「もしかしたらこれは…宿題怠けた、私の勝ち組かもよ」
朝身支度を整えて学校へ行けば友達がいる、友達と他愛もない会話と進路の相談。ありふれたこの日常は非日常の中にある。
何もない日常に不満を覚えている 主人公・小山門出の住む地球に2008年8月31日、突如「侵略者」が舞い降りる。ニューススレに張り付く僕らと、そんな世界の終わりを彷彿とせざるを得ない夏休みの終わり。
その三年後。空に浮かぶ新着者の艦隊、交番に示される戦闘による死亡者、それには相反して世界は思いのほか何事もない日常に戻っているのだった。
「・・・・時は満ち、修羅場に還る楽天地・・・・」
島で生活を送る三人。同じ言葉を唱え、テレパシー実験を行い、島の外から届く物資で食いつなぐ。そんな日常とはかけ離れた彼らの日常。
しかし、その日常はぼろぼろと崩れていく。絶えていく救援物資、島外からの来島者。彼らは何故このような日常を強いられているのか、クライマックスでその謎は明かされる。
「解脱できた」
紺野は「解脱」という行為を繰り返している。自らの体から「解脱」し他者の意識に自らの精神を繋ぐのだ。
そんな様々な人物の視点から「解脱」を描いたストーリーが続くのだが、ときに記憶の中インパクトに残っているのが一時的な記憶障害が続く教師の話だ。
自分の記憶にはないのに自分から暴力を受けている妻、淫猥な行為を持ちかけてくる女生徒、起きた瞬間目の前に広がる残死体。自らの意識外で起こる事件、これは誰かに体・精神をのっとられているのだろうか。