではありませんでした。そしてそのIT産業の模様を実体験をまじえ描いたのがこの『ナナのリテラシー』です。

主人公はPC部に入部しているナナ。中高一貫なので4年生です。職業体験をすることになり、先生の勧めもあって向かった先は「ろくでなしの天才」がいるコンサルタント会社でした。ナナはここでの職業体験を通じいろんな世界を見て、成長します。

著者
鈴木みそ
出版日
2014-01-25


第1巻のストーリーは、その会社で行う「鈴木みそ吉」という漫画家の電子書籍のセルフ出版の仕事を間近で見る、というもの。まさに鈴木みそが実際に経験したことです。価格設定、印税の計算など、実際に電子書籍を出したい、と考えている人なら参考になるかと思います。また同時に、出版業界の現実も垣間見えるのです。出版業は苦境に立たされている、と昨今よく聞きますが、その辺もぼかすことなくリアルに描いています。

鈴木みそのすごいところは、電子書籍で成功した!という経験を新たなコンテンツにしたことでしょう。「ゲーム漫画で有名だった鈴木みそ」の殻を破り、「電子書籍で成功した鈴木みそ」という名前の売り方を始めたこと。時代を先取ったスタイルは、他の漫画家にも影響を与えたようです。

鈴木みそが描く地方活性化の未来とは?

伊豆のさびれた街、いわゆる限界集落にある温泉旅館。そこにひとりの男性がやってきます。東京からやってきたゲームクリエイターの溝田が本作の主人公です。彼はその旅館に金儲けの匂いを感じ、立ち退きを迫る組合を追い返し、再興するために奮闘します。

著者
鈴木みそ
出版日
2010-02-25


若者を呼び入れようと溝田が率先して取り入れたのはネットやオタク文化でした。最後の場所を探しにやってきたコスプレアイドル「アユポン」、そして彼女を追いかけてやってくるオタクたち、街の人々。

「アユポン」を中心に、追っかけのオタクすら巻き込んで、なんとか人を呼ぼうと力を出しあいます。SNSやインターネットでの集客は最大限に活用し、徐々に活性化していく旅館を見ていると、受け身で待っているのではなく時代の流れに乗ることの重要性を感じます。

今や日本の主要産業ともなってきているアイドル、漫画、アニメなどのポップカルチャーの力は、閉館した温泉旅館に再び息を吹き込むことができるほどのパワーがあるのだと再確認させられます。またルポ漫画時代に培ったオタクに対する習性、特徴などを掴んだ「鈴木みそ節」は健在で、昔からのファンも楽しめる作品です。

この作品が話題となり、再び鈴木みそは電子書籍で成功した漫画家として名前を轟かせることになります。『ナナのリテラシー』と合わせて読むと裏話が見えて面白いですよ。

いかがでしたか?ルポ漫画が得意な鈴木みそですが、電子書籍という武器を手にし、新しい風を吹き込んでいます。過去の作品も続々と電子書籍化しているので手軽に読むことができます。よかったら探してみてくださいね。

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