2011年に読み切りが発表されてから約4年を経て「週刊少年ジャンプ」で連載開始となった、競技ダンス漫画『背すじをピン!と』のあらすじと人気の秘密をご紹介します!
雅春は何の部活に入ろうかと胸を高鳴らせている、新高校1年生。「女子にボディタッチがしほうだい」という言葉につられて見学、そのあとも成り行きで入部した彼でしたが、徐々に競技ダンスの魅力に気づいていって……。
- 著者
- 横田 卓馬
- 出版日
- 2015-11-04
『背すじをピン!と』は、競技ダンスを身近に感じてほしいという作者の工夫が随所に見られる漫画です。その工夫によって、あまり身近でないスポーツにも関わらず、まったく違和感なく感情移入ができる漫画となっています。
その工夫とはいったいどんなものなのか。漫画の魅力のポイントをとりあげながら解説していきます!
スポーツ漫画にありがちなのが、メインキャラたちの設定がフィクションでツッコミ不可避なもの。ストーリーが楽しいので気にならない作品もありますが、やはりどうしても「共感」はしきれません。それに対して『背すじをピン!と』の主人公雅春は、低身長でなで肩、猫背気味の普通の男の子。そしてヒロインもクラスナンバーワンの美少女やセクシーお姉さんではなく、ちんまりした女の子。ふたりとも共感度の高いキャラです。言ってしまえば、地味。
出典:『背すじをピン!と1巻
主人公なのに、かっこつけられない。雅春はちょっと頼りない人物です。体力づくりのためにしているランニングやシャドー練習でも女子より息が上がり、先輩に「スケベ目的だけじゃ続かねーぞ」と言われてしまいます。そしてダンスの技術の方も、「こいつ……出来る」的な展開はなく、地味に、まっすぐに上達していきます。その様子はかっこ悪い時もありますが、自分のことのように応援したくなる身近さがあるのです。
「競技ダンス」というもののイメージはどんなものですか?きらびやかな衣装に男女が密着して行われる演技、聞き慣れない音楽……。素敵だけどどこかかっこつけすぎて「コテコテ」な印象もないでしょうか?読者と同じようにヒロインの英里も、入部したいと考えていながらも友達の言葉を聞いて戸惑ってしまいます。
出典:『背すじをピン!と』1巻
最後には「ダンス部入るとかよっぽど自分に自信あるんだなーって感じ?」とまで言われてしまいます。
しかし、そこで英里はくじけません。その言葉にとまどいながらも、「自分に自信つけたいからダンス部入ろうって…!」と決心するのです。競技ダンスは華やかな競技である分、そんなイメージとも闘っているのですね。
また、入部希望者に「二人も」来てくれたと喜ぶ先輩の様子や衣装の値段の高さに驚く様子なども身近に競技ダンスを知れる要素。スポーツをとりまく状況や競技自体の知識が出てくるのも『背すじをピン!と』の魅力です。
『背すじをピン!と』で身近なキャラクター、身近な紹介方法で描かれる競技ダンスですが、やはりそこはスポーツ! 汗を流しながら踊るシーンの見応えは格別です。
スピード感あると迫力ある描写が、普段が日常系の展開なだけに引き立ちます。雅春がそんな競技ダンスの魅力の片鱗を知ったのは入学式のオリエンテーション。颯爽と踊る先輩方に目を奪われるのです。
出典:『背すじをピン!と』1巻
優雅にドレスをはためかしながら踊っていたかと思いきや、次には体を密着させたキレッキレのダンスを魅せます。雅春と同じように、圧巻の絵にただただ目を奪われること間違いなし! スポットライトの下で踊る彼らはたまらなくかっこいいのです。
また、このあと部着でおどる2年の先輩方の様子も描かれるのですが、その練習風景はさながら「戦い」。オリエンテーションのような華やかさはありませんが、真剣な目でぶつかりあうそのシーンにも注目です。
- 著者
- 横田 卓馬
- 出版日
- 2017-02-03
いかがでしたでしょうか? 『背すじをピン!と』のあらすじと魅力をご紹介してみました。ここでは語りつくせなかった魅力もたっぷりある本作。最終巻は2017年4月4日に発売なのでそちらも要チェック!
ご紹介した日常系の面白さとスポーツ漫画ならではのスピード感は作品でしか味わえません。ぜひこの機会に競技ダンスの世界を漫画で覗いてみませんか?