夢を旅する少年
夢を持たせようと希望や期待を投げかけては夢の素晴らしさを子供達に語りかけるが、夢のない大人達がたくさんいる中で一体どんな希望や夢を見て生きていけるんだろう…。この本には夢の素晴らしさが一杯詰まっていて、ストーリーの展開や景色が綺麗に見える中に夢を生きる上で大事なヒントがたくさん散りばめられて、こんな本が小学校とかの教科書なんかに出てくればもっと希望や夢に満ちあふれた世界になるのに…。と思わずにはいられない一冊。本当にたくさんの旅人が好んで読んでいた本であり、世界中から愛されている本です。
自分自身がグル(指導者、教師)なんだ!!
僕がモロッコでグナワの修行をしていた頃に仲良くなったモロッコ老人に、「お前にとって一番のマーラム(アラビア語でグル、マスターの意)はだれや!?」と聞かれて、「うーん…」といつもお世話になっているあの方かな…。なんて思い少しだまっていると。「それはあなた自身だよ。」と、これから日本に帰る僕にその老人が贈ってくれた言葉で、それはただ日本に帰るから物質的に師や友から学べなくなるから。という話ではなく、“自分自身がどうすればいいのかを一番知っている。”“ちゃんと知っておかないといけないよ。”“自分自身から学びなさい。”というメッセージだった。そんな事をこの本からも学んだ。ただのカモメであり、そうじゃないジョナサンが空を飛ぶことに人生を懸け、生きる意味を綴ったフィクションストーリー。
アメリカのヒッピー達の間で回し読みされていて、草の根のように、何年かのうちに少しずつ拡がっていって出版されるようになった本。凄く薄い本の中にさらさら読めるストーリーが展開している。
なぜ旅を続けるのか?
モロッコに旅立つ僕は、友人からこの本を受け取って初めて読んだ時、アルケミストを読んだ時のような興奮に包まれて日本人の作家による物とは思えないストーリー感に一気に引き込まれた。人間の本能の赴くままに、ひとつの場所で学び、自分の出来る事を着実に他へ返し、風のように次の土地へ旅を続ける主人公の姿は、旅の持つ魅力や新たな自分との出会いの喜びを感じさせる。
SF小説とは思えない現実味のあるストーリーの中に、旅の目的性を投げかける作品。ただただ世界一周して新しい物や人と出会う旅ももちろんロマンがある。しかし、自己完結してただ終わるのではなく行く先にやるべきことがちゃんと用意されているのを感知して実行し、自己は他者や現象に委ねて開かれているべきであるということを教えられる、次の新たな一歩(旅)の力を与えてくれる本です。