手塚治虫、石ノ森章太郎といった漫画界の巨匠と並び称される漫画家、横山光輝。少年、少女、大人、ジャンルは問わず幅広い分野で数々の名作を生み出した彼のおすすめ漫画ランキングベスト5をご紹介します。
代表作に『鉄人28号』、『魔法使いサリー』、『コメットさん』などの人気作品を持つ横山光輝。手塚治虫の『メトロポリス』に影響を受け、自身も漫画家を目指すようになり、高校時代から漫画雑誌へ作品を投稿していたそうです。
卒業後銀行に勤めたものの、漫画を描く時間がとれないことから映画会社に転職し、その傍ら貸本漫画に携わることに。注文を受け執筆していた貸本会社の社長が横山光輝を連れて手塚治虫のもとを訪れた際、『魔剣列剣』という横山の作品に目を通した手塚が彼は売れる漫画家だと判断したというエピソードもあるようです。
その後横山は単行本『音無しの剣』で漫画家としてデビューを果たします。手塚に、彗星にようにという言葉が彼ほど当てはまる男はいないと言わしめたこともあるほどの素晴らしいセンスの片鱗を見せていたとのこと。
代表作である『鉄人28号』は当時少年誌において、アシスタントをしていたこともある手塚治虫の『鉄腕アトム』と並んで人気を二分するほどの大ヒット作品となりました。
ジャンル問わず幅広い作品でヒット作を生み出してきた横山光輝の名作を5作品、ランキング形式でご紹介します。
第5位は、日本初の少女向けアニメの原作となった本作。魔法少女、魔女っ娘と呼ばれる分野の先駆けとなった作品です。
魔法の国の王女サリーが、お忍びでやってきた人間界で2人の友達ができたことをきっかけに、魔法使いであることを秘密にして、人間界で暮らしていくことになるというストーリーです。
- 著者
- 横山 光輝
- 出版日
- 2006-07-27
魔法で家を建て、2人の親友を持ったサリーは、人間界で過ごすうちに魔法よりも大切なものを知っていきます。愛情や友情といったものがテーマになっているところも大事な見所。作品全体を通して温かい気持ちを感じてください。
人間と魔法使いという別世界で生きる登場人物たちの笑いあり涙ありの日常は、当時の魔女っ娘作品の先駆けとして大人気となりました。そして特に連載当時の女の子たちにとって、サリーは憧れの存在に。
初めての少女向けアニメの原作となっただけのことはある、古い作品でありながらいつの時代にも愛され親しまれる女の子の憧れが詰まった魅力的な作品です。
第4位は横山光輝の代表作。兵庫県の神戸市内にモニュメントも建てられています。ラジオドラマ、特撮映画、アニメ、ゲームなどのメディアミックスまでされている人気作です。
太平洋戦争末期、主人公が平和を守るために、日本帝国陸軍の秘密兵器として開発された鉄人28号を駆使して活躍するというストーリーです。
- 著者
- 横山 光輝
- 出版日
- 2009-02-01
日本軍が開発していたという秘密兵器のロボット、登場するまでに張られた伏線の数々、凝ったストーリー展開で飽きさせることなく読者を惹きつけてきた『鉄人28号』。連載当時の少年たちにとっていかにかっこよく、憧れの存在であったか、読めばきっとわかります。
鉄人28号は小さなリモコンで操作することができるロボットなのですが、ロボット自体に悪や正義といった概念はありません。リモコンを握り操作する人間次第で悪の兵器にも、正義のヒーローにもなりうるのです。ロボットものでありながら、使い方や人間次第ですべてが左右されるという点は少年漫画といって侮ってはいけない、善悪の概念などについて思わず深く考えさせられるそんな作品です。
第3位はアニメ化された人気作です。遠い昔、宇宙船の故障により地球に不時着したバビルの残した遺産、バベルの塔と3つのしもべ、超能力を受け継いだ浩一が、世界征服をたくらむ超能力者との戦いに身を投じてゆくというストーリー。
- 著者
- 横山 光輝
- 出版日
ストーリーとしては、愛や友情といったものより、ただひたすら悪と戦い続ける主人公を中心に描いています。その主人公浩一は中学生とは思えない豪胆さと度胸の持ち主。強い正義感で、世界を征服しようとする悪との戦いという険しい人生を選ぶかっこいい少年です。
そして正義と悪の戦いを描いた作品として異色である、最初から主人公の方が敵より強いという設定。浩一に超能力で劣る敵は組織を率いてその差を埋めるという人間臭さを放っているのが魅力。正義のヒーロー側が仲間と力を合わせて強敵に挑むという定番の設定を逆転したような構図が出来上がっているのが斬新でおもしろい作品です。
司馬遷の『史記』に比較的忠実なストーリーとなっています。単行本全11巻にわたり、春秋戦国時代や項羽と劉邦、漢の繁栄といった史実を横山光輝の絵と共に理解できる歴史漫画です。
- 著者
- 横山 光輝
- 出版日
中国の歴史について深く記されている司馬遷の『史記』は、とても面白く素晴らしいものであるものの、やはり初めて読む人や、少し興味がわいたという気軽さで踏み込みづらいものと感じるのではないでしょうか。その入門的な意味合いにおいても、横山光輝の『史記』は最適の作品です。
私見を挟むことなく事実をそのままに描いているのも特筆すべき見所。だからこそ、流行りに乗っかることのない作品として、時代が変わっても、変わらぬ面白さがあるのです。
有名な吉川英治の小説『三国志』をベースに、横山光輝の解釈やオリジナルを織り交ぜた作品となっています。単行本全60冊にも及ぶ長編大作で、この作品で横山は日本漫画家協会賞優秀賞を受賞しました。
- 著者
- 横山 光輝
- 出版日
- 1974-04-01
文章で読むだけでは難しい三国志も、横山光輝の『三国志』を読むことでとてもわかりやすくなっている、『史記』と同じくこちらも歴史を面白く知る入門書的な意味でも人気作。大人だけでなく、子どもでも楽しめるのもポイント。この作品で中国史の楽しさに目覚めた読者も少なくないでしょう。
日本に三国志という中国史を広めたのは、横山光輝の漫画『三国志』の存在が非常に大きいとされるという点においてもやはり名作。他の中国歴史作品には少ない、蜀の滅亡までを描いている作品でもあり、関係者やファンからはその偉大さを称え、漫画界の万里の長城と呼ばれているほど。これだけの評価を得ている作品です、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか?
横山光輝のおすすめ名作漫画ランキングべスト5、いかがでしたでしょうか?どれも時代が流れても変わらず愛され続ける名作ばかり。ぜひ楽しんでみてください!