京極夏彦のおすすめ小説10選! 妖怪だけじゃない魅力がいっぱい

更新:2021.12.18

妖怪好きとしてあまりに有名な作家・京極夏彦。デビュー作『姑獲鳥の夏』を読んだ時の衝撃は今でも忘れられませんが、彼の作品は何も妖怪が出てくるものばかりではないんです。妖怪作家が描き出す珠玉の物語、おすすめの10選を集めてみました。

ブックカルテ リンク

圧倒的な筆力×膨大な知識=京極夏彦の世界

北海道出身の京極夏彦は、小説家であると同時に妖怪研究家、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議委員肝煎という顔も持っているほど、自他ともに認める妖怪好きとして有名です。さらに声優やデザイナーとしての活動経験も持つなどマルチに活躍しています。

代表作には、デビュー作である『姑獲鳥の夏』を含む「百鬼夜行」シリーズ、江戸を舞台にした「巷説百物語」シリーズなど多彩で、骨組みは本格推理小説ながら、オカルティズムをふんだんに用いた作品で、本格ミステリファン以外の読者も獲得しています。

1996年に『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞、その翌年には『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞を受賞します。さらに2002年には『覘き小平次』で山本周五郎賞受賞、2003年の『後巷説百物語』での直木三十五賞受賞など受賞歴も多数あります。

また、大沢在昌、宮部みゆきとともに株式会社大沢オフィスに所属しており、執筆活動や連載についての情報は公式サイト「大極宮」にて知ることができます。

人とは何とも業の深い生き物であります

京極夏彦のデビュー作にして代表作である『姑獲鳥の夏』は、後に続く「百鬼夜行」シリーズの第1作です。1994年に講談社より刊行された長編推理小説で、2005年には実写映画化されて話題となりました。

古本屋「京極堂」を営みながらも、本業は宮司、副業として「拝み屋」を生業にしている中禅寺明彦(通称、京極堂)と学生時代から中禅寺と友人関係を続ける小説家・関口が、不可思議な事件を「憑き物落とし」として解決してゆく謎解き展開が見どころです。

著者
京極 夏彦
出版日
1998-09-14

「二十箇月もの間子供を身籠っていることができると思うか」という冒頭部分の関口君の台詞が目に入った瞬間、もうこの物語から抜け出せなくなってしまいます。赤子が生まれるには「十月十日」と言われるように、二十箇月もお腹にいれば母子ともに無事ではいられません。さらに重ねて京極堂が言います。「この世には不思議なことなど何もないのだよ」。はい、これで京極ワールドにどっぷりはまってしまいます。さらに、憑き物落としに向かう京極堂の姿の描写ったら、格好いいのひと言ですよ。

さらに、超能力を持った探偵・榎木津や東京警視庁の刑事・木場といった個性豊かなキャラクターが続々と登場し、物語を彩ってくれます。彼らを巻き込みながら展開していく事件にかかわる「姑獲鳥」の正体は果たして……?と推理小説に、妖怪譚のエッセンスを織り交ぜ、民俗学や宗教、医学などの知識も踏まえながら進んでいくストーリーから、一瞬たりとも目が離せなくなってしまいます。

とある旧家にまつわる噂から、やがて発覚していく衝撃の事実にきっと度肝を抜かれることでしょう。

京極夏彦を語るに避けて通れない1冊です。哀しくも悲しい衝撃のラストをぜひ自分で確かめてみてください。

それもこれも、すべて妖怪の仕業です

『巷説百物語』は、1997年より「怪」にて連載された京極夏彦の時代小説です。後に、同誌で『続巷説百物語』、『後巷説百物語』、『前巷説百物語』、『西巷説百物語』と連載され、「巷説百物語」シリーズと呼ばれて親しまれています。

江戸の末期を舞台に、妖怪に見立てた論理で困難な問題を解決していく小悪党たちの活躍を描いており、2001年に漫画化されたのち、2003年にアニメ化、さらにはテレビドラマにもなっているので、知っているという人も多いでしょう。

著者
京極 夏彦
出版日

江戸の困りごとや復讐を金で請け負う……まるでどこかの時代劇を彷彿とさせますが、そこはやっぱり京極夏彦らしく、「妖怪のしわざ」にして解決する、というのが何とも痛快です。

何といっても、小悪党たちの個性豊かなキャラクターが見どころです。特に、一味を率いる「御行の又市」が格好いい! 問題解決のために「仕掛け」を施し、仕上げに1つ、鈴を鳴らして「御行奉為(おんぎょうしたてまつる)」と締めくくる、又市の凛とした佇まいにシビれますよ。

いつの世にもある人間の心の綾を、妖怪の仕業に見立てるという設定がまた、痛快で素晴らしいです。又市一味の仕業と分かっているはずの読者も「あれ?」と思っているうちに、又市たちの「仕掛け」にまんまとはまってしまっているのです。どうにもならない人の心の綾を、妖怪のしわざにして煙に巻いてしまうことで、あれよあれよと解決してしゆく様子から目が離せません。

妖怪のせいにしちゃって万事解決!という明快なストーリーながら、魅力あふれる登場人物たちの人となり、情緒豊かな江戸の町、そこに住む人々の心の在り方をプラスしてユーモアのある叙情的な奇譚が完成しています。胸にストンと落ちる結末ながら、そこはかとなく漂うほの暗い雰囲気もたまりません。

百物語、と名に冠する1冊らしく、様々な物語がまとまっているのでどこから読んでも楽しめる1冊です。読了後には、きっと又市たち小憎らしい小悪党が大好きになっていることでしょう。

美しくもはかない、2人の物語

『東海道四谷怪談』と『四谷雑談集』をベースに生み出された、京極流「お岩さん」の物語です。1997年、中央公論社より刊行ののちに角川書店により文庫化されました。

怪談を元にしていますが、ホラーではなく、どちらかと言えば人間らしい人間を描いているのが本作。この作品で京極夏彦は、泉鏡花文学賞を受賞しました。
 

著者
京極 夏彦
出版日

「お岩さん」の物語を下敷きに京極夏彦流のアレンジを加えていますが、これはホラーではありません。むしろ純愛を描いた悲恋小説に近いのではないでしょうか。

恨めしい恨めしい『東海道四谷怪談』のお岩さんではなく、疱瘡により醜い姿になりながらも凛とした岩の姿が印象的です。さらに、原典では裏切り者の伊右衛門が、実直で凄腕の侍として描かれ、一途に岩を想う想いに心がキュンとします。格好いいです、伊右衛門。

2人の心の機微を軸に、人間の心のおぞましい部分にフューチャーすることで、怪異ものとは違う恐怖を生み出しています。生霊にでもなってしまいそうな情念の強さを丁寧に描くことで、本作全体に漂うおどろおどろしい雰囲気を一層不気味なものへと昇華しています。

「想いってのはね、どんな想いでもそのまンま相手に通じることなんかねェんです。想われる方が勝手に作り出すもので御座居ましょうよ。」(『嗤う伊右衛門』より引用)

読み進めるほどに心を締めつけられ、清らかで美しい世界に惹きこまれていきます。読了後には、はがゆい気持ちとほっとした気持ちとがないまぜになった、新たな心境を体感できるはずですよ。

闘いの果ての世界で、少女たちは何を見るのか?

京極夏彦の、唯一と言ってもいいかもしれない、近未来を舞台にしたSF小説です。小説の双方向の受信をめざし、1998年よりスタートした企画の一環で、読者からの公募から着想を得て生み出されました。

2001年、徳間書店より単行本が刊行され、後にコミカライズ、アニメ映画にもなりました。

続編として、『ルー=ガルー インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』があり、『ルー=ガルー』から3ヶ月後の世界を描いています。2作目は、単行本、ノベルス、文庫本、電子書籍の4形態が同時に発売されるという出版業界初の試みをしています。

著者
京極 夏彦
出版日
2011-09-15

人間同士の繋がりのほとんどが、端末で行われるようになっている近未来を舞台にしたSFミステリ小説である本作には、無機質で均一化された世界から、リアルな現実世界へ飛び出していく少女たちの姿が描かれています。加えて、「美少女同士の友情」「謎の組織とのバトル」という漫画的要素を盛り込んでいるので、物語にメリハリがついて非常に読みやすいです。

14~15歳の少女をターゲットにした連続殺人事件をきっかけに、事件の鍵を握る同級生の足取りをたどっていくミステリ要素も満載。殺人犯や巨大な組織、そして現実世界と闘う少女達は、闘いの果てに何を見るのか? おじさんと美少女のコラボなんて、読むしかないですよね。 

安全な家庭にいた子どもが、成長して大人の世界へと踏み出していく時のような不安感と同時に、闘いに身を投じる少女達のはかなさ、バトル漫画のわくわく感、1冊に色々つまった、お得な作品。おすすめです。

地響き、ってそうそう体験できませんよね

集英社より2000年に刊行された京極夏彦による連作のギャグ小説です。他作家のベストセラー名作を、京極エッセンスでパロディ化した珠玉の作品ばかりを収録しています。

「四十七人の力士」や「パラサイト・デブ」、「すべてがデブになる」などどこかで聞いたことあるタイトルがずらりと並び、本編に出てくるのは力士ばかりという異色作です。
 

著者
京極 夏彦
出版日

「地響きがする―と思っていただきたい」という一文から始まる7編の短編による連作です。すべてに力士が出てきて、それぞれの話の本筋に何らかの形で作用しているという設定と、各作家陣のベストセラー小説がパロディで楽しめるという画期的な構成で読み応えたっぷりです。「すべてがデブになる」っていうタイトル、想像するだけで嫌すぎて面白いです。

どこを切り取っても肉、肉、肉でデブばっかり、と暑苦しさ満載。しかもただのデブではなく、みんな力士なのですから迫力満点です。汗臭さが文章からも感じられるほど! パロディ小説というよりは相撲小説と言っても過言では無いかもしれません。

本作の文体は京極らしく理路整然としたもので、随所にちりばめた薀蓄的なところは読み応えがありますし、1つ1つが独立した話のように見えて、微妙に繋がっている、という伏線もばっちりですが、内容がくだらなくって声を上げて笑ってしまうようなバカバカしさなんです。

数々の名作を下敷きに、京極夏彦のアレンジで仕上げた本作は、肩肘張らずに楽しみたい時におすすめです。

厭なものが、みっしり詰まっています

「小説NON」にて掲載された「厭」と冠する連作小説です。「厭な子供」「厭な老人」「厭な扉」「厭な先祖」 「厭な彼女」「厭な家」に、描き下ろしの表題作「厭な小説」を含んだ全7編で構成されています。

それぞれの作中に共通して登場し、傍観者的な立場で全編の「厭」な出来事を目撃する深谷というキャラクターが最終的には「厭」な目に遭うという、最後まで「厭」のスパイラルがこれでもかと続く作品です。

著者
京極 夏彦
出版日
2012-09-01

「異なるもの」「怪奇なもの」を描き出すことを得意とする京極夏彦が「厭」なものについて書くのだから、それはもうめちゃくちゃに「厭」なんだろうという想像を裏切らない「厭」のオンパレードです。

登場人物たちはそれぞれ普通に生活している一般市民ですが、彼らにとって「厭」な出来事がとめどなく起きているため、精神的にも救いがなく、全編通じてハッピーエンドではありません。加えて、展開や人物造形にリアリティがあるため、より「厭」さが際立っています。

あくまで、彼らにとっての「厭」であり、自分にとっては無関係であるはずの出来事ですが、じわじわと読んでいる側にも不快な出来事として認識されてくると、一気に「厭」な気持ちになって、どんよりした気分になります。しかし、ページを捲る手を止められないのは、ひとえに「怖いもの見たさ」ゆえです。

読了後にスッキリしたり笑えたりなんてことは全くありませんが、ふと気づくと手に取って読んでしまう不思議な引力をもった作品。梅雨時期に読むと、ねっとりとまとわりつく不快感が味わえておすすめです。

さらに新書判は本の装丁からして「厭」な雰囲気を醸し出していますので、見かけたら手に取ってじっくり見てみてください。じんわりと「厭」な気分になれること請け合いです。

柳田國男と京極夏彦のコラボは必見

民俗学の父として有名な柳田國男が、岩手県遠野地方に伝わる不可思議な逸話や伝承などをまとめた名著『遠野物語』を、京極夏彦による現代語訳・説話順の入れ替えといった「リミックス」によって刊行された、いうなれば柳田と京極のコラボ本です。

読み下しにくい仮名遣いや言い回しを平易に直しているため、『遠野物語』に親しむきっかけとしておすすめです。

著者
["京極 夏彦", "柳田 國男"]
出版日
2014-06-20

京極夏彦が、柳田國男を幼少から読んでいたというのはファンには有名な話ですが、そんな彼が、そもそもからして面白い名著『遠野物語』を「リミックス」するというのだから、本作が面白くないはずはないんです。

単なる現代語訳に留まらず、そこに柳田の想いを汲み取った京極の意訳、さらには説話の順序を入れ替えるという大胆な手を加えることによって、原著のコンセプトを崩さずより1つ1つの説話のもつ情緒が豊かになったのが本作です。

あくまでも『遠野物語』のリミックスですから、京極が原著から着想した小説ではありませんし、起承転結がはっきりしていない話も多くあります。しかしそこには、若かりし頃に、未開の地で伝えられている「不思議なお話し」にワクワクしている柳田が情熱のまま書き綴った『遠野物語』へのリスペクトを感じられます。

柳田國男と京極夏彦と、夢のコラボを実現させた本作。まずは、先入観を持たずに手に取ってみてください。プレーンな状態で読んでみて、面白かったら原著を読んでみるとより理解が深まりますよ。

自分探しの旅にでる豆腐小僧って、シュール。

2003年に、講談社より刊行された本作の主人公は、豆腐を載せた盆を持ち立ちつくすだけの妖怪・豆腐小僧。これまで京極夏彦の作品ではなかった、妖怪が実態や人格を持って登場する意欲作です。

ある日、ふと自分の存在意義について疑問を持った豆腐小僧が、アイデンティティーを模索しながら妖怪について学んでいく珍道中を描いています。
 

著者
京極 夏彦
出版日
2010-10-23

同じ「妖怪」が登場する物語とはいえ、作品全体の軽やかさが違います。「妖怪について」「妖怪とは何か」については、他の作品でもさんざん解説されていますが、同じ観念でもまるで落語や講談のような軽妙な語り口ですらすらと読み進めることができるでしょう。

まず主人公である豆腐小僧がかわいすぎます。困ったり喋ったり、転んで尻もちをついたり……。妖怪なのに人間のように味のある豆腐小僧が、自分探しの旅の途中で出会う個性豊かな妖怪たちと、妖怪について語り合う様子はほほえましく、またどこかズレた豆腐小僧の愛らしさについついにんまりしてしまいます。

何も知らない豆腐小僧と一緒に、妖怪についても江戸の風俗についても学べ、さらに解説書としても楽しめる気軽な1冊。妖怪についての入門書としても、読んでおいて損はないですよ。

分からないから、怖いんです

2010年に講談社より刊行された本作は、センセーショナルなタイトルが印象的です。

3ヶ月前に殺されて死んでしまった女のことについて話を聞きたい、と1人の男、ケンヤが関係者を訪ねていくところから物語は展開していきます。果たして、ケンヤが知りたいこととは何なのか?オムニバス形式で展開する物語が集約する時に衝撃の結末が待っています。

著者
京極 夏彦
出版日
2012-11-15

ひと言でいうと、暗いです。おどろおどろしい妖怪的な暗さではなく、人間の心の昏さを全面に出してまとめたような暗さが漂っています。その暗さに身に覚えがあるのは、日常に不満をもちつつも変化を恐れる登場人物たちが自分と重なるからかもしれません。だからこそ、ケンヤの「死ねばいいのに」という言葉が突き刺さるのです。

主人公のケンヤが知りたいのは、死んでしまったアサミのことについてなのですが、ケンヤ自身も直接会ったのは4回だけで、しかも特別な関係にあるわけではないという、冒頭から何ともミステリアスな展開でスタートします。

アサミのことを話しながらいつの間にか自分の不平不満ばかりを吐露してしまう登場人物たちに対して、「そんなに嫌なら死ねばいいのに」と言い放つケンヤの純粋さが秀逸です。「死ねばいいのに」と言われて「うん、そうだね」などと言う人間はほとんどいないでしょう。「死ね」と言われると反射的に「嫌だ」と答えるのだから、結果的には「こんなに嫌なことがたくさんあっても死にたくはないし、死なない」と、逆説的に社会で生きていく希望を与えてくれるのです。

そして、リアリティある関係者とは裏腹に正体不明のアサミに対する恐怖が文章から漂ってきます。「分からないから怖い」を体験できるミステリ要素たっぷりの作品、京極夏彦が得意とするじわじわ怖い物語をぜひ堪能してみてください。

愛おしくもバカバカしい少年たちの日常

2011年に集英社より刊行された『虚言少年』は、昭和という時代のどこかの小学校を舞台に、6年生の男の子3人が「あーでもない」「こーでもない」と日々の中に少しの「おかしみ」を探しながら生活していく物語です。3人組の日常生活を切り取った短編が7つ収録されています。

虚言少年とは、有体に言えば「うそつき」のことです。ただ、本作の主人公はばかばかしい面白さのために嘘を付くので、結果的に誰も不幸になりません。他愛のない子供の嘘なのですから。

著者
京極 夏彦
出版日
2014-09-19

あの頃、そんなこともあったなぁと懐かしくてちょっぴり切なくなる、だけど究極にバカバカしい物語です。主人公の内本健吾は小学6年生ですから、まだまだひよっこです。しかし、小学生には小学生なりの世界がありコミュニティの中での処世術があります。本作では、その処世術として「嘘」が使用されています。嘘というよりは、屁理屈に近いものがあるかもしれません。

「女子にモテたい」とか「秘密結社をつくる」とか、「ちょっとした言い間違いが面白い」とか、子どもらしい理由や出来事に、嘘や屁理屈を加え、さらには無邪気な下ネタをスパイスにして、バカバカしさをさらにプラスしています。

主人公である内本健吾の一人称で語られる物語ですが、「因みに、これは大人になった僕が、過ぎ去りし少年時代を回想している体裁の語りではない―ということを最初にお断りしておく。」とお断りされているように、どれだけおじさんくさく感じても、あくまで当時を生きている小学生の話です。しかし、作中で「携帯電話もタブレットもない」などと言い出すメタ発言も散見され、昭和時代と現代とのリンクにもクスリとさせられます。

殺伐とした殺人事件も、百年の恋も、ゾッとするような心霊体験も何も起きない、ただの日常生活。そんな中にある少しの辛さや苦しさを、ちょっとした嘘でおもしろくしてしまえる小学生は、もしかしたら最強なのかもしれません。

京極夏彦の「おふざけ」ともいえる本作は考え過ぎずに気軽に笑える物語なので、疲れを感じた時に読んでみるのがおすすめです。ホッと肩の力が抜けてリラックスできるはずですよ。

妖怪小説家としてあまりに有名な京極夏彦ですが、妖怪ばっかり描いているわけではないんです。分厚い書籍に面食らうこともありますが、京極作品の魅力はその分厚さすら気にならない圧倒的な筆力にあります。気になった作品があったら、一度手に取ってみてください。気づくときっと、京極ワールドの虜になっているはずですよ。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る