木下半太のおすすめ小説ランキングベスト5!テンポの良い展開とラストに注目

更新:2021.12.18

木下半太は映画監督を志した後、脚本家、俳優を経験し2006年『悪夢のエレベーター』で作家デビュー。代表作に「悪夢」シリーズがあり、テンポの良さと読み易さに加え、ラストの予想も付かない展開に根強いファンも多い人気作家です。

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絶対的な構成力を誇る作家木下半太

木下半太は2006年のデビュー後、大阪の有名占い師に「あなたは売れるから来年の2月に上京しなさい」と言われ翌年上京。するとその言葉通り、上京と同時に「悪夢」シリーズが売れ始めるという、まるで小説のような経験をしています。

出身は大阪府で1974年8月9日生まれのO型。幼い頃は野球少年として活発な幼少期を過ごしますが、モテたいがために図書館通いをするなどの積極さとユーモアのある少年だったようです。

18歳でパチプロになるも大学受験には失敗してしまい、映像関係の専門学校へ入学しますが講師と喧嘩になり中退してしまいます。

21歳で劇団「プリティー・ママ」、23歳で劇団「チームKGB」を結成し、脚本家と俳優として活動します。そのかたわら、バー「ケイジ」を経営し27歳で結婚。この時すでに多額の借金があったにも関わらず酒浸りの毎日だったようです。

31歳で禁酒を宣言すると、脚本家ならではの構成力と喜劇的作風が評価され「悪夢のエレベーター」でデビュー。文章のスピード感や軽いノリ、ラストの一発大逆転はこうした波乱の人生経験が反映しているのかも知れません。そんな予測不可能な木下半太のおすすめ小説ランキングベスト5をご紹介します。

5位:予測不可能!何でもありのドタバタコンビ!

歌舞伎町のホスト「タケシ」は、自らを「吾輩」と呼び、律儀な性格。しかし彼の正体はなんと吸血鬼。ひょんなことから出会った美女の雪女「雪美」の血を吸いたいがために、雪美から請け負った仕事は「復讐屋」でした。可笑しな依頼者から次々に舞い込む依頼と二人の掛け合い、気づけばクスッと笑ってしまいます。

著者
木下 半太
出版日

何と言っても面白いのが個性豊かな登場人物です。主人公の吸血鬼は迫力も無く気弱で美女の血が吸いたいが為にわざわざ整形までしてしまう、いわゆる草食系。打って変わって美女の雪女は冷徹な性格で能力も高く、瞬時に物を凍れせてしまうほど。

そんな対照的な二人が、催眠術使いの弁護士や元ヤンホストたちと繰り広げる騒動は読みながらツッコミたくなること間違いなし!弱くてかっこ悪い吸血鬼だけど、どこか愛おしく思えてくるはずです。

短編集なので毎話完結のストーリーが読み易く、一気読みに最適の一冊です。本作を読んだ後は続編の『六本木ヒルズの天使』もどうぞ。

4位:借金帳消し!?なりきり鈴木ライフ!

高級住宅地に集められた四人の男女。赤の他人の彼らには「借金」という共通点がありました。そんな彼らが謎の男から借金帳消しを見返りに命令されたのは、一年間誰にもバレずに「鈴木」になりきることでした。

共同生活の中で芽生えた信頼感と本当の家族のような安心感。しかし彼らは何故「鈴木」になりきらなければいけないのか、衝撃のラストです。

著者
木下 半太
出版日
2015-06-10

数ある木下半太の小説の中でも群を抜いてインパクトのあるタイトルがこの『鈴木ごっこ』です。ページ数も少なく軽めに読めるので読書が苦手な方でも楽しめるおすすめの一冊です。

鈴木ごっこというタイトルだけあって、最後は解散するのだろうか?しかしそれでなぜ借金が無くなるのか?そもそもなぜ鈴木!?という数々の疑問が読み手を楽しませてくれる本作。

他人であろうと家族というくくりの中に居たらいつしか情が沸き、信頼感が生まれるもの。それが物語にどう影響していくのか、非現実的でありながらリアルに描かれた描写に引き込まれます。

そしてすべての疑問、すべての答えはラスト7行!気持ち良く裏切られて下さい。

3位:どんでん返しの連続!?人生を賭けた騙し合い!

キャバクラの店長「シュウ」、ボーイの「コジ」、常連客の「健さん」。彼らは人生を賭けた銀行強盗を成功させ開店前のキャバクラ「ハニーバニー」に駆け込みました。盗んだ大金はそこで三分の一ずつ分ける筈でしたが、彼らは揉め始めてしまいます。そこへ大金を狙うオーナーの「破魔翔」、川崎の魔女「渋柿多見子」も加わり騙し合いが開始。どんでん返しに次ぐどんでん返し。一体大金は誰の手に渡るのか、最後まで予想が付きません。

著者
木下 半太
出版日
2013-08-24

 

2014年に品川ヒロシ監督、藤原竜也主演で映画化され話題になった小説です。人生一発逆転を狙った銀行強盗を無事に成功させた三人の男たちでしたが、本当の勝負は分け前からでした。

とにかく全員悪者です。騙し騙され、信じて騙され、一体何回どんでん返しが繰り返されるんだ!という気持ちにさせられます。

ですが、そのドキドキ、ハラハラ感が最高に気持ち良く、現在と過去の描写がテンポ良く描かれ、その過程で疑問も解決されるスッキリさは、まさに木下半太の小説にふさわしく思います。また、映画を観たという方も映画と原作ではラストが違うので是非とも読んで頂きたい一冊です。


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2位:木下半太史上最恐のサイコミステリー!

大阪の伝説の刑事の孫「赤羽健吾」が担当した事件は、殺人事件。犯人は美女ばかりを狙い、死体の傍らには必ずアヒルの玩具を置きます。健吾と組んだのは行動分析課の上司「八重樫育子」。

健吾と育子のコンビで事件解決に挑むも、繰り返される猟奇的殺人。その中で浮上した57年前の未解決事件とは。現在と過去を行き来する本格ミステリーです。

著者
木下 半太
出版日
2014-08-05

新米刑事とプロファイラーのコンビがアヒルキラーによる殺人事件を解決する本格ミステリーです。とにかく面白い!の一言。サスペンスが好きだという方にはおすすめの一冊です。

中でも犯人との頭脳戦は読み手のこちらがハラハラしてしまうような駆け引きの上手さ。過去に起こった未解決事件と今回の事件が折り重なり、現代から過去に、過去から現代にと交互に進行していく様は見事です。

話の切なさとサイコミステリーにコメディ要素も含めた良作。期待通りのスピード感とどんでん返しも健在で、初めて木下半太作品を読む方にも最適の一冊です。

1位:閉鎖空間の中に生まれた感動の人情劇

手品が得意なチンピラ「大二郎」は女医の「ニーナ」を誘拐し観覧車に立てこもります。大二郎とニーナの乗るゴンドラには爆弾があり、大二郎は身代金に6億円を要求しました。それに巻き込まれたのは、家族連れで乗車していた「朝子」や伝説のスリ師「銀爺」、別れさせ屋の「美鈴」といったユニークな乗客たち。

大二郎の目的とは、乗客たちの運命は……。

すべての伏線の回収と共に、読者はきっと大二郎を好きになるでしょう。

著者
木下 半太
出版日
2008-05-10

「悪夢」シリーズ第二弾にして最高傑作とも名高い本作。とにかく構成の完成度の高さには驚きです。物語が進むに連れて登場人物たちが繋がり始め、前半のコメディタッチが嘘だったかのような後半の盛り上がり。

木下半太といえばどんでん返しの連続を期待してしまうのですが、今回はじっくり最後まで取っておいて下さい。読者に必要なのは伏線を見逃さないこと、焦らないことです。そしてラストまで読んだ後、込み上げる感情の余韻に浸って下さい。

笑い・驚き・涙どれを取っても堂々の第一位です。最高のエンターテインメント小説、忘れられない一冊に間違い無しです!

木下半太はコメディからサスペンスまで幅広いジャンルの物語を描ける作家です。読みだしたら止まらない文章力に加えて、ラストのどんでん返しは来ると分かっていても騙されるので期待を裏切りません。平坦な毎日に刺激が欲しい!映画のような体験をしたい!そんな方に絶対的におすすめの作家です。

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