仕事に対する姿勢に影響を与える本【KUSHIDA】

更新:2021.11.4

この4月から人生の新生活をスタートさせた方も多いと思います。桜の美しさとは裏腹に、この季節の人の気持ちの中には【迷い】や【葛藤】それから【5月病】という怪物も忍び寄ってきがち。今月は「仕事に対する姿勢に影響を与える本」をご紹介します。

ブックカルテ リンク

「書く」と「戦う」の哲学

著者
沢木 耕太郎
出版日

「この言葉の配列を生み出した著者はどんな人だろう?」「どんな精神構造をしているのだろう?」。少し乱暴な言い方ですが、やはりボクの興味は本の内容より“著者の人物像”にあります。

沢木耕太郎というルポライターの正体を自ら開けっぴろげに公開してくれているのが、この「路上の視野」シリーズです。この本は1987年出版。内容はボクが生まれる前に書かれたエッセイだけれど、物書きという仕事に対するスタンスは古臭いどころか憧れます。本書に書かれている「何故書くのか?」の問いは、プロレスラーにおける「何故戦うのか?」。“書く”と“戦う“を生業として哲学する両者のスタンスは職人的で、どことなく似ています。

脳裏に浮かぶ地図

著者
沢木 耕太郎
出版日

試合前、会場のトイレに籠る自分がいます。便座に座り、目を瞑ります。そして集中。すると、頭に浮かんでくることは「これからボクは上半身裸の状態で人前に出て行こうとしている……」。そんな風なことだったりします。ふと我に帰り、自己分析を始めてしまい「いかんいかん!」と改めて精神統一を試みる思考のループ。この本に出会えて、安心しました。自分の思考は決して変なことでないのだと。

この本に出てくる名刺の話が大好きです。沢木さんは駆け出しの頃、知人に名刺を作ってもらったらルポライターと記されていて「半ば無意識のうちに、自分をその名刺に似せようとしていた」「いまの私にその衣装は窮屈すぎる」「しかし、たとえボロがでようとも、私がその名刺の持っている雰囲気に自らを同一化しようとしたという事実は残る」と言います。

これにボクは既視感を抱きました。昨年デビューしたヤングライオン、新日本プロレスの若手・川人拓来(20歳)を思い浮かべたのです。川人の後輩たちはアマチュアで実績を残している年上ばかり。そんな今年デビューした後輩より線も細い川人ですが、いざリングに上がるとしっかり先輩の風格を漂わせ始めたのです。名乗ることによって、“それなり”になっていく。それはプロレスのチャンピオンもまた、似たようなものだなと思いました。
ボクのプロレスラー人生は12歳。脳裏に浮かぶ地図を燃やし尽くせるよう戦っていきたいものです。
合言葉は「地図を燃やせ!」

自分の感覚を保つこと

著者
["是枝 裕和", "樋口 景一"]
出版日
2016-06-02

「ネット上では極論が真ん中に置かれる」という是枝さんの言葉は、時代の空気感をズバッとぶった斬っています。

本書では“本当は中間の言葉が的確なのかもしれないけれど、どんどん極端になっていくネット社会”を杞憂しています。ネットに流れてくる言葉と、本に書かれた著者の経験と、知識の言葉の熱量とでは、比べられる次元にありません。同感です。
ただただ打ち込むとか地道にがんばる部分にフォーカスされない、忙しい時代に流されないように、しっかり自分の感覚を掴んでいなきゃと気を引き締めさせてくれた一冊です。

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