映画『アダプテーション』では事実と虚構入り乱れて妙なリアリティがある中、チャーリー・カウフマンの脚本が上手くまとまらない様が描かれてます。 そんな小説(原作)と映画(実写化)の関係は永遠のテーマというか、監督と原作者の間で今までも数々の争いが起きてきたようなことであります。 バンドはというと、ある程度そういうものとは無関係でいられるのでほのぼのとした気持ちではありますが、そんなこと……つまり小説と映画の関係について考えた本や映画化にまつわる逸話のある本を5冊あげさせて頂きます!
『ブレードランナー』などの映画化をはじめとして、多くの小説が映画化されたことで知られるディックの比較的初期のものを集めた短編集。
- 著者
- フィリップ K.ディック (著), 仁賀 克雄 (翻訳)
- 出版日
- 1976-08-01
こちらはどっちかというともう少しSF寄りの作品が多く収録されている短編集で、SFは結構設定が複雑すぎて苦手!という人にも取っつきやすくおすすめ!(表紙がちょっと怖いイラストなのですが中身はそうでもありません……)。どの作品も面白いです。
- 著者
- フィリップ・K. ディック
- 出版日
こちらもディックと並んで映画化原作の多いスティーヴン・キング、1977年の作品。スタンリー・キューブリックが映画化し、ジャック・ニコルソンがドアから顔を出して威嚇するビジュアルが強く印象に残っているかもしれません。スランプの小説家が冬の間、執筆や気分転換と出稼ぎを兼ねてシーズンオフの大きなホテルの管理人をやるのですが主人公はだんだんと何かの力によって狂っていき……。
- 著者
- スティーヴン キング
- 出版日
- 2008-08-05
タイトルの通り、80年代の映画のガイド本です。この時代の映画が万遍なく紹介されているのですが、上で挙げさせて頂いた『ブレードランナー』や『シャイニング』の映画化にまつわることについて書かれているコラムがとても面白く、小説と映画の差や、監督と原作者のやりとり(一悶着)について読むことができておすすめです。気になった方はぜひ。
- 著者
- ["ピーター・バラカン", "大場正明", "山下敦弘", "添野知生", "松江哲明", "粉川哲夫", "町山智浩", "川本三郎", "大森さわこ", "塚本晋也", "滝本誠", "北沢夏音", "石澤治信", "鎌田絢也", "佐野亨", "渡部幻"]
- 出版日
- 2011-12-22
最後にこちらは『ファーゴ』などの監督をしているコーエン兄弟の弟、イーサン・コーエンの短編集。じゃあ映画監督の小説はどうなんだい、ということで読みましたがするっと映画化できそうに思える話や映像が自然と頭に浮かぶような場面が多いように感じました。彼の映画に散見されるユダヤの独特なジョークやブラック気味のユーモアが小説にもあります。「ミネアポリス・ギャング団」はまさに!と思うような作品で面白かったです。ちなみにコーエン兄弟の映画はどれも好きなんですが、『赤ちゃん泥棒』は軽く見れるので初めての方にはおすすめです。
- 著者
- イーサン コーエン
- 出版日
- 1998-12-01
というわけで今回は小説と映画、ということをテーマにしてみましたが、色々見たり調べたりした結果、原作に忠実かどうかは置いといて映画自体をちゃんと作ることが大事だよな……という身も蓋もない結論に至ったのでした。また次回!
あ、『WWMM』来てください(笑)。
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。