人生という迷路に迷った時。心が病んでしまった時。落ち込んだ時。あなたはどのように心を落ち着かせますか?話を聞いてもらったり、スポーツをするなど様々な方法がありますが、山田玲司の漫画を読んで心を落ち着かせ、癒されてみませんか?
山田玲司は、1966年生まれ、東京都出身の漫画家です。1986年にコミックモーニングに掲載された「17番地の情景」でデビューするも、4度も連載した作品が打ち切られます。
チャンスを掴めない時代がしばらく続くが1991年にヤングサンデーで連載した『Bバージン』が大ヒットし、『ゼブラーマン』や『絶望に効くクスリ』等、多くの名作を連載します。
そんな山田玲司の手がける作品は、メッセージ性の強い、とても感慨深い作品ばかりで、彼のエンターテイナーとしての才能がどの作品にも惜しげなく表現されており、読者を魅了し飽きさせないでしょう。
先ほど説明した通り彼の社会問題への関心や思いは、作品にも色濃く表現されており読者の心に問いかけ、心に引っかかっているものや、モヤモヤを和らげてくれます。
山田玲司の手がけた作品の中でも、心にぐさりと沁みる漫画をランキング形式で心に沁みる順に紹介しています。最後まで見ていただけたら幸いです。
主人公の水樹百合はビジュアル系バンド「エロス」のボーカルで、女の子から絶大な人気がありすごくモテます。しかし、女の子たちに一切目もくれません。なぜなら彼は、「男」にしか興味がない「男」だからです。
そんな彼が愛する男、金田虎輝を風水の力で甲子園に出場させようと奮闘します。しかし、風水の力(決まった未来を捻じ曲げる)はあまりにも強力だったため、その反動で百合は何かを失ってしまいます。
- 著者
- 山田 玲司
- 出版日
少し変わった設定の野球BL漫画です。野球漫画でありながら風水を取り入れている斬新で全く新しいスタイルで描かれています。
この作品の魅力は、野球や風水ではなく、同性愛者が抱える苦しみや辛さ、閉ざしてしまいそうな心を開こうとする勇気、純粋すぎる愛、そういったテーマが痛いほど伝わってくるような内容になっている点でしょう。
心を開くのはそう簡単ではありません。とても勇気のいることです。しかし閉ざしていては何もできません。この漫画は、そんな弱い自分に勇気を与えてくれる作品になっています。
絵の知識や技術がほぼ皆無の男子高校生・歌川有を主人公にしたラブコメ美大戦記。小さいころから家族に「絵の天才」と褒めちぎられて育った有は、ろくに勉強もせず漫画ばかりを描いている漫画家志望の男の子です。
その結果、偏差値の低い高校にしか入学できず、大学へ行けるかすら危うい状態です。しかし、父親から「大学に行かないなら家を出ろ」と言われ、美大受験を決心します。
しかし、訪れた美術予備校で自分の才能と画力の無さを痛感。そんな有の前に食パンをくわえた少女・葛飾夢が現れます。
この夢という少女に絵の知識や基礎を教えてもらっているうちに恋心が芽生え……。
- 著者
- 山田 玲司
- 出版日
- 2012-01-30
有の成長と夢との恋を描いた作品です。主人公の純粋過ぎる性格は、カッコよく、立ちはだかる壁を真正面から進んでいく姿は、読んでいて飽きません。
そんな主人公の純粋な気持ちや持ち前のポジティブさは、見習うべきだなと感じました。主人公のようにどんな時でも、辛くても、何があっても前へ突き進むことの大切さが学べる作品です。
桂木ユイに恋をした生物オタクの住田秋は、オタクのままでは振られる!と思い、モテるために立ち振る舞いや口調、音楽の趣味、ファッションを姉二人と妹一人から徹底的に仕上げられます。
1年半の歳月を経てイメチェンした秋は、ユイと同じ大学に入学し、再びユイの前に現れますが……。
- 著者
- 山田 玲司
- 出版日
この漫画は、そんな秋の成長とユイとの恋愛がメインになっております。魅力的なキャラクター達のかけあいや恋愛描写、ギャグなどたくさん魅力がありますが、なんといっても秋のユイに対しての純愛がすごくカッコいいのが最大の魅力でしょう。
秋はイメチェン効果で、学園内のトップ3に入るほどのモテっぷりにも関わらず童貞です。心に決めた人としかやらない「Bバージン」という十字架を背負って生きている。そんな一途な秋に心を打たれます。
また、作中に出てくる名言も心に響きます。
「人間ってさ、1人じゃ立ち上がれないときがあんだよ。たとえ自分の力だけで立ち上がれたとしてもそん時さ、何かを失くしちまう気がすんだよ。」
(『Bバージン』より引用)
この漫画を読んで、そばにいてくれる人の大切さ、一緒にいてくれる事を当たり前と思ってはいけない、人との出会いをもっと大事にしないといけないということを思い知らされました。ぜひ読んでみてください。
この漫画は、重たく心にのしかかってくるようなテーマと内容になっております。
主人公の九条は、社会に不満を持つ17歳の受験生。そんな九条に薬物で完全にいってしまっている流香が近づきます。しかもその手には、固まった油絵を溶かす強烈な薬「ストリッパー」がありました。
そんな時、覚せい剤中毒で父親を亡くした親友のカフカが駅でトンでいました。そして、流香はカフカにも近づきます。
九条・流香・カフカはストリッパーで東京の色んな物を溶かすという作戦を決行。そこに、仲間はずれにされたと怒り狂った滝という人物が、カフカの目に誤ってストリッパーをかけてしまい……。
- 著者
- 山田 玲司
- 出版日
人間のエゴや偽善、きれいごとじゃない人間の素の部分など、山田玲司の伝えたいことが凝縮されていて、心がぐちゃぐちゃにされて整理が出来ないほど、難しい内容です。
この漫画はきっと、何回も読まないとわかりません。しかも、自分の精神状態によっては違う解釈になります。それほどこの漫画は複雑で、深い漫画です。
この作品は、あまりにも脆く、切く、痛々しい。年齢が精神を追い抜いてしまう思春期に起こるデリケートな心の怯えみたいなものを、上手く表現していて、とても面白い作品です。
1巻で完結する漫画ではありますが、このたった一冊に込められている作者の強い思いを、感じとることが出来ます。山田玲司という作者をもっと知りたくなったら、ぜひこの漫画を読んでほしいと思います。
一日約80人の自殺者が出ている日本というこの国の問題に、山田玲司が着目し描いた漫画です。
『絶望に効くクスリ』は、様々な業界の様々な人にインタビューし、それぞれの歩んできた人生を尋ね、絶望が希望へと変わる「クスリ」を探し回るという構成になっております。
山田玲司のすごい点は、対談した人の価値観、概念、生き様、思想を、短いページ数でしっかりと表現していること。しかも、誰一人として否定せず、「そんな生き方もあるんだな」「そんな考え方もあるんだな」と受け止めていている点にも魅力を感じました。
- 著者
- 山田 玲司
- 出版日
- 2013-12-14
そんな漫画だからこそ、「絶望に効くクスリ」なのです。気落ちした時や鬱になってしまった時は、どうしても視野が狭まり、自分の悩みや問題の事しか考えられず、全く周りが見えていません。
そんな時に、この漫画を読んで「自分の未来は本当に絶望しかないのか?」「違う道も選択できるのではないだろうか?」「こんな人生もある!」ということを思うきっかけにしてほしい。そして視野を広げてほしいと思います。
視野が広がるということは、意識が変わる。そして世界も変わる。その意識を変える手段としてこの『絶望に効くクスリ』をぜひとも読んでもらいたいです。