学生の生活を描いたオススメの3冊【熊谷和海】
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学生の生活を描いたオススメの3冊【熊谷和海】

更新:2017.2.27 作成:2017.2.27

BURNOUT SYNDROMESの熊谷です。最後の「卒業」から6年。社会に出てしまうと一気に人との繋がりは薄れていきますね。あの頃は敵がいて、味方がいて、ドラマがあった。そんな「学生」をテーマに3冊、本棚から抜き出してみました。

熊谷和海プロフィール画像
バンド「BURNOUT SYNDROMES」Vo/Gt
熊谷和海
平均年齢23歳、大阪出身・在住の3ピースバンド、BURNOUT SYNDROMES(バーンアウトシンドロームズ)のVo/Gt。バンドメンバーは熊谷の他、石川大裕(Ba/Cho)、廣瀬拓哉(Dr/Cho)。2005年結成。日本語の響き、美しさを大切にした文學的な歌詞やヴォーカル、その世界を彩る緻密に計算されたアレンジ。スリーピースの限界に常に挑戦している。2016年3月にメジャーデビュー・シングル「FLY HIGH!!」を発表。10月には2ndシングル「ヒカリアレ」をリリース。11月に1stアルバム『檸檬』を発売した。2018年2月21日、2ndアルバム『孔雀』がリリースされた。 http://burnoutsyndromes.com/
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去年末ですが高校の同窓会がありました。僕の学校は中高一貫の進学高だったので、中高を共に過ごした仲間達が5年ぶりに集結する一大イベントであり、ライブなどの合間を縫って参加できたのはラッキーでした。

今や僕はミュージシャンとして、エリートコースを選んだ彼らとは袂を分かった存在ではあるのですが、そんなポリシーなんて吹き飛ぶ程、まあ話の弾むこと。やはり6年という歳月、同じ空気を吸い続けた仲間というのはとても貴重な存在だなということを実感しました。

同級生が軒並み医者になっていたのはビックリしましたね。「ズル休みしたい時はいつでも診断書出すから言え」とか「人に言えない病気に罹ったら薬送ってやるから」とか、いろいろ頼もしすぎでは。でも僕は仕事一筋なのでズル休みはしないと思います。あと人に言えない病気って何なの……。

そんなこんなで「学生」をテーマに、小学校・中学校・高校それぞれを描いた作品を1作ずつ、計3冊ご紹介!!

強豪野球部、地獄の寮生活

著者
なきぼくろ
出版日
2015-04-23
「DLに入ると……選手が潰されるって本当ですか?」

野球バカ・狩野笑太郎は中学日本代表の主将を経て、憧れだった強豪校DL学園高校硬式野球部に入部する。新入生も中学リーグで名を馳せた選手ばかりで、甲子園という夢は叶えたも同然に思われたが、彼らを待っていたのは上下関係バリバリの地獄の寮生活だった!?

まずは高校生編。

DL学園とは勿論かの甲子園常連校、PL学園(大阪)をモデルにしています。それというのも作者・なきぼくろ氏がPL出身であり、甲子園出場も果たしているのです。

そんな氏による『バトルスタディーズ』はPL、もといDL学園の日常や練習を面白可笑しく、時にカッコ良く魅せるスポ根ギャグ漫画。「変わった先輩の口癖」などのDLあるあるが登場するたびに「DL Walker(DLの歩き方)」というコーナーが始まり、つぶさに解説してくれるのですが、これがまた如何にも高校生ならではのバカな内容で面白い。

現在もモーニング本誌で連載中、単行本で8巻まで刊行されており、続きが滅茶苦茶楽しみな漫画の一つです。

PL学園野球部といえば先日の暴力事件や体罰が問題となり、実質廃部となってしまいました。しかしこの漫画からは「無論体罰はあったし良くないことだけれども、それでも選手たちはその中で何やかんや楽しくやっていて、悪いことばっかりじゃなかったよ」という作者からのメッセージが聞こえてくるのです。

小学生特有の葛藤にスポットライトを当てた一冊

著者
私屋 カヲル
出版日
2013-06-12
「…白井先生は『スキンシップは親の仕事』って言ったけど
親のない子は どうするんでしょうね…」

小学校3年1組を受け持つことになった新任教師・青木大介と、かなりマセた問題少女・九重りん。そのほか諸々の個性的な児童と教師たちをめぐるちょっぴりエッチなハイテンション・ラブコメディー。

続きまして小学生編。

先に言っておきますが基本的に下ネタギャグがベースです。隙あらば肌色を出してきます。小学生だぞ……?

しかしそのコメディは飽くまで日常の表層。少年少女たちはいつだってその笑顔の深層にそれぞれの問題を抱えているもの。二次性徴、父子・母子家庭、不登校、虐待、エディプスコンプレックス、etc. ……。

実はそれらの深刻な問題がこの漫画の真のテーマとなっており、そこに対しては一転、堂々とシリアス展開で切り込んでいくのです。そのギャグパートとシリアスパートのギャップに引き込まれていくこと間違いありません。

青木先生とりんちゃん、そのほか大勢の3年生〜6年生までを描いた作品で、ラストの卒業式のシーンではいつの間にか涙を流している自分がいました。大人たちがもう忘れてしまった、小学生特有の葛藤にスポットライトを当てた傑作です。

進学高の学生、卒業生におすすめ

著者
ヘルマン ヘッセ
出版日
1958-01-07
「決して弱気になってはいけない。
さもないと、車に轢かれてしまうよ」

少年ハンス・ギイベンラアトは村一番の秀才。彼は村人や教師の期待を一身に背負って首都の神学校へ入学する。しかしそこで彼は多感で反抗的な友人・ハイルナアの生き方に魅入られていき、詰め込み主義の教育と規則ずくめの寄宿舎生活に疑問を抱き始める。

最後は中学生編。

この物語の主人公・ハンスは超人的な頭脳と精神を併せ持つ天才ではなく、「たまたま勉学が得意だっただけの普通の男の子」であることがポイントです。

勉学が名誉や金銭と直結するこのご時世、それが得意だったために、少年はエリートコースという茨道を歩かされてしまいます。走るのが得意、釣りをするのが得意、喧嘩が強い……本来彼もその程度の子供たちと同列に扱われるべきなのに、ハンスだけが先に大人になることを求められ、年相応な自意識との間で懊悩(おうのう)します。

利己主義な大人の期待、そして才能の画一化という「車輪」に潰されていく平凡な少年の心情がありありと描かれています。進学高出身の僕の感想だとかなり真に迫るものがあると思います。

今から進学高に行こうという若者たち、そしてお子さんをエリートコースへと進ませようとする保護者の方々には是非読んでみて頂きたい一冊となっています。