「印象派」とは何か?特徴、歴史、主要な画家のことがもっとわかる5冊

更新:2021.12.18

国内外で大人気の印象派絵画。展覧会には行ってみるものの、「なんとなく」鑑賞していませんか?作品鑑賞がもっと豊かになる5冊を紹介します。

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日本で大人気の「印象派」とは?

2016年末に、1年間に国内で開催された展覧会の入場者ランキングが発表されました。第一位は、東京・六本木にある国立新美術館で開催された「ルノワール展」。総入場者数は40万人を超え、2位以降にランクインした他の展覧会とは大きく差が開きました。

ルノワールは、「印象派」の運動に参加した画家のうちのひとりです。では、印象派とはいったいどんな芸術流派なのでしょうか?この記事では、本を通じて「印象派の特徴、歴史、代表する画家、その物語」などを案内します。

印象派ってそもそも何?特徴がわかる入門編

印象派および印象主義[Impréssionnisme]とは、1870年代にフランスを中心におこった芸術運動。一般的に、西洋絵画は宗教的な主題を描く場合が多いですが、印象派はその限りではなく、屋外の風景や人物像を描いています。なお、日本で印象派が絶大な人気を誇るのは、キリスト教の知識が少なくても鑑賞しやすいことが一因であるとも言われています。

印象派の画家たちの最大の特徴、それは光の表現です。われわれが感じたままに世界を表現しようとしたとき、空は青、影は黒の一色だけでしょうか?印象派と呼ばれる画家たちは、空の青や影の黒にも微妙な濃淡や色の違いがあることを発見しました。彼らは、絵具を丁寧に塗り重ねることで、時間とともに変わっていく光の微妙な色合いをとらえようとしたのです。

 

著者
井出 洋一郎
出版日
2012-06-27


もっと詳しく印象派の作品の特徴をつかむために、まず読んでおきたいのがこれ。作品の図版と解説を一度に見ることができるため、絵画のことが全然分からない!という人にもやさしい1冊です。図版と一緒に解説を読むことで、見たことはあるけれど誰の作品か分からなかった…という身近な疑問も解消できます。

まずは身構えずに、美術館を訪れた気分で印象派絵画の世界を覗いてみましょう。コンパクトで持ち運びしやすいので、この本を片手に美術館へお出かけ、なんてことも。

印象派の歴史を、もっと詳しく学んでみよう!

日本国内のみならず世界中で人気を集める印象派ですが、その評価が最初から高かったわけではありません。印象派という名前の由来にもなったモネの《印象・日の出》(1873)は、当時の展覧会で非常に低い評価を受けました。その特徴でもある様々な色を重ね合わせた色彩表現が、当時の審査員たちの目には奇妙なものに映ったのです。まったく新しいものであった印象派の表現は、どのような歴史の中で生まれ、現在のポジションを確立していったのでしょうか? 

 

著者
中野 京子
出版日
2011-06-08


印象派を取り巻く歴史や芸術の制度について、詳しく学ぶことができるのがこの1冊。印象派の絵画と作家、そしてその作品を、19世紀フランス近代史に編みこみながら解説していきます。歴史の中に絵画を位置づけることで、作品の見方がぐっと豊かになるはず。彼らがどのように芸術を志し、独自の作風を確立したのかを学んでみましょう。

著者
木村 泰司
出版日
2012-01-26

加えて読んでみてほしいのがこれ。この本では、印象派以前のフランス絵画の歴史を踏まえた上で、印象派の誕生について知ることができます。取り上げられているのは、マネ、モネ、ルノワール、ドガといった日本でも知名度の高い作家に加え、ベルト・モリゾとメアリー・カサットという女性画家。なかなか光が当たることのない女性作家の作品について詳しく知ることで、印象派の新たな一面を発見することができます。

どんな画家がいるの?代表的な作品を見てみよう!

印象派と聞いてイメージするのは、どんな画家でしょう?《睡蓮》シリーズで知られるモネや、あたたかみのある人物表現を試みたルノワールは、多くの人に知られているかもしれません。

 

著者
出版日


この本では、総勢18人の画家を取り上げています。シスレーやカイユボット、バジールといった作家の名前を聞いたことがありますか?日本ではあまり名前を聴くことがない作家かもしれません。しかし彼らももちろん、印象派における重要な人物です。

印象派とひとくちに言っても、その作風はさまざま。幻想的な作品から、人間の日常生活に密着した作品まで、印象派絵画の世界の奥深さを知ることができます。この本を読んで、お気に入りの作家を見つけてみませんか。
 

もっと作品に感情移入。画家たちをめぐる物語。

印象派の画家や作品についてざっと理解できた方にこそ、ぜひ読んでほしいのがこの1冊。著者は、小説家だけではなくキュレーターとしての顔も持つ原田マハさんです。マティス、ドガ、セザンヌ、モネという巨匠たちを中心に、4つの短編が収録されています。

 

著者
原田 マハ
出版日
2015-06-25


巨匠の周囲の人物たちの視点で語られる、優しくも少し切ない物語。先ほど紹介した「印象派という革命」に登場した女性画家、メアリー・カサットも登場します。美術の専門かである原田氏ならではの作品で、読み終わったあとには改めて絵画を見つめなおしたくなることでしょう。

本の世界を通じて、新たな視点から芸術作品にアクセスしてみましょう。きっと、今までにはなかった発見がたくさんあるはず。これからも、本を通じて観る芸術を提案していきます!

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