小林まことのおすすめ漫画ランキングベスト5!柔道漫画以外にも名作アリ!

更新:2021.12.17

代表作『柔道部物語』にて、柔道ブームを巻き起こした小林まこと。しかし彼の真骨頂は柔道マンガの中だけでなく、秀逸なギャグセンスや人間の持つ熱さや精神力描写の上手さなど、多岐に渡ります。そんな小林作品の魅力を紹介します!

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コメディ+スポ魂漫画の第一人者、小林まこととは

小林まことは新潟県出身の漫画家。長年に渡り漫画業界を牽引してきたベテラン漫画家のひとりです。小学生の頃から漫画が好きだった小林は、その頃から本格的に漫画を描いていました。そのまま中学生になっても描き続け、少女漫画雑誌『りぼん』の新人賞で努力賞を獲得しました。

高校生になって漫画を描き続ける一方で、部活動に入部します。それがなんと柔道部。柔道漫画が有名な小林の原点はここにあるのかもしれません。部活に励む一方で漫画を小学館に持ち込むなど、漫画への情熱も衰えませんでした。

高校卒業後に上京。アルバイトをしながら漫画家のアシスタントをしたり持ち込みをしたりしましたが、どうにも上手くいきません。しかしここで思い切って作風を変更。それまで描いていた恐怖漫画をやめ、コメディや格闘モノなどに路線変更をすると頭角を現します。

そこから順調に力をつけ、『週刊少年マガジン』の新人漫画賞に応募。見事に1位入選を果たし、1978年にデビューしました。その後はいくつもヒット作を生み出しています。

それでは、未だ人気がとどまるところを知らない小林まことの魅力に迫っていきましょう。

5位:あの金メダリストがモデル! 実話を基にした女子柔道界

実は数年に渡り漫画家活動を休止していた小林まこと。そこからの復帰作となったのが本作です。

舞台は北海道の旭川。白帯の女子高生、神楽えもがオリンピック金メダルを目指す柔道マンガです。えもはどこにでもいそうなちょっと元気な女子高生。部活もアルバイトも全く続かず、夢中になれるものが見つからずにいました。

しかし、ひょんなことがきっかけで柔道部に見学に。もともとバランス感覚がよく、足腰が強かったえもは柔道ならやれそうと思い入部することになりました。

 

著者
小林 まこと
出版日
2016-12-22


実はこの作品、実話を元に描かれています。モデルは1996年のアトランタオリンピック、柔道女子61キロ級で金メダルを獲得した恵本裕子。日本女子柔道で初めての金メダリストです。

第1巻は、オリンピックに次いで大きな大会である世界選手権から始まります。気合を入れた大会で、史上最短ともみられる1回戦開始11秒での一本負け。しかしその1年後にはオリンピックで金メダルを掲げる主人公……。

決して早いとはいえない、高校生での柔道人生のスタート。そこからたった10年足らずで世界一に上り詰めた恵本の経歴をもとに描かれます。

冒頭で書いたように漫画家活動を休止していた小林。その時にSNSを通して恵本と知り合い交流を深めました。そこで彼女が自分の漫画のファンだということ、そして恵本の柔道人生を聞いたり恵本自身のキャラクターの魅力を感じたことによって、「彼女のことを描かなければならない!」と思い立ったそうです。

そんな魅力的な人物を基にしたリアリティのある柔道界を、柔道漫画の第一人者が描きます。柔道に詳しい方もそうでない方も楽しめる一作となっています。

4位:小林まことの元祖猫マンガ!伝説の踊る猫

1984年から1989年にかけて連載され、アニメ化もされた超人気作です。基本的には一話完結の短編。猫のマイケルが主人公です。

小林自身が「マイケルを主人公にしたコント」と表現しています。そのため、マイケルが一般的な飼い猫であるシチュエーションはもちろん、マイケルを含めた猫同士だけの会話があったりマイケルが刑事になったりなど、様々な設定で話が作られています。全巻に共通する設定などはなく、回ごとに設定を変えている珍しい作品です。

 

著者
小林 まこと
出版日
2010-08-12


この作品の特徴といえば、猫の生態が上手くギャグ化されていること。猫の生態というのは色々ありますよね。有名なところでいうと、猫じゃらしや虫などの動くものを追いかける、水が苦手、などなど……。

しかし本作では、あまり知られていない習性も描かれます。猫は狩りやジャンプ、着地などに失敗すると他のものにじゃれてごまかそうとする。歯磨きやみかんの匂いが嫌い。自分のトイレだけでなく、臭いものがあると砂をかける仕草をする。そんな様子が面白おかしく描かれます。

そして有名なシーンといえば、マイケルのダンス。なにか気まずい雰囲気になると、真顔で踊ってごまかすマイケル。1Pや数ページまるごと踊っているのですが、これがたまらなくかわいい!割とリアルな絵柄が特徴の小林ですが、読者にかわいさを感じさせるのはその猫愛によるものでしょうか。

10ページにも満たない話の短編集なためストーリーらしいストーリーはありませんが、思わずくすっと笑ってしまう話ばかり。手に取ってみるとページをめくる手がとまりません!

3位:義理と人情の男達に酔いしれる、小林まことのおすすめ感動作

小説家、劇作家の長谷川伸の原作作品に小林まことが筆を入れた知る人ぞ知る名作。時代劇、任侠劇であり、この世界ならではの義理と人情が描かれます。このシリーズは1巻ごとに完結するオムニバス形式の作品集。『関の弥太ッぺ』『沓掛時次郎』『一本刀土俵入』『瞼の母』というタイトルで、4巻で完結されています。

長谷川伸の作品として特に有名なのが『瞼の母』。番場の忠太郎という名の男が主人公です。5歳で生き別れた母親を捜し求めて放浪していた忠太郎は、母親が江戸にいるという噂を耳にして江戸へと流れ着きます。しかし、感動の再会となるはずだったのに母には既に新しい居場所があったのです……。

 

著者
小林 まこと
出版日
2009-08-21


原作が書かれたのは昭和5年。これぞ任侠劇!というストーリーのため、どこかで聞いたことのある展開だと思うかもしれません。しかし、際立つのはなんと言っても登場人物のかっこよさ!どの作品に至っても、主人公だけでなく女性や子供まで芯の通った強さが描かれます。

さらに、タイトルに劇画と入っているだけあり、絵柄やコマ割りが特徴的です。通常の作品よりコマ数が少ない代わりに絵が大きくダイナミックな印象。台詞も多くないわりに、人物の表情や背景描写から状況を理解しやすいという、小林の作画技術が詰め込まれています。

近年は悲しいことに失われつつある、命を懸けるに値するとまで言われた「義理と人情」。古き良き時代の文化が時を越えて蘇りました。どの作品も涙がとまらないこと請け合いの感動作。是非一度読んでみてください。

2位:コメディ+熱血スポーツ漫画!

リズム感がよく一度聞いたら覚えてしまえそうなこのタイトル。主人公は東三四郎というとにかく明るく熱い男です。

三四郎は元々ラグビー部に所属していました。しかもその腕は超一流で、ポイントゲッターとして活躍していたのです。しかしとあることが原因で退部。ラグビーへの未練もありましたがそれにもふんぎりを付け、格闘家への道に目覚めていきます。

 

著者
小林まこと
出版日


元々運動神経が抜群だった三四郎は、高校柔道で活躍。高校を卒業した後は元々憧れていたプロレスラーになるべく上京。プロレスの名門、新東京プロレスに入門するためにテストを受けますが、そこで出会った伝説の悪役レスラー桜五郎に憧れを持ち、そのまま弟子入りします。

その後は桜の経営する保育園で保父として働きつつ、プロレス界のトップを目指す三四郎。「強さ」 による実力主義に重きをおく「ストロングスタイル」で、デビューしてからも強力なライバルたちに立ち向かい死闘を繰り広げていくのでした。

当時のプロレス界といえば、かの有名なアントニオ猪木の全盛期。三四郎も猪木に憧れ、スタイルを真似る描写なども出てきます。作品自体もどんどん人気を出し、現実でも二次元でもプロレスが人気を博しました。プロレスはわざと相手の攻撃を真正面から受け止める競技。それは当然痛いし怪我もします。けれどそれを耐え、次は自分の力と技をぶつけ返す。胸が熱くなる男達の闘いです!

そんな強くかっこいい試合のシーンはもちろん必見ですが、タイミングよく突っ込まれてくるギャグにも笑いが止まりません。笑って泣けて熱くなる、盛りだくさんな一作です!

1位:柔道部員のバイブル!小林まことが描く柔道マンガの金字塔

『柔道部物語』というタイトルからもわかるように、柔道をテーマにした小林まことの代表作品。オリンピックでは日本の獲得メダル数の数割をしめることでも知られる人気競技・柔道の魅力に迫ります。

主人公は三五十五(さんごじゅうご)。中学生の頃は吹奏楽部に所属していた文科系男子でした。高校に入学してちょっとした興味から柔道部を見学した際、新入部員歓迎の「セッキョー」という名のしごきによってボロボロに……。しかし、負けず嫌いな三五はなんと柔道部に入部します。

その勝気な性格と、もともとセンスがよかったことから上達は早かったのですが、永遠のライバルとなる西野新二と出会い、彼には自分の力が通用しないと思い知らされました。打倒西野を掲げ、柔道部員達と切磋琢磨しながら強くなっていく三五の姿が描かれます。

 

著者
小林 まこと
出版日
2013-11-21


柔道は世界から「日本のお家芸」と言われ、数々の強い選手を生み出してきました。もちろん試合を観ていると熱くなるし面白い。ただ、経験者でない限り詳しくはわかりませんよね。しかしこの作品では三五が柔道初心者!三五と一緒に柔道のことを学べます。

三五の得意技は「一本背負い」!派手でかっこよく、初心者でも知っている技です。作中で白熱した技の掛け合いからの見事な一本背負いは、見るだけでスッキリした気分にさせてくれます!

実は作者自身の経験に基づいて描かれたこの作品。柔道の面白さはもちろんですが、部活動特有の先輩後輩の上下関係による理不尽さや、よくわからない部内だけの伝統などが面白おかしく表現されています。体育会系でも文化系でも、部活動を経験したことがある人なら間違いなく「こんなことあった!」と楽しめることでしょう。

人気絶頂時には「全国の柔道部員全員が読んでいる!」とまで評された本作。胸熱く心躍る内容をお楽しみください!

柔道マンガの第一人者として有名な小林まこと。今回はそんな柔道マンガと、それだけでない小林作品の面白さもご紹介しました。未だに重版がかかったり復刻版が出たりするほどの不朽の名作揃い。是非読んでみてください!

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