7年ほど続けていた書店のアルバイトでは古株にも関わらずレジ打ちをやっていた。時間を売るという表現がこんなにぴったりな仕事もない。唯一良かったのは、レジに入っている間は店の本を読んでいたこと。おかげでアルバイト中は沢山の本を読むことができた。
主人公の土田くんは32歳独身の書店員。変わり映えのしない毎日にこれでいいんだと諦めるわけでもなく、かといってこれでいいのかと一念発起するわけでもなく悩みつつも日々を漫然と過ごしてしまう。幸せとか人生とかって果たして他人と比べてどっちがマシかなんて風に決まるものなのかなんて考えたり。益田ミリ作品全般に言えることではあるが、主人公の思索に共感するポイントが多々あるので、いくつか例を挙げてみる。
- 著者
- 益田 ミリ
- 出版日
- 2015-08-05
ニシノユキヒコはその生涯を通してプレイボーイだった。これはそんなニシノユキヒコを巡って、彼のことを愛した(または愛しかけた)女性たちによって描かれた彼の人生と人物の記録だ。ニシノは沢山の女性に愛されるのだが、同時に複数の女性と平然と関係を持つことに嫌気が差したり、彼の心の奥の闇に触れて自分ではどうすることもできないことに気付いたりして、いつも女性の方から長くとも2年程度でニシノの元を去ってしまう。
- 著者
- 川上 弘美
- 出版日
- 2003-11-26
正論は嫌われるだけとよく言う。山崎ナオコーラの描く人物や吐き出す言葉は、ジョークの衣をまとっているわけでもなく剝き出しのまま投げかけられることが多く感じるが、なぜ頭の中に一陣の風が吹き込むように爽快な刺激と納得を与えてくれるのだろうか。世の中的になんとなく当たり前とされている常識、法律、システムに対して違和感を感じれば徹底的に何故を突き詰めていく姿勢に、同じく現代日本の社会に対して違和感や生きづらさを覚える身にとっては彼女の作品はいつも勇気と安心感をもたらしてくれる。
- 著者
- 山崎 ナオコーラ
- 出版日
- 2012-12-01
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。