うさぎのミッフィーといいますと、絵本だけではなくキャラクターとして思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。シンプルでわかりやすい絵と言葉、鮮やかな色使いで子どもの心をひきつけるディック・ブルーナの絵本を年齢別にご紹介します。
ディック・ブルーナはオランダ生まれの絵本作家で、グラフィックデザイナーとしても活躍しました。幼いころから絵を描くことを楽しんでいた彼は、中学に入った頃に絵の基礎を学び、油絵を描くようになります。
様々な出版社での研修を経て、父が経営するブルーナ社にグラフィックデザイナーとして入社したのは1951年のことでした。ブルーナ社では本の装丁を担当し、ミッフィー作品にもつながるような、シンプルでパッと目を引くデザインを多く描いていきます。1955年には、人気シリーズとなったペーパーバック「ブラックベア」シリーズを手掛け、同じ年にうさぎを主人公とした言葉のない絵本、ミッフィーの元となる「ナインチェ」を刊行し、子どもたちに支持されました。
1959年には、赤、青、白、緑、黄色の「ブルーナカラー」と呼ばれる色を使い絵本を描き始めました。この色は「うさこちゃん」「ミッフィー」シリーズでも変わらずに使われています。1963年に、「ナインチェ」を新たに書き直し、日本でも『ちいさなうさこちゃん』として翻訳されました。
その後もたくさんの絵本を発表し、多くの作品が各国で翻訳されています。ディック・ブルーナが亡くなった今でも、世界中の子ども達に支持されています。
『おはようミッフィー』は、0歳からゆっくりと楽しめる絵本です。絵本の形は四角ではなく、ミッフィーの形をしているので、赤ちゃんが手で触って形を楽しむことができるでしょう。また、厚紙でできているので、めくることが楽しい時期のお子様が自分でめくっても破けにくく、思う存分本をめくる楽しさを経験させてあげることができます。
朝起きてからの「おはよう」というご挨拶から始まり、ご飯の前の「いただきます」、動物に出会った時の「こんにちは」、眠る前の「おやすみなさい」など一つひとつの挨拶がディック・ブルーナのシンプルで分かりやすい絵とともに描かれています。
- 著者
- 出版日
- 1995-06-26
この絵本の楽しみ方としては、もちろん自分でめくって楽しむ時間も良いのですが、ぜひお父さん、お母さんのお膝の上でゆっくりと読んであげていただきたいです。お座りが出来る前の赤ちゃんでしたら、ねんねのまま読んであげても大丈夫です。鮮やかな色は赤ちゃんの目でも認識しやすいので、優しい声に安心しながら小さな赤ちゃんでも楽しむことができます。
また、1日の流れが描かれているので、1歳近くなってきたら夜眠る前に読み「おやすみなさい」で眠るリズムを作ってあげることもおすすめです。
『ちいさなうさこちゃん』は「うさこちゃん」シリーズの元となる絵本で、内容はシンプルながらも深く、1歳くらいから長く楽しむことができます。
この絵本には、はじめはうさこちゃんは登場しません。出てくるのは、うさぎのふわふわさんにふわおくさん。仲良く暮らす2人の元に、ある日天使がやってきます。そして可愛い赤ちゃんの「うさこちゃん」が産まれるのです。うさこちゃんが登場するのは絵本の後半から、しかも赤ちゃんうさぎなので台詞もありません。
そんなうさこちゃんにたくさんの動物が祝福にやってきます。こうしてたくさんの友達に祝福されながらうさこちゃんの物語は始まるのです。
- 著者
- ディック ブルーナ
- 出版日
- 2000-12-01
この絵本は、1歳くらいのお子様が好きな動物がたくさん出てきますので、1歳になりたてのころは内容よりも絵を見ながら動物を指さして楽しむことができます。もう少し月齢が上がり、ぬいぐるみなどを赤ちゃんに見立てて可愛がるようになったら、この小さな赤ちゃんうさこちゃんにもより愛着を持つでしょう。
そして、もう少し大きくなったら赤ちゃんが産まれた時のことを絵本を通して自然と感じる様になります。自分も産まれた時にこうして周りの人が喜んでくれて、大切に守られていたということを感じることができるでしょう。年齢によって感じ方が変わる、シンプルですが深い1冊です。
『うさこちゃんのたんじょうび』はそのタイトルの通り、うさこちゃんの誕生日の1日を描いた絵本です。年齢は特に書いてはありませんが、『ちいさなうさこちゃん』の時とは違いうさこちゃんの台詞がたくさん出てきます。
たくさんのプレゼントに、楽しいパーティー、そして特別なごちそう。この絵本には、子どもの「こんな誕生日って素敵」という気持ちがたくさん詰まっています。
そして、大好きなお父さん、お母さん、そしてお友達やおじいちゃん、おばあちゃん、たくさんの人にお祝いをしてもらいます。1番嬉しいのはプレゼントやごちそうではなく、お祝いをしてもらうことなのかもしれませんね。
最後のページには、「かあさん、ほんとにありがとう!たのしかった」といううさこちゃんの台詞があり、気持ちが暖かくなります。
- 著者
- ディック ブルーナ
- 出版日
- 1982-05-31
誕生日は子どもにとって1番嬉しい日、そして待ち遠しい日でもありますよね。2歳くらいの子どもは、少しずつ先の見通しが持てる様になります。この絵本を読み終わった後には、「誕生日楽しみだね」「プレゼント何が良いかな」と自分の誕生日を楽しみに待てるようなお話をしてあげると、より絵本の楽しさが広がるでしょう。
また、うさこちゃんの台詞の内容も、今2歳でもうすぐ3歳の誕生日を迎えるお子様にぴったりですので、自分に置き換えてうさこちゃんの気持ちに共感しながら読むことができる絵本です。
『うさこちゃんとたれみみくん』はうさこちゃんが学校に通い始めてからの話です。ある日、うさこちゃんのクラスに新しいお友達が入ってきます。その子は、他のみんなと少し違うところがあり、耳が片方垂れているのです。
その事からみんなはその子に「たれみみくん」とあだ名をつけます。その子は本当は「たれみみくん」と呼ばれるのを嫌がっているみたい。それを知ってうさこちゃんがした事とは……。
- 著者
- ディック・ブルーナ
- 出版日
- 2008-06-15
3歳児というと、幼稚園に通い始める時期です。集団生活の中で色々なお友達と出会います。中には障害を持っていて、幼心にも自分と違うと感じるお友達もいるかもしれません。
そんな時に、どうしたら良いのかな?ということを分かりやすく教えてくれる絵本です。みんな一人ひとり違って当たり前、違う部分も受け入れながら同じようにお友達になれたら素敵ですよね。
3歳くらいになると、より意思がはっきりしてきます。相手を傷つけるとは知らずに自分の思ったことを言ってしまうこともあるかと思います。そんな時に「そんなことを言ってはダメ」と否定するのではなく、絵本を通して相手の気持ちを考えることができるように促してあげられる1冊です。
『うさこちゃんびじゅつかんへいく』は、少し大人ぶりたいお年頃になったうさこちゃんがお父さん、お母さんと一緒に美術館に行くお話です。
ある日お母さんが、「美術館へ行こうと思うの」とうさこちゃんとお父さんに提案します。その時にうさこちゃんは、お父さんに「小さすぎるから無理かな?」と言われ「もう大きいよ」と言い返します。
このやり取りは、4歳くらいになると、お父さん、お母さんと子どもの間で良く聞かれるやり取りですよね。子ども扱いされることを嫌がって、何でも大人と一緒が良い時期。うさこちゃんもそんなお年頃になっています。
そして、いよいよ美術館。絵や銅像、モビールなど様々な色や形の作品が目を惹きつけます。うさこちゃんも美術館の楽しさを知り、将来の夢も決まったようですよ。
- 著者
- ディック・ブルーナ
- 出版日
- 2008-06-15
この絵本は、子どもがうさこちゃんと自分を重ね合わせて読むことの出来るお話です。4、5歳になり、自分はもう大きいつもりでも、周りからはまだ小さいと言われて腹をたてることもあります。
そんな時に大人と同じように美術館に連れて行ってもらうことで、大人と同じ扱いをしてもらえたという喜びがよく描かれています。美術館で新しい楽しさを知り、世界が広がりそれが将来の夢へともつながったのです。素敵なことですね。
4歳くらいになると「大きくなったら何になりたいかな?」と考え始める時期でもあります。この時期に話した将来の夢は、いつか変わってしまうかもしれませんが、たくさんの経験をして興味や世界を広げてあげることで将来への夢も広げてあげたいですね。そんな子どもの希望が詰まった、お父さん、お母さんにも読んでもらいたい1冊です。
ディック・ブルーナの数ある絵本の中で、おすすめの年齢別に紹介してきました。「うさこちゃん」シリーズや「ミッフィー」シリーズは他にもたくさんあります。ぜひお父さん、お母さんが読んであげたい1冊を選んであげてくださいね。
そして子どもが自分で選べるようになたらお気に入りの絵本をたくさん増やすことができるように手助けをしてあげてください。長い間愛される、絵本には子どもの心を惹きつける理由がありますので、きっと子どもたちの心を豊かにしてくれるはずですよ。