男女の純愛を描いた王道恋愛漫画も面白いですが、人間関係が複雑に入り組んだ、どろどろとした恋愛漫画も面白いものです。今回は「四角関係」を描いた漫画のおすすめを紹介したいと思います。
「ゆかり法」と呼ばれる超少子化対策の法案が施行されている日本が舞台。「ゆかり法」の内容は、16歳以上の自由恋愛を禁止し、政府の決めた将来の伴侶となる異性と恋愛をし結婚をしなければならないというものです。
15歳最後の日に、初恋の女の子である美咲とキスをし、両思いだったことを知った主人公。しかし無情にも政府の通知は、莉々奈という別の女の子の名前を通知します。そんな制度のもとでの恋愛とはどんなもので、主人公は政府の決めた異性と結婚するのでしょうか。それとも、法を破ってでも、好きだった女の子と添い遂げるのでしょうか。
- 著者
- ムサヲ
- 出版日
主人公と美咲、莉々奈のダブルヒロイン、更に主人公の友人である仁坂が主人公のことを好きなのではないかと思わされる描写もあり、この4人による四角関係でストーリーが展開していきます。
2017年夏にアニメ化も決まっている本作は、非常に多くの伏線がちりばめられていて、考察をしながら読むのも面白い作品です。たとえば、なぜ主人公の親友である仁坂はゆかり法について詳しいのか、主人公への通知メールでは美咲の名前が出ていたのに、政府関係者からの通知だと莉々奈の名前になっていたのはなぜなのか、などなど。
また、主人公と美咲のことが好きだからこそ自分は身を引こうとする莉々奈ですが、彼女は無自覚のうちに主人公に対する恋心を実らせてゆく描写など、恋愛漫画好きにはたまらないシチュエーションもたくさん登場します。アニメ化を機に一度読んでみてはいかがでしょうか。
2012年にアニメ化し、2018年には実写映画の公開も予定されている人気作です。
父親の仕事の都合で長崎県佐世保市に転校した薫は、千太郎との出会いをきっかけにしてジャズに目覚めていきます。
薫は、学級委員である律子に恋をしますが、律子は幼馴染でもある千太郎のことが好き。千太郎は千太郎で、先輩である百合香のことが好き。百合香は律子のお隣さんでもある大学生の淳一のことが好きと、非常にどろどろとした人間関係になってしまいます。この一方通行の恋の行方は……。
- 著者
- 小玉 ユキ
- 出版日
- 2008-04-25
上記のように薫は律子に、律子は千太郎に、千太郎は百合香に、百合香は淳一にと、一方通行な四角関係を展開している登場人物たち。ここまで一方通行な恋愛漫画はなかなか珍しいのではないでしょうか。
作者にとっては初の長期連載作品とあった本作は、「このマンガがすごい!」2009年のオンナ編で1位になるなど、各所で話題となりました。転校生である主人公が転校先で親友を得て、親切な同級生に恋をする漫画、と言えばよくある少女漫画ですが、その恋愛模様が非常に入り乱れ、様々な登場人物の恋愛模様が描かれるのがこの作品の魅力でしょう。
また2012年のアニメではジャズ演奏のシーンが非常に丁寧に描かれ、『カウボーイビバップ』などで知られる菅野よう子が音楽を担当したことでも話題になりました。恋愛漫画好きだけでなく、ジャズファンにも是非読んでいただきたい作品です。
唐突に両親から離婚することを告げられた光希。しかも両親は、ハワイ旅行で出会い意気投合した松浦夫妻と、パートナーを入れ替えて再婚するし、松浦夫妻も一緒に暮らすといい始める始末。松浦家の息子、遊も交えたいびつな家庭で、光希と遊の両親に内緒の恋心の行方はどうなるのでしょうか。
- 著者
- 吉住 渉
- 出版日
- 2008-05-16
光希と遊の異母兄妹二人に加え、光希を昔恥ずかしさから振ってしまったものの本当は好きでいる銀太、遊のことが好きな亜梨実も巻き込んだ四角関係が展開される本作。
とてもわかりづらい家族構成になっているのですが、話の本筋は異母兄妹となった光希と遊、その2人に言い寄るほかの登場人物達を交えた、超王道と言っても過言ではない少女漫画なので、話の筋は非常に単純明快で読みやすくなっています。少女漫画を読み込んでいる人なら、話の展開は解りやすいかもしれません。
テレビアニメ化の他、台湾でテレビドラマ化されるなど、その人気は日本だけにとどまりません。また2017年現在、『ママレード・ボーイ little』という本編の13年後にあたる続編を連載中です。
『ママレード・ボーイ』と『ママレード・ボーイ little』については<『ママレード・ボーイ』と「リトル」の登場人物、魅力を結末までネタバレ考察>で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
こちらも『ママレード・ボーイ』と同じく、テレビドラマ化している人気作です。
歌舞伎の名門に生まれながら、やる気はなく知名度と実力の一致しない主人公である恭之助。歌舞伎とは全く関係のない家に生まれるも、轟屋に入門し鍛錬を重ね、実力を伸ばしていく一弥。恭之助は歌舞伎が大好きな女の子、あやめに惹かれますが、彼女は一弥の幼馴染で、一弥のことが好きでした。そんな彼らの関係の行方は。
- 著者
- 嶋木 あこ
- 出版日
主人公である恭之助と、恭之助が好きになった女の子であるあやめ。あやめと好き合っている一弥、一弥が入門している轟屋の娘で一弥のことが好きな優奈。この4人の恋愛を描いた作品になっています。
歌舞伎が題材になってはいますが、そちらよりも恋愛や成長がメインのまんがですから、歌舞伎目的で読まれるとがっかりされるかもしれません。
しかし、やる気のなかった主人公が好きになった女の子に好かれるために、恋敵でもある努力の人である一弥に負けないようにと切磋琢磨し成長していく様は、少女漫画ではなく少年漫画を読んでいるかのような錯覚をうけます。男性にもおすすめできる、熱い部分を持った漫画です。
ちなみにタイトルの「ぴんとこな」という言葉。歌舞伎用語で「女性的で優しそうな色気を持ちながらも、きりりとした芯の強さを持った役」という役どころを指す言葉です。
人見知りで他人とうまく話せない女子高生の由奈は、同じマンションに越してきた、明るく快活な性格の朱里と、性格は真逆ながらも仲良くなっていきます。
少女漫画のような、王子様が現れるような恋愛を夢見ている由奈が気になっていた男の子が朱里の義弟であると判明し、朱里は「姉としては由奈に弟は薦められない」と言いますが、友人として、由奈の恋を応援していくことに。
一方の朱里も、人見知りの由奈が唯一気軽に話せる幼馴染、和臣の言動に惹かれていきます。彼女たちの恋の行方は……。
- 著者
- 咲坂 伊緒
- 出版日
- 2015-10-13
主人公である由奈と朱里、由奈が思いを寄せるも義理の姉である朱里のことが好きな理央、朱里が思いを寄せる由奈の幼馴染である和臣の4人の恋愛を中心にストーリーが展開します。
由奈と朱里のダブル主人公となっている本作ですが、特筆すべきは何と言っても主人公たちの性格がまったく正反対なところでしょう。由奈の「人見知りで、恋愛に対しては少女漫画チックな考え方を持っている」という性格は少女漫画ではよくある主人公像ですが、朱里の「割と気軽に、いろいろな男の子と付き合うことができる女の子」という性格は、なかなか今までにいなかったタイプの少女漫画の主人公ではないでしょうか。
そんな2人のおりなす、様相の全く異なった恋愛が一度に見れるのは本作最大の魅力でしょう。「少女漫画の夢見がちすぎる主人公が無理で嫌いだ」という人にも、朱里という現実的な主人公が描かれていることでおすすめ出来る作品です。
2017年5月現在で既刊は5巻。今後4人の恋愛がどうなっていくのか、注目の作品です。
四角関係のさくひんとなると、やはり妙にどろどろした印象を受けることが多いかと思いますが、やっている本人たちはいたって真面目で一途なんです。現実では面倒くさくて絶対御免な関係ですが、漫画でなら何も気にせず楽しむことができますね。是非皆様もこれを機に、四角関係のマンガに手を出してみてはいかがでしょうか?