人気の『女王の花』は歴史恋愛もの!ドラマのような綿密に練られたストーリーと、美しい絵が魅力である和泉かねよしのおすすめ漫画4作をご紹介します。切ない恋の行方だけでなく、複雑な登場人物の背景にも大注目!
1995年『天使』が小学館新人コミック大賞少女・女性部門に入選し、華々しくデビュー。作品はどれもストーリーが深く、読み手を惹き付けます。そして、注目すべきはその多彩性。王道の学園もの、男子校が舞台の青春物語、歴史ものなど、まるで少女漫画とは思えない幅の広さ!
好きなものが描きたいといって描いた『二の姫の物語』が大反響を呼び、そのDNAを受け継いだかのような『女王の花』は作者のファンだけでなく、多くの読者を虜にしました。
黄国の次期王・二の姫が主人公のサクセスストーリー×ラブストーリーです。幼い頃「愚図」とののしられた国王の次女は、8歳の時に国の宰相の息子・青推を教育係として迎えます。最初は馬が合わない2人でしたが、徐々に惹かれ合います。
成長するにつれ頭角を現した二の姫は、戦へと赴きます。しかし、そこに待っていたのは死地。なんとか切り抜けた2人に待っていた結末とは……。
- 著者
- 和泉 かねよし
- 出版日
- 2006-04-26
『二の姫の物語』は、戦のハラハラ感が混じる切ないラブストーリーです。生まれ持った身分や、敵国との戦など歴史ものならではのストーリーと、それゆえなかなか結ばれない2人の恋模様。自分の出世をとるのか、愛する人をとるのか……。
『二の姫の物語』他2つの物語が入った短編集です。学園ものが多い和泉かねよし初の歴史ものということで注目を浴び、反響も大きかったのがこちらの漫画。読んでいると、思わず別世界に入り込んでしまいます。
二の姫には、賢く将来有望視されているエリートな姉と、愛嬌がよく誰からも愛される妹がいます。そんな魅力あふれる2人に挟まれ、人見知りで引っ込み思案な二の姫がどうやって王からも民からも信頼されるようになるのか……。恋のゆくへも気になりますが、彼女の成長する姿も見どころです。
彼氏歴無し、容姿は中の上くらい、平凡な主人公・静には超イケメンな双子・哲と烈という兄がいます。しかも兄は2人ともかなりのシスコンで、登校も下校も静が1人で行くことを許さないくらいの溺愛っぷりです。そのため静は、16歳になってもまったく恋愛が出来ません。
ある日、自分と兄2人の血が繋がっていない事を聞かされた静。そこからストーリーが発展していきます。元々妹を溺愛していた兄たちは、どちらが静を彼女にするかで奪い合いを始めます。
- 著者
- 和泉 かねよし
- 出版日
- 2003-03-26
しっかりとしたストーリー構成が魅力!兄と妹の恋愛だけでなく、昔の母や父の恋愛事情にも謎が多く、予想を裏切るような展開から目が離せません。
誰もが憧れる超イケメンの兄2人・哲と烈。見た目も性格も違うので「どっちがタイプ?」と、友達と話が盛り上がるかもしれません。キャラクターが魅力的なのもポイントです。
果たして静に彼氏は出来るのか、それとも兄と禁断の恋へと発展するのか、報われずに終わるのか……。最後までハラハラドキドキさせられるストーリーです。
舞台は超ド僻地にある全寮制の男子校。最寄駅まで車で50分、さらに島を出るには1日2本しかないフェリーが必須!そんな脱出不可能な男子校で巻き起こる青春ストーリーを描いた漫画です。
ある日突然、主人公の牧を慕う同級生・花井の、自然消滅しかけていた彼女がこの超ド僻地な男子校に遊びに来ることに。しかも、なんと花井は乙女系男子。中学時代その事を隠して交際していたため、今回も男らしく振舞う花井ですが、なんと彼女は花井の演技を見抜いていて……!?
男子高生の心理が女子にもわかるかもしれません。不器用ながら、恋も友情も真っ直ぐ青春を謳歌する男子たちの物語です。
- 著者
- 和泉 かねよし
- 出版日
- 2007-01-26
魅力は何といっても、男子がメインという少女漫画の掟破りなストーリー!男子校が舞台で、男子が主人公という珍しい少女漫画です。少女漫画にありがちな甘々設定ではなく、男子の心情が描写されており、男心を学ぶにはよいテキストかもしれません。
男子目線で描かれた切ない恋物語では、牧の不器用な優しさにキュンとする場面が多々。花井の彼女が学校に押しかけて来た真意を知った時は、彼女の心に刺さる言動をしています。少女漫画的な夢見がちな展開ではなく、リアルな展開にハラハラしつつも、不器用ながら真っ直ぐな優しさに心が温まります。
相手を思うからこその心のすれ違いや人間関係のもつれ、なかなかうまくいかない恋たちに少しヤキモキ……。不完全燃焼な感じの恋が多いのは、登場人物たちの過去に原因があったりします。そういった細かな生い立ちの設定も見どころです。
作者2作目の歴史ものです。舞台は古代の国・亜、主人公は正室の娘・亜姫と、奴隷・薄星。姫のサクセスストーリーと、身分の違う恋を描いた物語です。
亜の国には2人の王妃が存在していました。1人は絵にかいたような意地悪な王妃、そしてもう1人は主人公・亜姫の母。亜姫の母は正室でありながら、病弱なため日陰に追いやられた日々を過ごしていました。そんな母を助けるために盗人のような事を続ける亜姫と、金の髪と青い目をした奴隷・薄星が出会い、物語が進んでいきます。
- 著者
- 和泉 かねよし
- 出版日
- 2008-08-26
前作『二の姫の物語』をより深掘りし、濃く、衝撃的に描いたようなストーリーです。美しい物語の導入部分と最終話が綺麗に紐づくのも感動的。まるで1本の映画を見たかのような余韻が胸に残ります。
正室の姫であるにも関わらず、もう1人の王妃から虐められ、盗人のような生活を強いられる亜姫。そんななかでも強くたくましく生き抜く様子に、心を動かされます。数々の出会いによって賢く強く、そして美しく育っていく姿に読み手もどこか励まされ、前向きな気分に。
女のドロドロした虐め、各登場人物の事情、国と国との争い、報われそうもない身分違いの恋など、複雑に綿密に作りこまれたストーリーは、読み進めるとともにどんどん惹きつけられます。老若男女問わずおすすめできる傑作です。
『女王の花』については<『女王の花』5分でわかる魅力!一国を守り生き抜いた王女の最後の願いとは【ネタバレあり】>で詳しく紹介しています。
どの作品も映像化されそうなほどストーリーが深く、かつ前向きな気持ちになれるのが特徴です。特に和泉かねよしの歴史もの『二の姫の物語』と『女王の花』は、かなりおすすめ!歴史ものでありながらも現代社会にも通ずるものがあり、読んだらきっと何かが得られるはずです。漫画好きはもちろん、普段あまり漫画を読まないという方にもおすすめしたい作品です。