とにかく愛おしい!「女性」が「女性」を好きになる本
はじめまして、ハッカドロップスのマイです。たくさんの本がそれぞれの引力を持って本棚に並んでいます。大量にある冊子の中から1冊に出会うというのはとても貴重な巡り合わせだなぁ、と思う。

人間とは、女性とは……。迷宮を彷徨う中で思わず手に取り出会った本から、とても魅力的な女性が描かれている5冊を今回ご紹介いたしますのでよろしくね。女の人って愛おしい!

「女の平和」

著者
アリストパネス
出版日
1975-06-16
古代アテナイの喜劇詩人、風刺詩人として知られているアリストパネース著の戯曲。男達が男達のやり方で争っている国を舞台に、女達が女達のやり方で平和を実現していきます……。

女の人は丸みがあって平和のイメージに近いのだ、少なくとも私にとって。とても清々しくユーモアに包まれたお話です。

「青眉抄」

著者
上村 松園
出版日
本を開くとまず並ぶのは、この本の作者であり、画家でもある上村松園さんの描いた美人画です。結婚した女性が眉を剃り落とす青眉の風習、嫉妬の女の美しさ、色々に結われた日本髪……。

「女性の美に対する理想やあこがれを描き出したい」と、女性を画く作者の価値観に、ここでは文章を通して触れることができます。端々から、作者の日本的な美に対する尊重が感じられる所も素敵なのです。今、改めて読み返されたい本です!

「スカートの下の劇場」

著者
上野 千鶴子
出版日
まず題名に惹かれちゃいますね。「観客のいないスカートの下の劇場で、女だけの世界が成立する」(本文より)。

下着の歴史、文化論から女性のナルシシズム(自己愛)等について分析して行きます。当たり前に浸っている下着文化にも紆余曲折があり今日に至る訳で、その歴史の流れというのを改めて知ることで見えてくる男女の違いが面白いエッセイ調の一冊。

この本の作者である上野千鶴子さんの、ハッキリ言ってくれる口調が気持ち良くてホレボレします……。

「人形の家」

著者
イプセン
出版日
1996-05-16
どの人も他人のではない一人分の考えを持つことができるのだと思う。父から夫から、人形として愛されてきた女ノラが家を出る。日常生活の虚偽に侵されていたのはノラだけではなくて、むしろその夫ヘルメルこそでした。

あぁ、でも最後まで読んで初めて、物語前半の違和感の正体がわかる。日常化している緩やかな虚偽というのは気付けないことが多いのです。

無意識には暴露を。ノラは賢い女の人だ!

「斜陽」

著者
太宰 治
出版日
1988-05-16
最後の貴婦人である母のスウプの呑み方がとても素敵に描写され、物語が始まります。没落していく人々が描かれた太宰治さんの代表作として有名ですが、ここでは娘かず子の恋に注目……。

昔ただ一度会ったきりの男、上原に返事の無いまま手紙を送り続けるかず子。「私は、あなたの赤ちゃんを生みたいのです。他のひとの赤ちゃんは、どんな事があっても、生みたくないんです。」と、云うんです。

女性の恋心の究極だと感じました。そして、その恋に正直すぎる程に突き進んで行くかず子の生き方が、それぞれの事情を抱えた読者一人ひとりの背中をグッと押してくれるはずです。
  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る