日々の泡
- 著者
- ボリス ヴィアン
- 出版日
- 1998-03-02
どうしようもなくなる時がある。
走っても走っても追いつかないもの、気づいたら電気をつけっぱなしで寝ていたりする。この自分の思いを誰にどう表現すればいいのか。
自分には時差があるなんてことを言ったら怒られそうだし。
そんなとき、なにも考えずに思いをすっと言葉にしてみる。
感触だけを文字にしてみる。そうすると思いのほか、放たれるものがある。
私だけの感触。
トランペッターのボリス・ヴィアン。ものごとの感触はしきたりなく自由に描かれる。
“道路の片側には風があり一方には風がなかった。どちらでも気に入ったほうを選べるのだった。樹木は三本のうち一本だけが影をつくり、二つの溝の一つだけには蛙がいた”
彼の感触、それは音のようでもあり、香りのようでもある。分からないのにわかるんだ。
パリに住む三組の恋人たちが出会っていく物事たち。
食感、触覚、感触。なにかが、あなたに触れることは多分すごく特別なことだと分かる。
老人と海
- 著者
- ヘミングウェイ
- 出版日
「HEMMING EP」をリリースしたからヘミングウェイを読まないと。読み終えてからは自然と魚のネックレスを毎朝セレクトしていた。
釣りのことはあまり知らないけど。小さな頃何故かおもちゃ箱の中にまぎれてグルグル巻くリールだけが入っていた。それでそれをただひたすらグルグルして遊んでいた記憶がある。
食べて私たちは生きている。食べものは自分を作り出す。
命をいただくことは見方によってはかなしいけれど、自分の中にいるカジキマグロを思うと、食べたものたちは自分の味方のような気分になってなんだか勇気もわいてくる。一緒に頑張ってくれるのかもしれない。
この作品はライオンの夢で終わりを告げる。
それは優雅な夢のようでありながら、食べる食べられるということの現実的な夢にも見える。
それでも、やっと家に帰ってこれた老人にとっては優雅な夢であってほしいとカジキマグロも願っているはずだ。