「スカートの下の劇場」
まず題名に惹かれちゃいますね。「観客のいないスカートの下の劇場で、女だけの世界が成立する」(本文より)。
下着の歴史、文化論から女性のナルシシズム(自己愛)等について分析して行きます。当たり前に浸っている下着文化にも紆余曲折があり今日に至る訳で、その歴史の流れというのを改めて知ることで見えてくる男女の違いが面白いエッセイ調の一冊。
この本の作者である上野千鶴子さんの、ハッキリ言ってくれる口調が気持ち良くてホレボレします……。
「人形の家」
どの人も他人のではない一人分の考えを持つことができるのだと思う。父から夫から、人形として愛されてきた女ノラが家を出る。日常生活の虚偽に侵されていたのはノラだけではなくて、むしろその夫ヘルメルこそでした。
あぁ、でも最後まで読んで初めて、物語前半の違和感の正体がわかる。日常化している緩やかな虚偽というのは気付けないことが多いのです。
無意識には暴露を。ノラは賢い女の人だ!
「斜陽」
最後の貴婦人である母のスウプの呑み方がとても素敵に描写され、物語が始まります。没落していく人々が描かれた太宰治さんの代表作として有名ですが、ここでは娘かず子の恋に注目……。
昔ただ一度会ったきりの男、上原に返事の無いまま手紙を送り続けるかず子。「私は、あなたの赤ちゃんを生みたいのです。他のひとの赤ちゃんは、どんな事があっても、生みたくないんです。」と、云うんです。
女性の恋心の究極だと感じました。そして、その恋に正直すぎる程に突き進んで行くかず子の生き方が、それぞれの事情を抱えた読者一人ひとりの背中をグッと押してくれるはずです。