ビートルズのメンバーの性格分析ができそうな5冊

ビートルズのメンバーの性格分析ができそうな5冊

更新:2021.12.12

解散後の1974年に意識的に聴き始めてから、もう40年以上が過ぎた。最初はメンバーの顔も名前ももちろん知らない。でも、レコードは言うに及ばず、「ビートルズ」と名のつくものならありとあらゆる本を買った甲斐があってか、誰がどの曲を書き、誰が歌っているのか、そのほとんど区別できるようになった。さらに記者会見での当意即妙なやりとりなどを見て、如才ないポールより、毒舌で皮肉屋のジョンとジョージがいいなとか、性格の違いもわかるようになった。今回は、4人の素顔が覗ける自伝やインタビュー集などを紹介します。

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「4人はアイドル」じゃない

ビートルズの回想録といえば『アンソロジー』(2000年/リットーミュージック)をまず挙げるべきかもしれないけれど、メンバー自らが監修したいわゆる公認本には、ウソが混ざることが多い。というか、都合のよい解釈が加わることがあるので、同じ『アンソロジー』なら本よりも映像集のほうが圧倒的に面白い。ということで、何にしようかと(約5秒)悩んだ末に選んだのが、ビートルズの最も早い評伝として知られるこの名著。『アンソロジー』発売時の“ビートルズ復活騒動”に合わせて『抱きしめたい ビートルズ'63』のタイトルで発売されたあとに、書名を変えて再度復刻された。
著者
マイケル・ブラウン
出版日
2012-09-24
何がイイって、本書がアメリカから世界へと人気を広げていく前の、63年11月から64年2月にかけての激動の時期に書かれたドキュメンタリーであること。ビートルズがまだ「歴史」になっていないぶん、信憑性も高いのだ。だからこそジョンは「ぼくらをありのままに、つまりロクでなしとして描いた」真実の本だと賞賛したのだろう。デッカのオーディションが1回ではなかったことを匂わせるジョンの発言なんて、その後どの本でもお目にかかったことがない。63年後半のイギリスにタイムスリップした気分でぜひ。

ジョンの唾が飛んできそう

1980年12月のジョンの死後、追悼本が各社からこれでもかとばかりに出た。ちょうど新作『ダブル・ファンタジー』の発売直後だったこともあり、ジョン(とヨーコ)はアルバムの宣伝のために雑誌やラジオで取材をたくさんこなしていた。その話をそれぞれまとめたインタビュー集も数冊出たが、そんな中で、発売時期の早さも含めて抜群に面白かったのが、『Playboy』誌に数回に分けて掲載されたインタビュー記事をまとめた本書だ(取材は80年9月)。本書の完全版『ジョンとヨーコ ラストインタビュー』(90年11月発売)もファンは必携だが、個人的には間違いなくこっちをおススメする。

ジョン・レノンPlayboyインタビュー

1981年03月10日
Playboy編集部
集英社
なにより横尾忠則氏による装丁が素晴らしい。メガネをかけたジョンの写真を1枚手渡され、「表紙のデザインを」と依頼されても、ふつうは中面にあるように、重ねて使おうとは思わないだろう。表紙本体のコート系のツヤツヤピカピカな見た目と手触りもいい。もちろん中身も抜群。聞き手のデイヴィッド シェフの発言に覆いかぶさるように、熱く鋭く毒舌皮肉愛情ユーモアその他をごちゃまぜにしたジョンの当意即妙な発言は、抱腹絶倒の面白さ。「どの曲を自分が書いたか」という詳細な「解説」でのジョンの思い込みの強さも最低で最高だ。

「イン・マイ・ライフ」は僕の曲

ビートルズ時代から親交の深いバリー・マイルズ(ジョンとヨーコが出会ったインディカ・ギャラリーの共同経営者)が相手だったから、ポールも話しやすかったのだろう。八方美人的で余所行きなポールのいつものやりとり以上に、真面目に、と言ったら変だけれども、ビートルズ時代の曲のことも含めて実に丁寧に振り返っている。たぶん『Playboy』誌に掲載されたジョンの“思い込み発言”を、そろそろ見返してやろう、なんていう気持ちもあったのかもしれない。

ポール・マッカートニー―メニー・イヤーズ・フロム・ナウ

1998年12月16日
バリー マイルズ
ロッキングオン
その最たる例が「イン・マイ・ライフ」。「中間部はポールが手伝ってくれた」と言うジョンに対し、ポールは「ジョンのメロトロンで30分くらいで書き上げた」と返す。記憶力のいいポールが、事実を捻じ曲げてまで自己主張をするわけがない。ということで、その曲は「作詞=ジョン/作曲=ポール」という珍しい共作曲なのだと思う。他にもたとえば『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の時期に録音された未発表曲「カーニヴァル・オブ・ライト」の詳細が初めて明かされたり、ジョンと口論してポールがスタジオを飛び出してしまったために「シー・セッド・シー・セッド」のベースはジョージが弾いたことなど、興味深い話が満載されている。

ガン無視に怒ったジョン

ビートルズをはじめ、バカ高い豪華本を数多く手掛けているイギリスのGenesis Publicationsから1980年に出た2000部限定(直筆サイン入り)の自叙伝の、普通の人でも手が出る邦訳本。「ジョージ・ハリスン著」になっているが、実際は、ビートルズ時代に広報担当をつとめ、ジョージが「ブルー・ジェイ・ウェイ」を書くきっかけにもなったデレク・テイラーの聞き書きをまとめたものだ。
著者
ジョージ ハリスン
出版日
2002-11-30
その自伝を読んで『Playboy』誌のインタビューで怒りをぶちまけたのがジョン・レノン、その人。10代の頃の3学年違いは大人と子供の差ぐらいあり、ジョージを弟分というより、間違いなく手下のように扱っていたジョンは、本書に自分への感謝の記述がなく、「どうでもいいセッション・ミュージシャン」ばかり褒め称えていることに頭にきたのだった。高い初版本はジョンが亡くなる半年前に刊行されたので、その後二人が和解したのかどうかはわからないが、亡くなる寸前には誤解が解けた、なんていう話もあったから、それはホントの話として受け取っておこうと思う。ビートルズ時代から長年書き貯めていた手書きの歌詞と、それぞれの曲についての回想が、本書の価値を最大限に高めている。

ワイルドでカワイイ

リンゴ・スターの代表作『リンゴ』(1973年)に、全米チャート1位を記録したジョージ・ハリスンとの共作曲「想い出のフォトグラフ」という曲がある。曲作りがあまり得意じゃないリンゴ(ジョンとポールがいたら作る気力も失せるかも)に対して、ジョージは曲作りでもよくバックアップしていた。「オクトパス・ガーデン」(69年)や「明日への願い」(71年)はリンゴの単独作扱いだが、実質的には共作曲だった。「想い出のフォトグラフ」のときにはようやく(?)ジョージもクレジットに名を連ねた。
著者
Ringo Starr
出版日
2015-09-21
その曲の原題を書名にしたリンゴの本は、これもまた豪華で高価なGenesis Publicationsから2500部限定(直筆サイン入りで最初の350部は革製)で発売され、さらにこれもまた普通の人でも手がまあ出せるハード・カヴァーの洋書が出た。ジョージが手書きの歌詞を掲載するなら、おいら(『アニメ・ザ・ビートルズ』調)は写真を集めよう。と思ったかどうかはわからないけど、幼少からビートルズ時代も含め、文字通りリンゴの「想い出のフォトグラフ」の数々が楽しめるノスタルジックな内容である。とくにビートルズ加入以前のバンド写真は見たことのないものが多い。おとぼけキャラのように見えて、あごひげを生やしたリンゴはワイルドでカワイイ。

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    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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