知名度はそれほど高くなくても面白い漫画、マイナーな漫画はたくさんあります。ここでは、そんな漫画の中でも特に面白いおすすめの5作品をご紹介します。
ニューヨークシティで暗躍している殺し屋「シスターミリティア」。麻薬を裁く組織の頭など、次々に裏の世界の要人達を殺していくミリティアは、やがて死神と呼ばれるようになります。
教育学部に通うティスタ・ロウンは、ちょっと変わっていますが普通の女子学生。いつものように学校へ向かっていたところ、麻薬中毒者の運転する車に轢かれそうになったところを、同じ学校の芸術学部に通う少年アーティー・ドロワーに助けられます。
そのことをきっかけに、お互いに憎からず思うようになった2人でしたが、ティスタには誰にも言えない裏の顔がありました。それは、ティスタこそが特殊能力を持った「シスターミリティア」だということでした……。
- 著者
- 遠藤 達哉
- 出版日
- 2008-06-04
少年向け漫画雑誌「ジャンプスクエア」で連載されていた作品ですが、主人公が殺し屋という設定からもうかがえるように、内容はやや暴力的、残酷的な描写も含まれています。とはいえ、それがストーリーのメインというわけではなく、ニューヨークを舞台に繰り広げられるサスペンスものになっています。
主人公のティスタ・ロウンは、大人しい人見知りの少女で、その内気な言動は周りに変わった子という印象を与えますが、だからといって彼女が、ニューヨークの死神と恐れられる暗殺者「シスターミリティア」だとは想像すらしません。彼女が持つ特殊能力は「十字眼(ゼロイン)」と呼ばれ、恐ろしい狙撃の力を発揮します。社会的には犯罪者である暗殺者ではありますが、彼女の悲劇的な境遇や、それに裏付けされた悲しい気持ちなどは、ストーリーを読めば読むほど切なく感じられるでしょう。
そんな彼女を偶然助けたことで交流するようになったのが、アーティー・ドロワーという少年です。画家になると夢を公言する彼は明るく元気な彼の性格は、内向的なティスタの心を少しずつ温めていきます。しかし、そんなアーティーとティスタの交流も、残酷な運命によって翻弄されてしまうのです。
全2巻で完結する物語は、1本の映画を見ているような充足感があります。短いからといってキャラクターの魅力が描き切れていないなどということは決してなく、むしろ描ききらないことで読者の想像力はより豊かになり、物語が奥深いものになっていると言えるでしょう。
シリアスな要素が多いので全体的に暗めにはなっていますが、主人公のティスタをはじめ、キャラクターそれぞれの葛藤にはいつの間にか引き込まれてしまいます。重厚な物語を楽しみたい方におすすめです。
江戸中期。力を求める他に生きる術を知らない武芸者達の集まる「鬼の巣」・海原藩という所がありました。その場所に突如現れた謎の武芸者・黒鉄陣介(くろがねじんすけ)は、千人もの武芸者を斬った後そのまま姿を消し、残されたのは多くの謎だけでしたが、ただ1つ分かっているのは、その男が操っているのが大亀流という流派だということでした。
ある日、大亀流の道場に海原藩主鷲津直正の28男である鷲津直善(わしずなおよし)がやってきます。彼は、黒鉄陣介の力を確かめるためにやってきたのですが、その道場にいたのは、黒鉄陣介の息子である黒鉄我間(くろがねがま)という、まだ14歳の子供で……!?
- 著者
- 中丸 洋介
- 出版日
- 2009-08-17
「週刊少年マガジン」に4年に渡り連載されていた漫画で、コミックスは全部で22巻出ています。
作中に登場する剣術の流派の中でも最もキーワードになっているのが、主人公の黒鉄我間も操大亀流です。しかし、かつて流派内で起こった事件をきっかけに、その門下生はほんの数人しかいません。我間は、千人斬りの伝説を持つ武芸者黒鉄陣介の息子で、若干14歳ながら人間離れした実力を持っていますが、剣から離れると普通の生意気盛りの子供。そんな彼は、あることがきっかけで父・陣介のことを非常に憎んでおり、父を倒すことを悲願としていました。
江戸を舞台にはしていますが時代ものという印象は薄いので、時代劇を読みたい方には物足りなさを感じる方もいるかもしれません。反対に、江戸風のバトル漫画を読みたい方にはピッタリです。
初登場から圧倒的な強さを持っている我間ですが、そこから様々な強者達と出会い、強くなっていく姿はまさに少年漫画の王道と言えるでしょう。その過程で描かれるバトルシーンは、疾走感と迫力に溢れていてとても魅力的です。和風バトル漫画が好きな方はぜひチェックしてみてください。
20年以上前、とある召喚士が起こした「大召喚」により、世界中に魔界や異界が出現。その影響で人類の3分の1が滅び、代わりに異形のものが跋扈するようになりました。そんな混沌とした世界を絶大な力でまとめているのが、「中央(アー・グラ・ケイオス)」という秘密結社でした。
そんな世界のある町にある「足洗邸(あしあらいやしき)」。そこに引っ越してきた人間の田村・福太郎でしたが、「足洗邸」は管理人が猫又であることを始め、人兎種でエロ小説家の望月・玉兎(もちづきぎょくと)や謎の探偵、須美津・義鷹(すみつよしたか)など、様々な住人が暮らしていて……!?
- 著者
- みなぎ 得一
- 出版日
- 2014-03-26
人間ではない異形のもの達の存在が普通になった世界を舞台に、「足洗邸」というアパートに暮らす猫又や元人間で妖怪に転生した女子高生などの個性的な住人を中心に繰り広げられていきます。アパートの住人達によるホームコメディ的なシーンもありますが、バトルシーンもかなり多く描かれており、タイトルからほのぼの系をイメージしてしまうと少し驚くこともあるかもしれません。
主人公の田村・福太郎は、一見すると人間にも妖怪にも普通に接する人当たりの良い好青年なのですが、暗く悲しい過去を背負っています。そのためか他人との距離を必要以上に縮めようとせず、少し不安定な部分もあります。
福太郎は人間ですが、他は妖怪や獣人やらと異形のもの達ばかりです。しかし、この異形のもの達の設定は、実際にある伝承や妖怪などをモチーフにしており、その設定はかなり細かく考えられています。妖怪や伝承に興味のある方が読めば、ストーリー以外のところでも面白さを感じることができるでしょう。
作者のみなぎ得一の作品の多くは、共通した世界観を持っているため、本作に登場するキャラクター達が他作品に登場したり、他作品の裏設定や伏線などが本作で描かれていたりすることもあります。興味のある方は、みなぎ得一の他作品もチェックしてみると、本作の新しい面白さを発見することができるかもしれません。
東京は1分間に40件以上もの事件が起こっている魔窟都市。その中でも特に犯罪が発生する箇所というものが存在し、その中に潜むものこそ「都市伝説」なのです……。
女子高生の大島田満子は、巷で噂されている「赤マント」の都市伝説を解決するため、人面犬をお供に赤マントが出るという廃校へと乗り込みます。しかしそこに潜んでいたのはただの変質者……赤マントがいないと思った満子が残念がった瞬間、人面犬がある気配に気が付きます。
そこにいたのは、本当の赤マント。満子の前に現れたそれは容赦なく満子を襲いますが、満子にはその姿が全く見えなくて……!?
- 著者
- 宮下 裕樹
- 出版日
- 2012-11-19
都市伝説をテーマに、オカルトとコメディの両方の要素を持った漫画です。「烏丸響子の事件簿」などで知られる漫画家コザキユースケが発表した未完の漫画が元になっており、キャラクターなどの設定をベースに同じく漫画家の宮下裕樹がストーリーを加えて作られました。
主人公の大島田満子は、都市伝説研究会の会長代理を務める女子高生で、その性格は攻撃的かつ高慢。お供の人面犬に対して容赦のないツッコミを入れたり、都市伝説の噂を聞けば後先考えずに突っ込んでいったりしてしまいます。しかし、そんな彼女にも最大の弱点があります。それは、彼女には全く霊感がないことです。
人ならざるものを相手にしようというのに、霊感がゼロでその姿を見ることさえできないという満子は、その性格も含めて、かなりインパクトの強い主人公です。霊感がないので、もちろん1人では赤マントのような都市伝説と戦うことはできません。そんな満子を一緒に戦うのが、紙袋を被った人面犬とカラスの羽を持った女の子です。2人は特殊な能力を持っていますが、満子には振り回されてしまう存在。3人の絡みはとてもコミカルで、軽妙なテンポを生み出しています。
都市伝説は多くの作品で扱われるテーマではありますが、ありきたりな感じはせず、メインのキャラクター達の魅力もあって新しい都市伝説漫画として読むことができるでしょう。都市伝説が好きな方はもちろん、そうでない方もぜひ一度手に取ってみてください。
かつて封印から復活した魔王と、それに対抗する勇者の一行は激しい戦いの末、魔王を「檻」の中に封印することに成功します。しかし、なぜかその「檻」には勇者の一行も一緒に封印されてしまったのです。
檻の中で、勇者の一行の1人である魔法使いと、少女の姿をした魔王は白熱した卓球勝負を繰り広げていました。魔法使いは卓球で魔王を負かし続けたうえ、卓球とは負けた方が洋服を脱ぐルールなどと言葉巧みに魔王を騙して洋服を脱がそうとします。世間知らずの魔王はあっさりと魔法使いに騙されてしまうのですが……!?
- 著者
- 春野 友矢
- 出版日
- 2012-10-23
月刊青年漫画雑誌「ミラクルジャンプ」での連載を経て「ウルトラジャンプ」にて連載されている作品です。勇者や魔王が登場する辺りはまるでRPGのような世界観を彷彿とさせますが、冒険やバトルが描かれるわけではなく、「檻」と呼ばれる世界に封印されてしまった魔王と勇者の一行がドタバタを繰り広げるコメディ作品になっています。
ヒロインの魔法は、外見が10代半ばくらいの美少女。魔王としてはかなり強い力を持っているのですが、「檻」に封印されてからはその力を発揮することもできません。また、世間知らずな一面もあり、魔法使いを始め勇者の一行にからかわれることもしばしばです。
勇者の一行のリーダーはもちろん勇者なのですが、事実上取り仕切っているのは魔法使いの男です。「檻」からの脱出方法を探せる唯一の人間と言われるほど優秀な人物ですが、口八丁で魔王の服を脱がせようとするなど変態趣味が目立ちます。
男性向けの萌え系の作品と言っても良い作品で、魔王の美少女の世間知らずがゆえの受け答えや、力を失ってしまったがゆえに勇者の一行に逆らえないなど、いわゆる魔王萌え的な面も多く描かれています。
また、1巻の冒頭は魔法使いと魔王しか出てこないこともあり、最初のうちは世界観の設定をうまく読み取ることができないかもしれませんが、読み進めていくうちにキャラクターも増え、ギャグ漫画として楽しく読む事ができるでしょう。可愛い魔王キャラが好きな方はぜひチェックしてみてください。
いかがでしたか? マイナー作品だからこそ、おもしろい漫画と出会った時の喜びは倍増するものです。友達に教えてあげたらちょっとした自慢にもなるかもしれませんね。これを機会にぜひ一度手に取ってみてください。