去年末ですが高校の同窓会がありました。僕の学校は中高一貫の進学高だったので、中高を共に過ごした仲間達が5年ぶりに集結する一大イベントであり、ライブなどの合間を縫って参加できたのはラッキーでした。
今や僕はミュージシャンとして、エリートコースを選んだ彼らとは袂を分かった存在ではあるのですが、そんなポリシーなんて吹き飛ぶ程、まあ話の弾むこと。やはり6年という歳月、同じ空気を吸い続けた仲間というのはとても貴重な存在だなということを実感しました。
同級生が軒並み医者になっていたのはビックリしましたね。「ズル休みしたい時はいつでも診断書出すから言え」とか「人に言えない病気に罹ったら薬送ってやるから」とか、いろいろ頼もしすぎでは。でも僕は仕事一筋なのでズル休みはしないと思います。あと人に言えない病気って何なの……。
そんなこんなで「学生」をテーマに、小学校・中学校・高校それぞれを描いた作品を1作ずつ、計3冊ご紹介!!
強豪野球部、地獄の寮生活
- 著者
- なきぼくろ
- 出版日
- 2015-04-23
「DLに入ると……選手が潰されるって本当ですか?」
野球バカ・狩野笑太郎は中学日本代表の主将を経て、憧れだった強豪校DL学園高校硬式野球部に入部する。新入生も中学リーグで名を馳せた選手ばかりで、甲子園という夢は叶えたも同然に思われたが、彼らを待っていたのは上下関係バリバリの地獄の寮生活だった!?
まずは高校生編。
DL学園とは勿論かの甲子園常連校、PL学園(大阪)をモデルにしています。それというのも作者・なきぼくろ氏がPL出身であり、甲子園出場も果たしているのです。
そんな氏による『バトルスタディーズ』はPL、もといDL学園の日常や練習を面白可笑しく、時にカッコ良く魅せるスポ根ギャグ漫画。「変わった先輩の口癖」などのDLあるあるが登場するたびに「DL Walker(DLの歩き方)」というコーナーが始まり、つぶさに解説してくれるのですが、これがまた如何にも高校生ならではのバカな内容で面白い。
現在もモーニング本誌で連載中、単行本で8巻まで刊行されており、続きが滅茶苦茶楽しみな漫画の一つです。
PL学園野球部といえば先日の暴力事件や体罰が問題となり、実質廃部となってしまいました。しかしこの漫画からは「無論体罰はあったし良くないことだけれども、それでも選手たちはその中で何やかんや楽しくやっていて、悪いことばっかりじゃなかったよ」という作者からのメッセージが聞こえてくるのです。
小学生特有の葛藤にスポットライトを当てた一冊
- 著者
- 私屋 カヲル
- 出版日
- 2013-06-12
「…白井先生は『スキンシップは親の仕事』って言ったけど
親のない子は どうするんでしょうね…」
小学校3年1組を受け持つことになった新任教師・青木大介と、かなりマセた問題少女・九重りん。そのほか諸々の個性的な児童と教師たちをめぐるちょっぴりエッチなハイテンション・ラブコメディー。
続きまして小学生編。
先に言っておきますが基本的に下ネタギャグがベースです。隙あらば肌色を出してきます。小学生だぞ……?
しかしそのコメディは飽くまで日常の表層。少年少女たちはいつだってその笑顔の深層にそれぞれの問題を抱えているもの。二次性徴、父子・母子家庭、不登校、虐待、エディプスコンプレックス、etc. ……。
実はそれらの深刻な問題がこの漫画の真のテーマとなっており、そこに対しては一転、堂々とシリアス展開で切り込んでいくのです。そのギャグパートとシリアスパートのギャップに引き込まれていくこと間違いありません。
青木先生とりんちゃん、そのほか大勢の3年生〜6年生までを描いた作品で、ラストの卒業式のシーンではいつの間にか涙を流している自分がいました。大人たちがもう忘れてしまった、小学生特有の葛藤にスポットライトを当てた傑作です。