リズミカルで繰り返しの楽しい台詞と、色々な物を擬人化した暖かな絵で子ども達の心を惹きつけるかがくいひろしの絵本。読んでいると思わず子どもも大人も笑顔になります。赤ちゃんの時から何度読んでも楽しめる魅力がたっぷりです。
かがくいひろしは1955年生まれの絵本作家です。東京学芸大を卒業後、教諭として勤務をするかたわら人形劇を演じたり、紙を使った造形作品も発表しています。
絵本作家としてデビューしたのは2005年のこと。『おもちのきもち』で講談社絵本新人賞を受賞しデビューしました。
リズミカルな台詞と、色々な物を擬人化した暖かな絵は、子ども達の心を惹きつけ大人気の絵本作家となりました。内容もユーモアに富んでいて子どもに読み聞かせる大人の笑顔も引き出してくれます。しかし、絵本作家としてデビューしてから4年経った2009年、54歳の若さで他界しました。
描いた絵本は、全部で16冊。他界した今でもたくさんの子どもたちに愛され続けています。
「だるまさん」シリーズは、『だるまさんが』『だるまさんの』『だるまさんと』の3冊からなる大人気のシリーズです。登場するのは、題名の通り「だるまさん」。『だるまさんと』では色々な果物も登場します。リズミカルな台詞が楽しい絵本です。
『だるまさんが』では、「だるまさんが」という台詞に続いて「どてっ」「ぷしゅー」「ぷっ」とだるまさんが様々な表情を見せてくれます。
『だるまさんの』では、「だるまさんの」という台詞に続いて「て」「め」「は」と身体の色々な部分が紹介され、言葉は一文字ですが一つひとつの絵が面白く、見るたびに大笑いをする子どもも多いです。
そして、『だるまさんの』では、初めてだるまさん以外に果物が登場します。だるまさんと果物たちはとても仲良し。「いちごさんと」「めろんさんと」とそれぞれの果物が登場した後に、だるまさんと挨拶をしたり遊んだり……最後には、みんなが一緒に登場しみんなで楽しむ様子が伝わってきます。
- 著者
- かがくいひろし
- 出版日
3冊とも、赤ちゃんから長く楽しめる絵本です。擬音がふんだんに使われているので、言葉を話し始めたばかりの子どもでも、一緒に台詞を言いながら楽しむことができ、自然とだるまさんの台詞と仕草を真似て楽しむ様子が見られます。
その中で「歯」「目」と一緒に身体の名前について学んだり、だるまさんと果物たちの関わりを真似て、お父さん、お母さんとふれあい遊びを楽しんだり、少し大きくなってお友達との関りが出てきたら、お友達とも一緒に楽しんだりと、遊びが広がる1冊。丸くて可愛いだるまさんの台詞や表情、仕草に子どもも大人も笑顔になること間違いなしです。
『おふとんかけたら』は初めのページに描かれる、お布団さんと枕さんが主役の絵本です。台詞のないこのページを見た時点で、子どもたちは何が始まるのかワクワク。
はじめに出てくるのはタコです。タコがお布団に横になり掛布団をかけると......くるくると丸まってしまいます。その後も、ソフトクリーム、蟻、トイレットペーパーと続き、お布団をかけることで変化するのです。その変化の仕方が一つひとつの特徴をとらえていて、何とも面白く次は何かなと子どもの興味を引き出します。
そして、最後にお布団で眠るのは......。
- 著者
- かがくい ひろし
- 出版日
繰り返しが楽しく、次はどんなことが起きるのだろうとワクワクしながら楽しめる絵本です。
子どもが毎日使う布団。身近にあるものだからこそ、こんな布団があったら面白いなと想像力が膨らみます。
はじめは布団には顔はなく、他の物を引き立てるために登場しているように感じますが、最後には布団にも命が吹き込まれ……ラストが少し意外で、ほのぼのとした気持ちになる1冊です。
眠る前に読むと、楽しい気持ちで眠れそうですね。
『おしくらまんじゅう』は、必ず台詞の前に音符の記号が描かれている、歌うように読める絵本です。絵本に登場する2つの「まんじゅう」が「そーれ おしくらまんじゅう」と歌う台詞から始まり、「おしくらこんにゃく」「おしくらなっとう」と続きます。すると歌に登場した物がまんじゅう達の間にはさまれて、それぞれの特徴を発揮しながら楽しませてくれるのです。
そして最後に登場するのは「ゆうれい」。子どもにとっては少し怖いゆうれいの登場に、子ども達もヒヤヒヤすることでしょう。更に、なんとまんじゅうが食べられてしまうのです。主人公が食べられるという意外な結末ですが、最後にしっかりとその後の2つのまんじゅうがどうなったのかも描かれています。
- 著者
- かがくい ひろし
- 出版日
繰り返しの楽しい絵本で、子どもも一緒に歌いながら言葉の持つ面白さを感じることができます。こんにゃくの部分を読むときは身体を揺らす、ゆうれいの部分では幽霊の真似をするなど、身体を使って真似ながら楽しむことも楽しみの1つとなりますね。
ラストの意外性も面白く、ユーモアのある終わり方に大人も思わず子どもと一緒に笑ってしまうでしょう。
『がまんのけーき』は、大好きなケーキを目の前にしながら、一生懸命に我慢をする鯉のこいたろうくんと亀のかめぞうくんの様子がコミカルに描かれた絵本です。
2人の前には、大好きなケーキ。でも大好きなけろこさんと一緒に食べるために、2人は必死の思いでケーキを食べることを我慢します。
2人は誘惑に打ち勝ち、けろこさんと一緒にケーキを食べることができるのでしょうか。
- 著者
- かがくい ひろし
- 出版日
子ども達も大好きなケーキ。そのケーキを目の前にして食べずに我慢するなんて、なんて辛いことなんでしょう。
こいたろうくんとかめぞうくんの様子を自分に重ね合わせて、ハラハラしながら、そして2人の掛け合いの面白さに声を出して笑える1冊です。
辛い思いをしながらも、我慢したことは報われて最後に皆でケーキを食べられたことで、優しい気持ちになります。面白さの中にも、我慢することの大切さも教えてくれるはずです。
『うめじいのたんじょうび』は、かがくいひろしが他界してから6年、デビューから10年経った2016年に発表された絵本です。
デビュー作「おもちのきもち」よりも前に描かれ「講談社新人賞佳作」を受賞したこの作品は、未刊行となっていましたが、2016年ついに出版されました。
この絵本の主人公は梅干しのうめじい。今日は、うめじいの誕生日です。浅漬けや、らっきょう、たくあんなど沢山の漬物達がうめじいの誕生日をお祝いしようと集まります。うめじいは一体何歳なのだろう?みんなの興味はうめじいの年齢です。でも、うめじいは忘れてしまった様子。みんなは気持ちを切り替えてうめじいの誕生会の準備をすることになり……。
最後には、みんなで記念写真。登場するキャラクターの笑顔が気持ちを暖かくしてくれます。
- 著者
- かがくい ひろし
- 出版日
- 2016-01-21
子ども達の大好きな誕生日。そして、いくつになっても誕生日は嬉しいものです。
うめじいは、何歳になったか自分でも忘れてしまうくらいのおじいちゃんですが、周りのみんなにお祝いをしてもらって、プレゼントの旅行にも行きとても素敵な誕生日となります。
ひとつひとつのキャラクターが、うめじいの為に張り切って誕生日の準備をする優しい気持ちに溢れていて、読んでいてほっこりとした気持ちになる絵本です。
うめじいがうめ言葉を話すなど、キャラクターによって台詞の言い回しや、語尾が違うのでゆっくりと読むことでより台詞の面白さも感じられますよ。
おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に読んでみるのも良いですね。
かがくいひろしの大人気作、「だるまさん」シリーズから、幻の名作まで紹介してみました。赤ちゃんが大好きな繰り返しやリズミカルな台詞の持つ面白さと、暖かな絵。そして読んでいる人に笑顔をくれる作品を、ぜひ親子でまたおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に楽しんでほしいと思います。
読む年齢によって、見方や面白さが変わるので長く楽しめる絵本です。お子さんと一緒にお気に入りの1冊やページを見つけてみてくださいね。