母と息子がテーマの2冊

更新:2021.12.1

こんにちは槙田紗子です。突然ですが、現代の人間の集中力の限界は8秒らしいです。

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こんにちは槙田紗子です。突然ですが、現代の人間の集中力の限界は8秒らしいです。ちなみに金魚は9秒。金魚に負けた人間!原因はSNSの発達により情報が過度に脳に入ってきてしまうかららしい。でもすごく納得しませんか?ツイッターやインスタグラムって、どんどん更新されていって、新しい情報が常に入ってくるから、いろんなことを受け流してしまう癖がつくんですよね。私もスマホ依存症で、集中力に欠けているなって自分で感じます。「スマホ依存症 治したい」でグーグル検索した結果、電源を切りました(笑)。何が言いたいのかって、本を読むことって現代においてすごく重要なことなんじゃないかってことです(笑)。集中力高めて金魚に勝ちましょう。

愛能う限り、大切に育ててきた娘

著者
湊 かなえ
出版日
2015-06-26

17歳の女子高生が4階にある自宅から転落した事故についての新聞記事について、女子高生の母親の「愛能う限り、大切に育ててきた娘」というコメントに違和感を覚えた教師の物語から始まり、「母性について」「母の手記」「娘の回想」という3つのパートで展開されていきます。

そもそも事件の真相を求めて読んでいたので、異常な感覚の持ち主である語り手に気持ち悪さを覚えました。初めは母に対する異常な愛情、男の頼りなさに不信感を抱きますが、一向に混じり合わない「母の手記」「娘の回想」を交互に読み続けていくと、この本に結論を求めるのは無理だと思いました。重要なのは事件の真相ではなくて、「必ずしも同じ経験をした人間同士が同じように感じているわけではない。」ということです。線と線は交差することなく、進んでいきます。

でも、そんなもんなのかなぁ。

ウェイターに無視された男を恋人に持っている閻魔ちゃんが、ひどく惨めな存在に思えた

著者
吉田 修一
出版日

新宿で店を持つオカマの閻魔ちゃんと同棲する「ぼく」。ぼくは働かず、第三者からの目線を記録するかのようにビデオ日記を撮り続けながら気楽に過ごす。

そんな中、店の常連である男の一人が殺されるホモ狩りの犠牲になったのだ。それでも淡々と日々が過ぎていき、昔の恋人と会ったりしながら過ごす中、母が家出をしてきた。主人公は今まで撮っていたビデオを見る。そして昔の恋人を連れて母親に会いに行くのだ。

「ぼく」のことを一途に思い続けている閻魔ちゃんがたまらなく愛おしい。オカマと同棲という特殊な生活から、恋人を母に紹介するというリアルな世界に移った時に起きる二人の行動が面白い。

個人的にすごく好きな一文は「ウェイターに無視された男を恋人に持っている閻魔ちゃんが、ひどく惨めな存在に思えた。」でした。なんか、わかる。人が無視されたり声に気づいてもらえなかった瞬間の惨めさって、うまく言い表せないけどズシーンてくる。

最後にタイトルの意味がわかります。

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