「ライ麦畑でつかまえて」
そこそこお金持ちの16歳の少年が家出をして、何かを求めて都会をさまよい、打ちのめされてお家に帰るまでの話です。でも、16歳だったら家出しても帰っちゃうのが普通ですよね。そのリアリティが好きです。
そんな情けない主人公が、生きづらい世の中に訳も分からずツバを吐き続ける姿に、知り合いの姿がダブります。わたしにとってこの作品は、友人のことや、恋人のことを、ふと思い返させてくれる作品です。懐かしい気持ちになります。
ちなみに主人公は家に帰っても何もしません。本当にだめなやつです。
「カッコーの巣の上で」
舞台は1960年代のアメリカです。主人公は白人とインディアンの混血で、そのために人種差別にあい、傷つき、社会から逃れるため、「フリ」をして精神病院に入っています。
そんな空虚な日々を送っていた主人公が、マクマーフィーという下品だけれど、ありのままに生きようとする強い信念を持った男と出会うことで、失われていた自尊心を徐々に取り戻していく話です。
そしてある日、精神病院で悲劇的な事件が起こり、それをきっかけに主人公は自分の力で再び生きていくことを決意します。そして最後、主人公は奇跡を起こします。
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」
天才科学者のために様々なトラブルに巻き込まれることになった「僕」の現実世界。一角獣が住む不思議な街に記憶を失ったまま住むことになった「僕」の非現実的な世界。この2つの世界からなる話です。
つい先日、読み終えました。2回目です。1回目に読んだ時は、主人公の身に起こるあまりにも理不尽な出来事に腹が立ったのを覚えています。確か当時、中学生でした。
だけど、久々に読み返してみて、今回は不思議とまったく腹は立たちませんでした。生きているとたくさん理不尽なことがあると知ったからかもしれません。もしかしたら、何より自分がとっても理不尽な性格をしていると分かったからかもしれません。
いずれにせよ、中学生の時より自分は大人になったんだと思います。改めて読んでみて、昔も今も好きなシーンがありました。音楽が失われた「世界の終わり」で主人公が唄を取り戻すシーンです。
人間にとって、音楽はとても大切なものなんだな、ということを思い出させてくれます。そして主人公は最後、永遠の命を手に入れます。