あきやまただしのおすすめ絵本5選!明るくてワクワクするキャラクター

更新:2021.12.6

絵本がエンターテイメントに!?コミカルなキャラクターに親子で大笑い!キャラクターになり切って、読んでみてください。子どもと濃密な楽しい絵本の時間を過ごせること間違いなしです。

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日々の子育てをヒントに奇想天外なキャラクターで絵本を描くあきやまただし

あきやまただしは、1964年東京生まれの絵本作家であり、イラストレーターです。東京芸術大学デザイン科を卒業後、『ふしぎなカーニバル(1993年)』で講談社絵本新人賞、『はやくねてよ』で1995年日本絵本賞大賞を受賞。

「声に出して楽しい」ということを自身の絵本のモットーとするように、声を出して読んでこそ、その作品の良さを楽しめる本を多数出版されています。また、日々の子育てから絵本のヒントを得て、奇想天外なキャラクターで楽しい世界が描かれています。子どもは純粋に楽しく、大人にとってはよく読むと深い絵本であると感じることでしょう。

アニメ化されている作品も数多く、「たまごにいちゃん」「パンツぱんくろう」など子どもたちに大人気の個性的なキャラクターはどこかで目にしたことがあるかもしれません。

親子で一緒に声を出して読んで、大笑い。子どもの記憶に残る時間となるあきやまただしの本を紹介します。
 

声に出して読みたい言葉遊びの絵本

初めに紹介する絵本は『へんしんトンネル』です。

トンネルを通ると、全く違うものに変身してしまうお話です。でも、この絵本、ただ字を読めばいいというものではありません。絵本には珍しく、使用上の注意書きがあります。まず親が先に読んで練習が必要かもしれません。

使用上の注意「この えほんを たのしむには ちょっとした わざがひつようです。ある ことばが ちがうものに へんしんするまで なんども くりかえしよむのが こつです。」(『へんしんトンネル』より)
 

著者
あきやま ただし
出版日

大人でも「何がはじまるんだろう」とわくわくしませんか?

次のページにこう続きます。かっぱが「かっぱ かっぱ かっぱ」と言いながら、トンネルを抜けると「ぱっか ぱっか ぱっか」と馬に、時計が「とけい とけい とけい」と言いながら通ると、毛糸に......。

まったく違うものに変身する姿に子どもは大興奮です。何個か読んでいくと大人はだいたい何に変身するか想像できるでしょう。では、問題です。えりちゃんがトンネルを抜けると?ぶーちゃんがトンネルを抜けると?大人も子どもも予想を裏切る展開に大笑いすること間違いなしです。

最初の注意書きには書かれていたように、親の読み方には少し工夫が必要かもしれません。絵本には読み方のレベルが1から3まであり、まるでゲームのようになっています。子どもと一緒にトンネルをくぐるような気持ちで時に大げさに、ジェスチャーも交えながら、言葉遊びをしてみてはいかがでしょうか?

読み終わったあと、他の言葉でトンネルごっこをしてみてもおもしろいですね。小さい頃はリズムが何となくおもしろいでしょうし、色々な言葉を覚えはじめた子どもには意味がわかっておもしろさはさらに増すでしょう。長い間楽しめる絵本です。
 

自分の殻をやぶって一歩すすみたくなる絵本

続いては『たまごにいちゃん』です。 

本当は殻から出てこないといけないたまごにいちゃん。弟に先を越されても、全く焦りません。だって、殻のままだとお母さんに甘えられるし、色んなことも多めに見てもらえるからこのままでいいんです。でもある日、ぶたさんに吹き飛ばされて石にぶつかり、殻が割れてしまい......。

著者
あきやま ただし
出版日

この絵本はあきやまただしの息子をイメージして書かれた絵本だそうです。今のまま甘えていたいと思う気持ちと成長しないといけないという相反する気持ちがせめぎ合う子どもの心が描かれています。

私自身はたまごにいちゃんのお母さんの姿を見て、ドキッとさせられました。お母さんは「このままでいい」というたまごにいちゃんに少しアドバイスするものの、本人の思うままにさせています。私が彼のお母さんなら、たまごにいちゃんの殻を割って無理に成長を促してしまうかもしれません。いずれどんどん大きくなって自分の手を離れてしまう。今しかない大切な時期、たまごにいちゃんのおかあさんのように焦らずゆっくり見守ってあげたいものです。

大人の私たちでも今のままだと楽だし、ストレスはないし、新しい人間関係に悩まなくていいし......といつの間にか殻に閉じこもっていませんか?

新しい世界に飛び込むには恐さもあり、勇気が必要です。でも、その一歩を踏み出すとたまごにいちゃんのように「悪くない」と思えるかもしれません。自分の殻を割ってみると楽しい世界が待っている、ワクワクさせられる絵本です。
 

おうちで絵本を読むには

おうちで絵本を読むには

「子育てが大変でなかなか絵本を買いに行く時間もない」「読み聞かせの時間がなかなか取れない」「家で仕事をしている間、1人で絵本を読めるようになってほしい」。絵本をたくさん読んで欲しいとは思いつつ、なかなかそんな環境を整えるのも難しいですよね。

絵本アプリ「みいみ」は、さまざまな絵本を「親の声」や「子どもの声」で吹き替えすることができるアプリ。1ヶ月は無料で使うこともできるので、この機会に試してみてはいかがでしょうか?

絵本アプリ「みいみ」についてはこちらから。

「早く寝てよ」と言ってしまいたくなる

次は、1995年第1回日本絵本賞で大賞を受賞した『はやくねてよ』です。

夜眠れないこうたろうくんは柵を乗りこえるぶたさんを数えます。290ぴきまで数えましたが、ぶたさんで柵がぎゅうぎゅうになり、うるさくて眠れません。次におかあさんの数を、かいじゅうの数をそして最後には?
 

著者
あきやま ただし
出版日

夕ご飯を食べ、片付け、お風呂に入れ、怒涛の時間の後の最後の試練と言っても過言ではない寝かしつけの時間。「早く寝てよ」親なら1度は思ったことがあるでしょう。その気持ちを見事についたタイトルなので、思わず手にとってしまいます。ただ、残念ながら、この絵本で寝かしつけは無理かもしれません。

大人なら「ひつじが1匹、ひつじが2匹」となるところが、ぶたさん、おかあさんと発想がとてもユニークです。ぶたさんがぎゅうぎゅうになって文句を言うところやたくさんのおかあさんがコーラスをするところは一緒に歌ったり、怪獣がでてくるところではガオーと一緒に叫んでみたり、最後はそうきたか!というエンディングの仕掛けもお楽しみ!親子で楽しく1日の締めくくりをできそうです。

コミカルなイラストとお話に子どもたちはキャッキャと大笑いするほど楽しい絵本なので、親はまた早く寝ようよと言ってしまいそう。寝る前の時間が楽しくなるユーモアいっぱいの絵本です。

大人気アニメの原作本

続いては、テレビアニメにもなっている大人気シリーズ「はなかっぱ」の第1作目『はなかっぱ』です。

空気も水もきれいな村に住んでいる、はなかっぱくんのお父さんの頭の上にはひまわり、お母さんにはたんぽぽ、おじいちゃんにははす、おばあちゃんにはかすみそうが咲いています。はなかっぱくんの頭の上にはとりあえずの花が。

「ぼくの頭の上にはどんな花が咲くのかな?」はなかっぱくんの自分探しのストーリーです。
 

著者
あきやま ただし
出版日

かっぱという空想の生き物に、頭の上にはお皿ではなく、花。あきやまただしの世界観が堪能できるでしょう。

明るいキャラクターで描かれていますが、非常にメッセージ性が高い絵本です。

まず、はなかっぱくんは自分の頭の上の花がどんな花になるのかわからず、おじいちゃんに聞いたところ、「なりたい じぶんに なれたときに、 はじめて どんな はなに なるのかが きまるのじゃ。たのしみじゃのう。」との答えが。

これから、「ああでもない、こうでもない」ともがきながら、ひとつのものに決めていかなければならない過程をひと言で見事に描いています。自分の子どもはこれからどんな花を咲かせるのだろう?と思いをはせることでしょう。そして、「大変だね」ではなく、おじいちゃんのように「楽しみだね」と言ってあげたいものです。

次に、村の紹介の場面では、きれいな水にはきれいな花が咲く、汚い水だったら?などの問いかけもあり、子どもたちも知らず知らずのうちに絵本から環境問題について考えるきっかけとなるかもしれません。そして、親自身も子どもの水や空気を汚してしまうような存在になってはいけないと感じることでしょう。

最後の場面では子どもたちはきっと大笑いをすると思いますが、親としては親の期待を子どもに押し付けてはいけないなと痛感させられることと思います。

非常に軽いタッチで面白く書かれていますが、芯の通った大人になるにはどれほどの大変さがあるか、周りの愛情が必要か、環境が大切かを考えさせられる絵本と言えるでしょう。

ぱんぱかぱーん どんなパンができるかな?リズムが楽しい繰り返し絵本

最後に紹介するのは『ひつじパン』です。

ひつじさんが焼くパンはみんな大好き。こねこね ばんばん。ひつじさんは買ってくれる動物たちに合わせたパンを作ります。きりんさんには長いパン、ぞうさんには大きなパン。どんなパンができて、どんな動物たちが買いに来てくれるか親子で想像しながら、楽しく読める絵本です。

著者
あきやま ただし
出版日

これまでのあきやまただしの個性的な作品とは違って、パンの柔らかさや温かさ、香りがしそうなほどおいしそうな優しいイラストです。最初から最後までメルヘンの世界にいるような感じがするでしょう。

ひつじさんが一生懸命成型して、かまどに入れて、出来上がるパンをお披露目するときの「ぱんぱかぱーん」というかけ声に子どもたちは大喜び。

かまどから立ち上る煙がパンによって違うという演出も楽しめます。どんな動物が買いにきているのかを想像するヒントにもなりますね。

短い文章に繰り返しの展開なので、小さい子どもでもすぐに夢中になります。この絵本を読み終わったあと、何をするにも「ぱんぱかぱーん」と言うほど、子どもには好きなリズムなようです。実際のパン屋さんに行った時も、大きなパンを見れば誰のパンなのかな?と聞いてみたり、一緒にパン作りをしたりと絵本の続きを楽しんでみてはどうでしょうか?

以上、親の読み方が試される絵本や想像が楽しい絵本などあきやまただしの絵本を紹介しました。どの絵本も「最後はどうなるのだろう?」とストーリーの可能性が残されています。絵本の続きを創造する時間を味わってみてはいかがでしょうか。

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