クラウドファンディングって何?成功事例に学べるおすすめ本5選

更新:2021.12.17

クラウドファンディングは、著名人やアスリートなども活用する身近な資金調達手段。近年注目を集めており、まだまだ広がりを見せそうです。今後、挑戦あるいは参加・協力してみたい方におすすめの基礎的な本をご紹介します。

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クラウドファンディングとは?

クラウドファンディングという言葉を分解すると、クラウド(crowd=群衆)とファンディング(funding=資金調達)となります。つまり、不特定多数の人から、小口の資金を集める資金調達方法がクラウドファンディングです。

日本では2011年の東日本大震災の支援の際に、従来の寄付に近い形でプロジェクトが生まれ注目されたことから、徐々にほかの用途にも広がってきました。なお、クラウドファンディングを知っているという方でも、実は「購入型」のクラウドファンディングしか知らないことも多いもの。実は、大きく分けると3つのタイプがあります。

1.購入型
起業家が事業をスタートさせるときや、クリエイターが何か制作したいときに、それに共感してくれる人から少額ずつ資金を集め、事業や作品がアウトプットされるときに還元(リターン)するという仕組みです。リターンは商品やサービスによって異なりますが、飲食店であれば無料チケットや、プレオープンの招待券、キャラクター制作であればそのキャラクターのグッズやイベントなどがあります。現在のところプロジェクト件数が最も多く、何も言わずに「クラウドファンディング」というときに指し示しているのはこの「購入型」です。

2.寄付型
「寄付型」は、一切リターンを求めない形のクラウドファンディングです。立案主体はNPOなどの非営利団体であることが多く、昔から行われてきた「寄付」の延長と言えます。違う点は、インターネットを通じて簡単に寄付できるところや、寄付金の使い道をあらかじめ開示してある点などです。

3.投資型
投資型クラウドファンディングは、さらに「融資(貸付)型」「ファンド型」「株式型」の3つに分類されます。投資型に共通する特徴は、金銭のリターンがある点。また購入型や寄付型と異なり、1つのプロジェクトで動く金額が大きいため、クラウドファンディング市場全体のシェアは、投資型が圧倒的となっています。

さて、このようにいくつもの形態があるクラウドファンディング。それぞれ、どのように使えばいいのか、どんな成功事例があるのか、ご存知でしょうか。まだまだ立ち上がったばかりの資金調達方法のため、参考書籍も限られていますが、そのなかでも理解を深めることのできるオススメの本を選びました。
 

クラウドファンディング入門書として最適

この本はクラウドファンディングの基礎の基礎を知りたい方におすすめです。アメリカで誕生したクラウドファンディングがどのように発展し、日本に持ち込まれたのか。どのような可能性を持ったシステムなのか。ひとつひとつ丁寧に解説されています。

著者
板越ジョージ
出版日
2015-10-08

新しい資金調達の概念のため、抵抗を感じる方もいるかもしれません。そんな方々の「クラウドファンディングって本当に安心なの?」「一般人が資金集めなんてできるわけがないのでは?」という不安や疑念を取り払ってくれる本でしょう。

著者は日本におけるクラウドファンディングの第一人者ともいえる板越ジョージ氏。「日本人のための」入門書となっているだけあって、日本でプロジェクトを成功させた事例が豊富です。紹介された事例には、スタートアップの起業家が利用する例もあれば、歴史のある企業が利用する例もあり、活用幅の広さを感じます。

なにより、日本のクラウドファンディングサイトの情報が数多く載っていますし、適切なサイト選びからリターンの設定方法まで、成功までの道順をたどっていくことができます。失敗するプロジェクトの特徴も書かれており、手元に置いておくだけで安心できる1冊です。
 

購入型クラウドファンディングを知るならこの1冊

本書は、「購入型」クラウドファンディングを中心に据えた解説書です。いいアイデアはあるけどお金がない、という場合に役立てられるノウハウが満載。日本に持ち込まれた当初からクラウドファンディングに着目してきた著者が、一般人でも十分資金は集められるということを、事例も含めて紹介しています。

著者
小田 恭央
出版日
2015-05-12

本書の著者は、実際にクラウドファンディングで1000万円以上(現在はすでに累計2000万円を超えているとか)資金調達した実績を持つ起業家、小田恭央氏です。小田氏は「東北ずん子」という萌えキャラを制作し、運用しています。「東北ずん子」は、東日本大震災を受けてつくられた、東北復興支援のキャラクターです。

キャラクターの制作から、イベント開催、ゲームやボーカロイドの制作など、「東北ずん子」を基軸にビジネスを行うなかで、何度も資金調達のプロジェクトを成功させており、現在ではクラウドファンディングのコンサルティング業務なども行っているとのこと。

事例は豊富ながらすっきりとまとまっており、誰でも手軽に読める1冊です。読むうちに「自分のアイデアを形にする」という夢のあるストーリーを実現するために動きたくなります。
 

さまざまな寄付の形を知る

NPOなどの非営利団体の資金調達方法を成功させるためのポイントが書かれた本書は、「寄付型」クラウドファンディングを理解するのに役立ちます。災害が多い日本において寄付への関心が高まる今、さまざまな寄付の形を学ぶことができる本です。

著者
鵜尾 雅隆
出版日
2014-08-12

タイトルにある「ファンドレイジング」とは、非営利団体が活動資金を集めることをいいます。営利団体であれば、銀行から融資を受ける、株式を発行するなど資金調達がしやすいのですが、非営利団体はそう簡単にいかないもの。そこでファンドレイジングを利用して資金調達をする必要があるのです。

ファンドレイジングの手法の一つとして、インターネットを通じた資金調達、つまり「寄付型」クラウドファンディングがあります。「JAPAN GIVING」というソーシャル寄付サービスサイトでは、2014年5月時点で寄付総額11億円を突破しており、急速に社会的な認知を広げています。

著者は日本ファンドレイジング協会代表理事の鵜尾雅隆氏。もっと寄付を身近にするという意図で、「ゼロ円寄付」など、おもしろい取り組みも多数紹介されています。NPOや社会起業家の活動に関心のある方は、ぜひご一読をおすすめします。

投資型クラウドファンディングの仕組みをやさしく解説

本書では「投資型クラウドファンディング」に焦点を当てています。「投資」と聞くと、株式投資のイメージから、まとまったお金が必要と思われるかもしれませんが、クラウドファンディングでは1万円という少額で投資を始めることができ、しかもインパクトも大きい、ということを知ることができます。

著者
大前 和徳
出版日
2014-10-23

冒頭で、投資型には「融資(貸付)型」「ファンド型」「株式型」という3分類があることをご紹介しました。このうち、「融資(貸付)型」はもともと「ソーシャルレンディング」と呼ばれていた、「個人間のお金の貸し借りをネットのシステムを使うことで円滑に行える仕組み」のことです。広義のソーシャルレンディングには、2006年にノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行のモデルも含まれるように、歴史も長く、額も大きいのがこの「ソーシャルレンディング」。投資型の中で最もメジャーな類型と言えるでしょう。

「ファンド型」は「融資型」よりもハイリスクハイリターンの仕組み。そして「株式型」は、未公開企業の株に投資を行うことができるものです。2014年の法改正により、ようやく日本でも解禁となり、昨今急速に投資額が伸びている類型です。

本書はこれらの類型の特徴や活用方法について詳しく解説し、金融のこれからを予測しています。日本は預金総額で世界一を誇ると言われていますが、これを機に、銀行に預けるだけでなく、少額投資を選択肢に含めるのもいいかもしれません。
 

クラウドファンディングの社会的な位置づけとは

クラウドファンディングは、それだけが独立して発展してきたものではありません。実は、より大きな「ソーシャルファイナンス」という枠組みの中のひとつとされています。本書ではクラウドファンディングの位置づけや、その他のソーシャルファイナンスの方法について体系的にまとめられています。

著者
慎 泰俊
出版日
2012-06-30

まず「ソーシャルファイナンス」とは何か。本書では「人間関係を活用したファイナンス」と定義づけられており、金銭的なリターンに加え、社会的なリターン(つまり、社会にいい影響を与えること)を求めて行われる金融です。それはさらに「個々の人間関係の深いもの」と「浅いもの」に分けられ、後者にクラウドファンディングがある、という位置づけで整理しています。

「人間関係の浅いファイナンス」は、IT技術の進歩によってもたらされたもの。これにより社会全体でファイナンスに対する概念が変わりつつあります。著者は、この流れが今後も続き、いずれは投資が全員のものになると予測しています。

著者自身が「子どもの貧困削減」をテーマに活動を行っていることもあり、社会課題を解決する方法として「ソーシャルファイナンス」の可能性を感じられる1冊です。
 

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