『旅猫リポート』魅力とあらすじをネタバレ!作者も紹介!泣けて面白い!

更新:2021.12.12

溢れる涙を拭うことすら忘れてしまうほど、夢中になって一気に読んでしまうこと間違いなしの『旅猫リポート』。読者の心を震えさせるこの作品の魅力を紹介します。2018年10月には映画化も決定している人気作品です!

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小説『旅猫リポート』が面白い!泣ける!あらすじ、内容をネタバレ紹介!

本作の主人公は気位の高いオスの野良猫。もともとはひとりっきりで生活していましたが、交通事故をきっかけに、人間にしては猫の気持ちが分かる宮脇悟の飼い猫に。

カギしっぽが数字の7に似ていることから、名前はナナに。メスのようだとナナは抗議しますが、名前はそのままに。

もともと2人はナナが野良時代から交流があり、それもこれも、宮脇が猫の気持ちが分かる人間だったから。いっしょに暮らし始めてもその仲の良さは変わりませんでした。

しかし5年が経った頃、宮脇はナナを手放さなかればならなくなり、その旅へ出ます。

あんなにうまくやっていた2人がなぜ別れることになってしまったのか?その旅の様子はどんなものなのか?猫好きには特にたまらない、泣ける作品です。

著者
有川 浩
出版日
2012-11-15

『旅猫リポート』の作者・有川浩とは

有川浩は、『図書館戦争』や「三匹のおっさん」シリーズ、『植物図鑑』、『阪急電車』など有名な作品を数多く世に送り出している作家です。これらの作品はすべてアニメやドラマ、映画化されており、どこかで目にしたことのある方も多いのではないのでしょうか。

元々は電撃小説大賞からデビューした作家でもあり、自作を「大人向けライトノベル」だと語っています。

著者
有川 浩
出版日
2011-07-23

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有川浩の作品はあらゆる世代からの人気が高く、映像化したものも数えきれないほど。本好き読者による2011年の好きな作家ランキング女性編では、堂々の1位を獲得している作家。そんな有川浩の人気作品をご紹介します。

有川浩作品のすごさは「読みやすさ」にあり!

彼女の生み出す作品が次々とベストセラーになり、映像化なども通して愛されている理由はどこにあるのか? ……それはまさに、キャッチーな文章にあるといえます。

今回紹介する『旅猫リポート』の冒頭をご紹介します。

「吾輩は猫である。名前はまだ無い。
――と仰ったえらい猫がこの国にはいるそうだ。
 そのえらい猫がどれほどえらかったのか知らないが、
僕は名前があるという一点においてのみ、そのえらい猫に勝っている。」
(『旅猫リポート』より引用)

いかかでしょうか。夏目漱石の『吾輩は猫である』の冒頭の引用から始まり、固い文学と思わせるようなところから一転し、初めのわずか数行で物語の主人公である猫の性格が掴めてしまいます。

有川浩の作品は、あまり小説を読まない方にもおすすめです。本を読む機会が多くない人でもすんなりと馴染めるくらい、文章の読みやすさがピカイチなのです。

『旅猫リポート』は名言も沁みる!

さらに本作は、名言が多いことでも知られてします。ここではいくつかそれらの言葉を紹介いたしましょう。

「動物は命が尽きて 斃(たお)れたところでそのまま眠るが、 
死んだ後の寝場所を 用意しておくなんて、 
人間はとても心配性で 不自由な生き物だね。  
死んだ後のことまで考えていたら、 
どこでも自由に斃れることが できないじゃないか。」
(『旅猫リポート』より引用)

まさに旅というテーマ、猫という気まぐれな動物らしい言葉です。日常に縛られ、どこにもいけないと重がちな現代人の心も重さを軽くしてくれますね。

次は本作の結末で語られるこんな名言です。

「僕らは旅の思い出を数えながら、次の旅へと向かうんだ。 
先に行ったひとを思いながら。
後から来るひとを思いながら。 
そうして僕らはいつかまた、
愛しいすべてのひとびとと地平線の向こうで出会うだろう。」
(『旅猫リポート』より引用)

旅の終わりを感じさせる、切ないながらも優しい言葉です。人生という旅は、同伴者がいたとしても基本的にはひとりで始まり、ひとりで終わるものではないでしょうか。でもその道のりは、たくさんの人との出会いがあり、また彼らとどこかで繋がることができるのです。

寂しいからこそ、他者との出会いは大事な宝物になることが感じられます。

この他にも心に沁みる名言が数多くあるので、ぜひ作品でご覧になってみてください。

『旅猫リポート』の面白さの秘密は吸引力にあり!? とにかく引き込まれる!

著者
有川 浩
出版日
2017-02-15

この物語は、先ほどのちょっとひねくれものの猫と、その飼い主の旅が主軸。「リポート」という名前の通り、様々な場所に1匹と1人で白いワゴンに乗ってあちこちに出かけます。

その中で、飼い主の古い友人たちに出会うのですが、彼らのキャラクターもそれぞれ個性的です。全員どこかしら惹かれる部分があり、気づいたら彼らに共感しています。共感させる力の高さも有川浩作品の魅力の1つです。

主人公は猫ですが、視点は旅先で出会う人間の場合もあります。しかし、彼らが飼い主になることはなく、そのため旅の目的はなかなか明かされません。

一体なぜこの旅をしているのか。そこに思いを巡らせながら読んでいくと、最後には涙が止まらなくなってしまいます。1つ1つの旅を通して、大きな旅の物語を読んでいくところもこの作品のおもしろさといえるでしょう。

読み進めるうちに、この作品は読者の思い出に語りかけてきます。読了後、きっとあなたは大切な誰かに会いたくなるでしょう。


こんなにも気持ちよく泣ける作品は他にないのではないか。思わずそう感じてしまう『旅猫リポート』をあなたも一度手にとってみてはいかがでしょうか。

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