満たされる知識欲とドキドキ【結城洋平】

更新:2017.5.2 作成:2017.5.2

「お前の価値観で、はかれない人間の方が多いんだぞ」 新宿で先月まで上演していた出演作品『メッキの星』劇中の一節です。最もだなと思わせてくれると同時に、もっといろんな事を知りたいと掻き立てられるこの台詞が物凄く好きでした。

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この本は水圧の強いシャワーのようだ。

今回はそんな自分のちっぽけな価値観を広げてくれるような多種多様な3冊に出会いました。

舞台の稽古中もよく、演出家が例えを用いて説明してくれます。
「芝居中、手負いのゴリラみたいな動きになってるよ」
(※手負いとは、攻撃を受けて傷を負うこと)
実際に手負いのゴリラは見たことないですが、ものすごくイメージが膨らみます。
この演出を受けた人は見事、傷を負っていない人間へと変貌。
良い例えはゴリラから人間に変える力も持っているのだなと感心しました。

著者
せきしろ
出版日
2016-10-12

「答え」ではなく沢山のヒントと心踊るユーモアを浴びさせていただきました。
見え方や状態、状況を色々な角度から例えに変えて文章にしていく、まさしく『たとえる技術』。

本書の中で、例えないより例えた方が良い理由として「感情を共有できる」との一節が。
著者である、せきしろさんの秀逸な「たとえ」だからこそ多くの感情を共有できるのだな。とワクワクしながら読み進めてしまいました。そしてあとがきには、ぜひあなたもこの本を「たとえ」てみてください。との一言が。
「この本は水圧の強いシャワーのようだ」
あなたならどのようにたとえますか。
 

上手な本とのお付き合い

この本こそ自分のちっぽけな価値観を広げてくれる一冊です。
多くのベストセラーを執筆する齋藤孝さんの読書術が書かれたこの一冊は本書にとどまる事なく、これから出会う本への接し方や、読書ライフを確実に豊かにしてくれる一冊です。

著者
齋藤 孝
出版日
2016-08-10

読書術の本となると敬遠してしまいがちな自分ですが、敬遠しているからこそ攻めてみようと思い、手に取った一冊です。読み進めるうちに気がつくとぐいぐいと引っ張られていきました。
沢山の本を短い時間で本質を捉えながら読むために、読みたい本。
何だか少し難しいですが、本がもっともっと読みたくなり読書へのモチベーションを高めてもらえました。
本を読む前、読み方、読み終わった後と、上手な本との付き合いかたを導いてくれる本書は一冊分とは思えないほどの質量でした。

現実では味わえないヒリヒリする現実

普段の自分では手に取らなそうな本を、心の赴くままに選んでみようと本屋さんをウロウロ。
表紙の写真と強烈なタイトルに惹かれて読み始めた一冊。
決して不真面目ではなく、むしろ真面目な本よりも超真面目。
日本で世界で影響を与え続けている、ノンフィクション作家ゲイ・タリーズ氏の元に届いた一枚の手紙。モーテル経営者から送られて来た手紙から、ヒリヒリは始まりました。

著者
ゲイ タリーズ
出版日
2017-01-30

タイトル通り、モーテルの部屋を覗く実在した経営者のお話です。
これって、大丈夫なのかな?読んでる最中に何度もこんな気持ちになりました。
覗いてる本人も、覗かれてる当人も。ヒリヒリします。
誰しもが少なからず持ってるだろう「覗いてみたい」という欲求を現実にしてしまった彼へ、非難する気持ちがありながらも興味で読み進めてしまう共犯者的な感覚は、ドキュメンタリーならではでした。