中年のおっさんになった時のワタクシの夢はキャンピングカーで遠くに魚釣りに行ってその場で調理して一杯やることです。そんな原始的なことにいつも憧れているモノブライト、ギターの松下です。
もし今が石器時代なら生きるために男性は武器を作っては狩りに出かけたり、女性は水を汲んだり木の実を拾ったりと使う知恵も含めて生命力が肉体的に直結していたことでしょう。けれど現代では人間が生きるということはちょっと違うと思います。もっともっと知恵を使う。その相手・対象が動物ではなく頭の良くなった人間だから尚更に。
そうやってある種の頭脳戦を繰り返しながら社会的進化を続けた人間というスペサル脳生物は生きるために時に(自分の欲のために)恐ろしいことも考えるのである。
毒を食らわば皿まで、もがいては生き動く人間たちの生命力。今回は或る4冊の生命力をご紹介します。
- 著者
- 東野 圭吾
- 出版日
大地震直後の混乱の中、借金のある叔父を殺害してしまう主人公・雅也。気づけばその場には知らぬ女、美冬がいたのだが犯行を見られたのかどうかがわからない! 何も言わない美冬と雅也は奇妙な内面の精神バランスゆえに共存して生きていくこととなる。どこまでが本当の気持ちで、どこまでが知恵なのかギリギリの状況で生きる雅也と美冬の怖さが見え隠れします。ご存知の方も多いかもしれませんが『白夜行』と姉妹作とも言われてます。合わせてオススメ!
- 著者
- 本谷 有希子
- 出版日
- 2014-02-28
わざと男の手のひらで踊らされているように演じる女性の19~24歳までの5年間の物語。その理由と真意は果たしてなんなのか。頭のいいドS男にドM女になりながらも何かで男に勝とうとする狡猾な内面がぐにゃぐにゃと文字で並びます。なんとも形容しがたい異色作! 生きるって確かにぐちゃぐちゃなことなのかも。
- 著者
- 東野 圭吾
- 出版日
- 1994-06-06
不慮の事故に襲われた主人公に世界初の脳移植手術が行われる。前例のない手術での死からの復活に恋人も同僚も歓喜するが自分に感じるのは違和感ばかりの生活が続く。変わっていく自分を自分でも止められない状況に暴れては精神をも崩していく。その中で自分が生きようとする生命力と移植された脳の生命力にフィクションですがゾクッと震えます。
- 著者
- 鴨志田 穣
- 出版日
- 2010-10-15
42歳で亡くなった鴨志田穣さんのアルコール依存症治療前とその後の生活からガン闘病中に執筆の未完小説などをまとめた遺稿集。これはもうこの本自体が生命力みたいなもの。破天荒な生き方をし続けたヒトだけが理由なく醸し出す生命力のオーラで今も包まれている本だと思います。
たまにはおしゃれランチで本を読む。
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。