子どもたちにプレゼントを贈らなくてはならないことが、歳を取ると増えます。当然です。みんな、大人に贈られてすごく嬉しかったわけですから。 しかし! 贈る側になってハタと気づく、「コレジャナイの罠」。ビミョウにツボを外されてもふつうは喜ぶんですが、思い起こせばほろ苦い「コレジャナイ」。 やはり、せっかく贈るなら、贈られる側のハートをバッチリ掴みたいものです。 というわけで、鉄道雑誌を「テツ」の彼氏や子供たちに贈るとしての「鉄道雑誌業界地図」を書いてみました。ぜひご参考に。
鉄道ファン 2016年 03 月号
2016年01月21日
鉄道ファンの名前通り。1961年創刊。まさに鉄道趣味、鉄道ファンの中心雑誌。扱う内容の幅が広いけど、幅が広すぎて、ディープなマニア的には物足りないこともあるかも。しかし、圧倒的に対象年齢も幅広いので贈り物としては一番無難。でも定番すぎて「もう買ってた」のリスクもあり。ほんと、定番中の定番。
今はネットとかで情報を得られるけど、それでも雑誌に印刷された写真を見れば楽しいってもんです。初心者から中級者まで幅広く、話題も豊富。抜群の安定感、読みがいもあり、圧倒的な無難さで強くおすすめできる。巻末に車両の図面もついてるのも伝統で楽しい。
鉄道ジャーナル 2016年 03 月号
2016年01月21日
硬派・社会派。1967年創刊。この雑誌の1980年代にあった電車の運転室への同乗ルポ記事はすごく素敵でした。でも今は運転室への同乗が、昔より安全上厳しく制限されちゃってるので難しい。そこは昔の同乗ルポが載ってるバックナンバーも買えるので、それも併読オススメ。往年の夜行列車の同乗ルポなんかはすごく楽しいので、それは出版側もわかってて特集号を出してる。
対象年齢は「鉄道ファン」より高めだけど、中高生ぐらいなら読めます。というか、鉄道雑誌ってのは背伸びして難しいのを読むのが楽しいものなんですよ。それで無理して読んで、難しい用語や漢字を覚えるわけです。
だいたい、「碍子」とかわかります? 電柱なんかで電線を吊ったりするときに挟む絶縁体の陶器だったりするのですが、まず普通の人はそれがなんだかわかる以前に、漢字として読めません。「碍子(がいし)」と読む。鉄道趣味のおかげで私はこれを小学高学年の時には読めました。鉄道趣味は「ほどほど」なら教育に大変良いわけです。過ぎると人生踏み外しますが。(私だ……)。
写真もちょっと年齢層上を狙った写真が多い。交通問題を広く捉える観点でバスの話も早くから取り上げてるので、個人的にオススメな雑誌です。
鉄道ピクトリアル 2016年 03 月号
2016年01月21日
密度が素晴らしく濃く、時々特集号が出ると、それが長い間バイブルとなることが多い。私鉄の特集号も出ることがあるけど、それは子ども相手には難易度ウルトラハード級。ですが、贈るとだいたい喜ばれます。
読めなくても子供が持ってて喜ぶのが鉄道雑誌の不思議なところです。写真少なめですが、子供でも大きくなるうちにだんだん読めるようになって、どんどん面白くなる。鉄道雑誌ってのはそういう成長要素ありですね。しかも捨てずに持ってるとバックナンバーが必ず宝物になる!
誌面はもう業界紙というのを超えて、誰を対象にしてるかわかんないほどの難易度の高さ。でもその難易度で大人気分を味わうのがこの雑誌。鉄道趣味は大人のものなんです。子供はそれを垣間見、背伸びして追いつこうとするのが楽しいんです。
鉄道ダイヤ情報 2016年 02 月号
2016年01月15日
臨時列車情報など満載。撮り鉄御用達でありました。他の雑誌とかなりカラーが違うけれど、撮り鉄の子供に贈れば、まず喜びます。これがないと鉄道撮りに行くのがしんどい。まさに役立つ情報誌。
ただ、撮り鉄乗り鉄でないと、なにがなんだかのところもあるかも。これを贈るのは、うまくツボにはまった時はデカイけど、外すとうーむ、になる。でもチャレンジしてもいいかも。
鉄道模型趣味 2016年 02 月号
2016年01月20日
模型趣味ならこれ。定番。
TMSの略称が渋い。「テツドウ・モケイ・シュミ」でTMSという。でもそれが「タイム・マネー・スペース」という鉄道趣味全般のジレンマの言葉の語源になった。鉄道趣味のみんな、時間とお金と場所の確保と両立で泣いています。(´;ω;`)ブワッ。お金があるときには時間がない、時間ができるとお金がない、両方揃っても模型で遊ぶ部屋がない……。よくありすぎる話です。
鉄道模型の作例中心の雑誌。これに作例写真が載るのが鉄道模型ファンのステータスでありました。まさに憧れの雑誌。模型誌は乗ることがステータスだし、眺めてていつまでも飽きが来ないのもまた良いのです。
以上5誌は定番の老舗誌。これより後は知らない方もいるかもしれないですが魅力あるものを紹介していきます。
Nゲージマガジン(64) 2015年 12 月号
2015年12月10日
惜別。老舗の鉄道模型趣味の増刊(夏冬のみ発行)でした。が今号で休刊に。まさに(´;ω;`)ブワッ。
これも模型ファンの憧れでした。ちなみに私もちっちゃく載ったことがあります。すごく少ない機会だったので、すごく嬉しかったなあ。模型鉄の子にはバックナンバーを探してでも贈ると喜びます。超おすすめ。
Rail Magazine (レイル・マガジン) 2016年3月号 Vol.390
2016年01月21日
新興勢力ネコ・パブリッシングの雑誌。企画記事で先行老舗誌を追撃中です。「鉄道ファン」の立ち位置を脅かしてるかな。
写真も企画記事も老舗誌に比べれば軽いけど、それゆえのフットワークの良さが支持されてる理由かも。判型も大きいために写真も大きくてよい。
RM MODELS (アールエムモデルズ) 2016年 03月号 Vol.247
2016年01月21日
レイルマガジンとともに生まれた新興模型雑誌。企画記事がアグレッシブ。
「3Dプリンタを鉄道模型に応用しよう!」とか、やや軽めだけどやっぱリフットワークの良さで支持されている。Nゲージマガジンの休刊で鉄道模型雑誌読者を引き受けることになるので、今後にも注目。
実は私、Nゲージマガジンに載ったときの鉄道模型ジオラマで、こっちにも載ったことがあります……。嬉しかったなあ。
あと、紹介したいのが模型のカタログ。なにげに模型のカタログのムックを模型鉄の子に贈ると、物足りなさに子供心にコレジャナイと思うハメになりがちです。
やはり模型のカタログはやはり模型メーカーのカタログがオススメ。カテゴリとして書籍扱いされてないけど、これ、読んでみると実に奥が深い。
25-000 KATO Nゲージ・HOゲージ鉄道模型カタログ2015
2014年12月19日
TOMIX 7036 トミックス総合ガイド2014-2015
2014年12月13日
0006 グリーンマックス Nゲージ総合カタログ2014 (vol.16)
2013年12月22日
D0004 マイクロエースカタログ4号
2012年04月29日
それぞれ、ただの商品カタログにとどまらない、鉄道についての深みのある記事が楽しい。模型の作例もまた子供心に憧れます。ほんと、昔こういうの買ってもらったときの嬉しかったこと!
1冊の単価が高くてなかなか子供には買えないけど、ほぼ毎年出るので楽しいし、鉄道模型の商品ラインナップは一気に全部変わることはほぼないので、買ってあげるとほぼ一生ものになります。子供相手には難易度高いかもだけど、そこはパパママと一緒に勉強すれば問題なし。激しくオススメ。
乗り鉄・撮り鉄・模型趣味といろいろな楽しみ方ができる鉄道ですが、これまで紹介した雑誌とはまた違った切り口で楽しむことができる雑誌も紹介します。
j train (ジェイ・トレイン) 2016年1月号
2015年11月21日
さまざまな趣味誌を出しているイカロス出版の鉄道雑誌。切り口が鉄道趣味の中だけでなく、乗物全般から見てという感じで新風を吹き込んだ。ジェイ・シリーズとして他に艦船や航空機もあります。
手広いなあイカロス出版。でもそれゆえの広い視野からの鉄道雑誌づくりはまた面白い。
鉄道デザインEx08 (Rail Design Explorer)
2014年05月30日
デザインの視点から鉄道を語るイカロスムック。ちょい攻めすぎてる記事もあるけど(露骨な批判もある)、鉄道のデザイン論として興味深い記事も多く、写真もデザインの観点からのもので、素敵。でも不定期刊なんだよね……。それだけが残念。でも出たら買いたい。
週刊東洋経済 2015年 11/28号[雑誌]
2015年11月24日
経済の面から鉄道を考えるには必須。ただ電車が好き、のレベルから、その好きな鉄道をどうやって守っていくかを考えるためには好適。良い経営がなければ鉄道は滅んでしまいます。
東洋経済、こんな感じにときどき鉄道特集やるんですよ。まずこれ読んで、今どきローカル線を「乗って残そう」などという昭和の頭ではローカル線を守れない現状を理解しましょう。乗るだけじゃもう残せないんですよ。そこまで日本経済すでにしんどいんですから。
2015 JR 貨物時刻表
2015年03月14日
こんな便利なものも売ってる。ふつう、時刻表といえばJR時刻表とJTB時刻表が双璧だけど、これは貨物列車の時刻表です。これが通販で買えるのがビックリ。密かにプレゼントにオススメです。鉄道マニアとして興味深い渋い時刻表。
時刻表は読むものです。出発し、経由地を経て終着駅へ、と記載された時刻をたどるだけで空想がはかどるのです。暗がりの郊外を、冷蔵コンテナのパイロットランプだけが輝く長いコンテナ列車が黙々と機関車に牽引されて去っていく……それを想像するだけでグッとくるというものです。
まずプレゼントの前にはリサーチを少しかけておくのは大事ですが、でもこの記事をご覧の皆さん、鉄道雑誌がこんないろいろあるとは思ってない方も多いのでは? それぞれ読んでみると深みあり、知見あり、そして鉄道旅をさらに深く楽しむヒントありなのです。