岡田よしたかのおすすめ絵本5選!食べ物が主人公の楽しい物語

更新:2021.12.19

食べ物を擬人化して、リズミカルな大阪弁で物語が展開していく岡田よしたかの絵本は、子どもも大人も惹きつけられます。また内容はもちろんですが、食べ物が全てリアルに描かれているので絵を見ているだけでも楽しめるところにも注目です。

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食べ物に命を吹き込み、軽快なリズムで語る絵本作家岡田よしたか

岡田よしたかは、1956年生まれ大阪府出身の絵本作家です。愛知県立芸術大学の油絵科卒業後、教材メーカーや共同保育所で勤務するかたわら、個展を開いたり画集を出版したりと画家としても活動しました。

絵本作家としてデビューしたのは、2001年のこと。『おーいぺんぎんさん』でデビューしました。2009年に発行した『特急おべんと号』以降は食べ物を擬人化した絵本を多く描き、リズミカルな物語の展開とリアルな絵の魅力はたくさんの子ども達の心を惹きつけています。

主人公はちくわ!ユーモア満載、リズミカルに展開していく物語に引き込まれる絵本

『ちくわのわーさん』の主人公は、題名の通り1本のちくわです。顔が描かれているわけではなく、とてもリアルなちくわですが、軽快な関西弁で話したり歌ったりと大活躍。

物語は昼寝をしているわーさんの穴の中に犬や猫が入って、わーさんが目を覚ます場面から始まります。わーさんと同じように細長いマカロニやスパゲティと踊ったり、こいのぼりや巻き寿司の真似をしようと奮闘したりと、わーさんは色んなことに興味津々です。たくさん道草をしてわーさんが帰ったところは……。

著者
岡田 よしたか
出版日

子ども達の頭の中は想像力でいっぱいですよね。食べ物やおもちゃなど生き物ではない物を擬人化して遊んでみたり、自分で歌を作ってみたり……。主人公はちくわというこの絵本は、題名と表紙を見た時点からそんな子ども達の想像力を掻き立て、心を掴んでいるのです。

一つひとつのキャラクターの特徴がよく捉えられていて、そのキャラクター達とわーさんとのやり取りがなんとも面白く何度読んでも笑ってしまいます。また、道草をするという冒険も子ども達にワクワクとした気持ちを与えてくれるはずです。

ラストは、なかなかシュールな終わり方ですが、それがまた魅力の一つとなっています。

岡田よしたかが描く、優しいうどんと仲間たちが繰り広げる物語

『うどんのうーやん』は、主人公であるうどんのうーやんが自分で出前に出かける場面から始まります。この時点ですでに面白いのですが、物語はうどんが動くことが当たり前のように展開していくのです。

うーやんが初めに出会ったのは、お腹を空かせた猫。優しいうーやんは猫にうどんを分けてあげます。するとうーやんは半分に……。困ったうーやんは、出会った素麺に中に入ってもらうように頼むのです。その後も、めざしが入り、うめぼしやエビフライ、豆腐と次々に食べ物がうーやんのどんぶりの中に入って行きます。

たくさんの仲間達と一緒に山を登ったり、迫りくる鳥を撃退したりと冒険をしながらうーやんがたどり着いた場所とは……。

著者
岡田 よしたか
出版日

心優しいうーやんと仲間達が繰り広げる冒険の物語です。うーやんは、色々な食べ物を迎え入れて出前先のお客さんの元へと向かいます。

うーやんの優しさに気持ちがほっこりとして、繰り広げられる冒険にはハラハラドキドキ。まるで自分が物語の中に入り、うーやんと仲間たちの様子を近くで見守っているような気持ちになります。

子どもが大好きな冒険を通して、仲間を大切にする優しさも感じられますので、ぜひ子ども達に読んでもらいたい岡田よしひこの絵本です。

大きな食べ物たちが大活躍、掛け合いの楽しい絵本

『とてもおおきなさんまのひらき』は買い物が大好きな「またやさん」が主人公の絵本です。

ある日市場で大きなサンマの開きを見つけて買って帰ったまたやさん。しかし食べようとしたらなんと暴れだしてしまいました。「もう買わん」とまたやさんは心に誓いますが、そこは買い物大好きまたやさん。懲りずにまた大きな物を買ってしまいます。すると、スルメやたい焼きといった大きな食べ物たちが暴れまわるのです。

またやさんと食べ物達の掛け合いに大笑いすること間違いなしです。

著者
岡田 よしたか
出版日
2013-11-16

表紙に描かれる大きなサンマのひらきが、まず目を引くこの絵本。サンマのひらき目線のお話かと思いきや、人間である「またやさん」目線で繰り広げられる物語です。しかしそこは、岡田よしたか。大きな食べ物達が暴れまわる場面では、大人も子どもも思わず笑ってしまうでしょう。

またやさんの台詞も面白く、「かわん」と決めてもまた買ってしまう辺りでは、「あるある」とつい頷いてしまいます。大人も楽しめる1冊です。

「ぼく」ってなんだろう?自分探しを続ける「ぼく」の正体とは

『ぼくっていったいなんやねん』は、銀色で細長くて先が2つに分かれている「ぼく」が自分探しをするお話です。

ずっと使われていなかった「ぼく」は自分が一体何者なのかが分かりません。食べる時に使われていた様な気はするのですが、思い出せないのです。

そんな「ぼく」の元に耳かきや釘抜き、ついにはかぶと虫やはさみ虫までもが、「きみはぼくと同じだよ」と言いに来ます。けれどもやっぱり違う。色々な食べ物にも挑戦しましたがすくうことができないのです。

ぼくは一体何なのだろう。悩み続けた「ぼく」が知った答えとは……。

著者
岡田 よしたか
出版日

きっと絵を見ても「ぼく」が何に使う物なのか分からない子どもが多いと思います。子ども達も「ぼく」と一緒に何に使う物なのかを考えながら楽しめる絵本です。

また、「ぼくって何のためにいるの」「自分って一体何なんだろう」と子ども心に考える時ってありますよね。そんな子どもの気持ちを「ぼく」は代弁してくれます。「自分探し」という壮大なテーマをもったこの絵本。ぜひ親子で楽しんでもらいたい1冊です。

岡田よしたかの食べ物絵本の原点。たくさんの食べ物が登場する創作童話

『とっきゅうおべんとう号』は、2009年に発行された絵本。この作品が岡田よしたかの食べ物絵本の原点となりました。

物語は全部で127ページあり、絵本としては長編で「全日本おべんとうマラソン」「ねこ 大災難」「特急おべんとう号」の三部作となっていますが、全てのお話がつながっています。

初めの「全日本おべんとうマラソン」はお弁当のおかずやご飯たちがマラソン大会を始めるところから始まります。途中で、お弁当の具とは思えないものが乱入したり、猫に襲われたり、雨が降ったり……。無事にゴールできるのか、ハラハラしながら楽しめる物語です。

次は「ねこ 大災難」。このお話は「全日本おべんとうマラソン」で襲ってきた猫が主役のお話です。猫が魚を食べようとするのは動物としての本能。しかし、この本能がとんでもない災難を引き起こされるのです。猫が災難に見舞われながらも大奮闘する話がユーモラスに描かれています。

最後は「特急おべんとう号」。マラソン大会で頑張ったご褒美に、お弁当のおかずやご飯がバスに乗って遠足に出かける場面から物語が始まります。けんかをしながらもたくさん遊んで、帰りのバスで家路についたおべんとう達。ラストでおべんとう達が見せてくれる姿とは……。

著者
岡田 よしたか
出版日
2009-03-01

ひとつひとつのお話が連動している、童話集となっているので、一作品ずつ読んでもまとめて読んでも楽しめる物語となっています。

これでもかというほどに沢山のリアルな食べ物達が登場し見ているだけでワクワク、そして食べ物達と猫の大奮闘のドキドキしながら読むことができるはずです。

絵本としては長い物語ですが、テンポよく読み進めることができますので、年中さんくらいの年齢から小学生まで幅広く楽しむことがでしょう。もちろん大人が読んでも楽しいですよ。

リアルな食べ物の描写と、大阪弁の軽快なリズムで進む物語で読者を惹きつける、岡田よしたかの絵本を紹介してみました。

初めは、リアルな食べ物が主人公というだけで笑ってしまいますが、読み進めるうちに食べ物に感情移入して、ドキドキしながら読んでいることに気付きます。ぜひ親子で楽しみながら岡田よしたかワールドに浸ってみてはいかがでしょうか。きっと子どもの想像力を掻き立てる1冊に出会えるはずです。

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