『カンナさーん!』の泣ける名言ネタバレ紹介!デブスの姉御に惚れる人情漫画

更新:2021.11.7

2017年7月からドラマ化された人情漫画『カンナさーん!』。インパクトある見た目が気にならないくらい魅力的な彼女のキャラクターは、今まで多くのファンを増やしてきました。今回は本作の泣ける名言をご紹介!最終巻までのネタバレありなのでご注意を。

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『カンナさーん!』の面白さをネタバレ紹介!

 

漫画には様々なキャラ立ちした作品がありますが、その中でも名作と言える漫画が『カンナさーん!』です。

『カンナさーん!』は前作『マリーゴールド』に続くストーリーの第2弾作品。本作のあとには「アラフォー編」も描かれるという息の長い人気作品となっています。

綺麗な主人公が多くなってきている最近の漫画界で度肝を抜くような彼女の見た目。その絵が好みじゃなくて、聞いたことはあるけれど読んだことがないという人も多いのではないでしょうか?

しかし、それで読まないのはもったいない!本作はそんな見た目など気にならないほどパワフルでポジティブななカンナの人柄に元気付けられる作品です。疲れてるあなたに読んでほしい、エネルギーチャージできる物語となっています。

著者
深谷 かほる
出版日

登場人物1:見ているだけで明日も頑張れる!河東カンナ

登場人物1:見ているだけで明日も頑張れる!河東カンナ

 

出典:『カンナさーん!』1巻 

本作の主人公・カンナは表紙から分かる通りかなりインパクトのある見た目。しかし職業はファッションデザイナー。こんなわがままボディでありながらファッションセンスは抜群なのかと思いきや、会社でもなかなか成績を出せずにいるようです。 

彼女が大好きなのは迷彩柄。息子の麗音にもそればかり着せるほど好きなようで、デザイン案が通らないのはそんなところにあるのでは……?とも思ってしまいます。  

仕事も崖っぷちの状況で、夫の礼も浮気ぐせがあるというダメ男。仕事も育児もダメ夫も、とたくさんの問題を抱えているカンナですが、持ち前のポジティブさはずっと変わりません。そのまっすぐな力強さが読者を励まします。

しかしカンナが魅力的なのはただ強いだけではない性格。いつも笑って問題を突破する彼女ですが、その時々で傷ついている繊細な面もあるのです。 太陽のようにはつらつとしているけれど、人間くさい一面もあるカンナ。だからこそ人の心が分かり、元気付けることができる人物なのです。
 

ドラマ版では渡辺直美が演じています。

 

登場人物2:「普通」が通じない!礼

登場人物2:「普通」が通じない!礼

出典:『カンナさーん!』1巻 

『マリーゴールド』では彼氏として、本作では夫として登場した礼。読者としてはカンナが結婚したことを祝う気持ちになるのですが、何と彼は1話目から浮気。CGクリエイターの彼はつかみどころがないアーティスト気質の人物。というか、言ってしまえばクズ男なのです。

仕事に夢中になりすぎて我が子にすら冷たく当たるわ、再婚した後に冷めたからと言って離婚を切り出すわと、いつも彼女を振り回します。 
 

礼のイラつくところは行動がどうしようもないということはもちろん、発言もどこかかっこつけて聞こえるところ。芸術家としてはいいのかもしれませんが、どれも詭弁とも言えます。浮気がバレた時もどこかかっこつけてこう言うのです。  

「恋ってさ……その瞬間何もかも忘れて死んでもいいみたいな 狂気なんだよね」  

だから何だっていうのでしょう。子供もいるのですから、恋に溺れてないで金を稼いできていただきたいです。 しかも彼にあきれつつも「だから今は浮気相手に夢中で帰ってこないんだ?」と冷静に聞くカンナに、「うん」とまっすぐに目を見て認めるのです。 

しかも悪気がある訳ではなさそうなので、余計に話しても無駄だろうと思わされます。 カンナの性格が良いだけに余計ダメさが目立つ礼。悪い人物ではないのですが、芸術家肌が強すぎて「普通」の通じない相手なのです。

ドラマ版では要潤が演じています。

登場人物3:ただの天使!麗音

登場人物3:ただの天使!麗音

出典:『カンナさーん!』1巻 

パワフルでポジティブな母親と、ダメダメで芸術家肌が抜けない父親のもとに生まれた麗音。果たしてどんな子に育つのかと思いきや、彼はカンナ似の超いい子!麗音はどんなシーンをとっても和まされる、純粋な心の持ち主です。 

ある時は健気。浮気のせいで締め出された礼に会えず、来客の度に父親かと喜んでいるのにカンナが「ふたりだけでも大丈夫だよね」と言うと元気に返事をします。 

またある時はラブリー。嫁よりも母親を大事にする礼に腹を立てたカンナに「もしママがお嫁さんに意地悪したらレオがママのバカ!ってママをバチンするんだよ!」と言われ、「れおは れおはねぇ ママがいちばんしゅきなんだよ〜〜〜バチンするのイヤ〜〜」と泣いてしまいます。  可愛すぎです。

可愛くて健気で、作品中でもほとんどカンナを困らせることのない天使のような麗音。「アラフォー編」では好青年になってカンナをしんみりさせます。礼は父親ですが少しは子供のことを見習ってほしいです。

ドラマ版では川原瑛都が演じています。

登場人物4:カンナとバチバチ!?姑・鈴木柳子【ネタバレ注意】

カンナといつも嫁姑バトルを繰り広げるのが礼の姑・柳子です。彼女はいつも息子と孫しか気にかけていないタイプ。よくある嫌な姑像を地でいきます。
 

礼の浮気が発覚した時も「ごめんなさいねえカンナさん!」と全く大ごととは思っていない様子。「遠慮なく2〜3発張り倒して許してやってよ」と笑いながら話すのです。

浮気発覚からの離婚について、ふたりで決めたことであり、礼は本気だと譲らないのだとカンナが冷静に返すと、「あなたの礼への愛情はその程度のものだったのね」「浮気の責任てのはね妻にもあるのよ(中略)たった一度のまちがいを許してやれないものかしら」とのたまいます。読んでいるだけでイライラしてきます。

この後も様々な場面でカンナを困らせ、読者をイライラさせる柳子なのですが、一度だけカンナを認めたようなそぶりを見せることも。それは礼が仕事のミスで2千万の借金を背負ってしまった時のことでした。

彼はついに首が回らなくなくなり、両親に借金を頼みます。そこで父親の徹三は自分で解決すべきだと彼を鼓舞するのですが、柳子は親から譲り受けた株500万円分を渡します。

礼もどうしてもすぐにスタッフの給料だけは払いたいからと母親の気持ちを受け取ることにしました。彼は遅くとも再来月には借りたお金を返せると言い、それはカンナにあげたマンションを売りに出すからだと続けます。

カンナは即決でマンションを売ることにして、自分のことをいい奴だから絶対またうまくいくよと励ましてくれたと語る礼。これにはさすがに柳子も何か考えこみ、更に食事代を礼に渡します。

彼は遠慮しますが、柳子はこう言うのです。

出典:『カンナさーん!』2巻

やっとカンナのことを少し認めた柳子。いつもトゲトゲしている彼女ですが、筋が通っている部分もある人物。礼と同じでほとんど嫌なところだらけなのになかなか憎めないところがあります。

ドラマ版では斉藤由貴が演じています。

登場人物5:鈴木家で唯一まとも!?舅・鈴木徹三【ネタバレ注意】

漫画原作ではほとんど登場しませんが、カンナにとってはモンスター姑と宇宙人な夫がいる鈴木家の中で唯一まともなのが舅の徹三です。しっかりと登場したのはたった一度だけですが、人柄の良さが伝わってくきます。
 

離婚した後に礼がカンナのためにマンションを買ったという話を聞いて柳子はその家にすっとんでいきます。彼女は離婚の1ヵ月後に短期間だけ付き合っていたカンナの恋人のことを噂で聞いたらしく、そんな母親のもとに置いておくくらいなら麗音を引き取りたいと言ってくるのです。

今はその彼氏とは別れたと聞いた後でも柳子は「男の人がいて 夕御飯はコンビニ弁当 昼は保育園 週末はうちに預け放し それで母親ですか!」と言って断固、麗音を引き取ろうとしてきます。

それに対してカンナもつい意固地になり、そんなことならマンションもいらないし、週末も預けなくてもいい言ってしまいました。そしてその夜、一旦実家できちんと自分たちのやり方を両親に説明したいと言う礼とも喧嘩になってしまい、本当に週末に麗音を預けることができなくなってしまいます。

仕事が忙しいカンナですが2時間寝られればいいと無理をして子守と仕事を強行突破することにしました。

一方、鈴木家では麗音を預りに行かない礼と妻を見て、徹三が「たまには じじいが行ってみるかな」とつぶやいてカンナの家に足を運びます。「麗音君はじじいと遊んでくれるかねえ」と漏らす彼は最高に可愛らしいおじいちゃんです。

そしてカンナが忙しそうな様子を見て麗音を公園に連れて行き、昼ごはんさえ遠慮して去っていきます。そして帰り際こう言うのです。

「カンナさん もし…もし明日も麗音君が遊んでくれるようだったら 私また来ます(中略)
あの…マンションのことやら何かとあったようですが
礼がここを買うぐらい当たり前のことですから
カンナさんは何も気にしないで あの…週末は及ばずながらじじいの手もありますから」

そして翌日はカンナが呼び止め、一緒に昼ごはんを食べることになりました。そこで礼の性格は自分の育て方が良くなかったのではないかとこぼす徹三に、カンナは「だめですよ!そんなこと言っちゃ」と礼をフォローします。

言いたいことはあるだろうに、自分のために息子をフォローしてくれるカンナに、徹三はこう言うのです。

 

出典:『カンナさーん!』2巻

お義父さん!!!!

どうして徹三は柳子と結婚したのでしょうか?正反対のものに惹かれるということなのかもしれません。

この後ほとんど登場しない徹三ですが、この回だけで読者の心を鷲掴みにする最強の舅です。

ドラマ版では遠山俊也が演じています。

 

泣ける名言1:不倫発覚!?「さよなら」

今日は麗音の誕生日。しかし待てど暮らせど礼が帰ってきません。そしてやっと帰ってきたかと思えばつれない様子の彼。明日もあるからと早く寝ることになるのですが、ふと目を覚ますと礼はパソコンの前に座ってある女性とのメールを見ています。

そこには「別れて2時間だけど、もう会いたい 週末が待ち遠しい!」という文字が。そう、礼は不倫をしていたのです。

彼の言い訳を聞いて、カンナは「行くところまで行くしかないよねそりゃ ただし離婚届書いてここを出てっってからね!!」と彼に突きつけます。

そうは言いながらも、実は毅然とした態度を見せれば惚れ直して帰ってきてくれるのではないかと考えていたカンナ。しかし悲しそうにしながらもやり直そうとは言ってくれない彼に寂しさを感じていました。

そんな中、雨の通園途中、交差点で自転車同士ぶつかって怪我をしてしまう麗音とカンナ。病院に駆けつけてきた礼を見てカンナは自分にも相手の女性にも中途半端に優しいのは良くないと諭します。

「みんなが傷ついてみーんな不幸になるなんてのが一番やだ
礼 あたしあんたをあきらめる」

 

出典:『カンナさーん!』1巻

心の中で自分を励まさねば言葉がつまりそうになるカンナ。なんとか我慢し、最後の別れの言葉を笑顔で告げます。ギリギリまでこらえますが、礼に背を向けたあと、彼女は溢れる涙を抑えられませんでした。

雨と涙で化粧が落ちて、もともと綺麗とは言えない顔はもうぐしゃぐしゃです。けれど彼女が最後に礼に向けた笑顔はとても美しく、泣いている顔も抱きしめたくなるような気持ちにさせられるものです。カンナを見ていると、見た目ではない美しさがあると本当に思えてきます。

泣ける名言2:離婚の決意「残酷な嘘」

しかし礼は2話目でもう浮気相手と別れます。この後も続く彼なりの美学に基づいた行動。本当につかみどころのない人物です。

そして浮気相手と別れた後にカンナのもとに戻ってきて、彼女への好意を伝えたそうなそぶりを見せます。前回あれだけカンナを傷つけておいてずうずうしい。

これにはさすがにカンナも厳しい言葉をかけます。本当は彼がまだ好きだという気持ちをおさえながら、今まで浮気している時でさえ好きだと言っていた彼の残酷さを指摘するのです。

「好きだって言われて喜んでるあたしを見てかわいそうだと思わないの?
あんたはあたしにわざと片思いさせといて自分の保身のために知らない振りしてたんだ」

 

出典:『カンナさーん!』1巻 

カンナかっこいい!彼女の礼への言葉には勧善懲悪ものに似たすっきり感があります。その悪が惚れた相手というのが厄介ですが。

 しかしカンナはなんだかんだやっぱり彼のことが好きなのです。この言葉の最後にこう付け加えます。

 「二度とあたしにそーいうこと言わないでよね 少なくとも今のうちは」

 やっぱり甘い! どうしても礼のことが嫌いになれないという気持ちが伝わってきます。その気持ちを想像すると、余計に最初に彼女が言った言葉がいじらしい。自分のことよりも何が一番いいことなのかということを考えて行動するカンナは本当にかっこいい女性です。

しかしやっぱり彼女は可愛らしいところがあり、礼には甘い。このあと読者をきゅんとさせる名言を言ったりもします……。

 

泣ける名言3:元サヤに戻ろう「同じ夢」

借金があった礼はカンナの厳しい言葉を聞いた後、それを返済してまた彼女の前に戻ってきます。そして自分の言ったことがどんなにひどいことだったかよく分かったこと、こうやって会いに来るまで今までずっとカンナと麗音と過ごす夢を見続けていたことを語ります。

そしてカンナにまっすぐにこう言うのです。

「河東カンナさん つきあってください!」

それを聞いたカンナは頬を染めて、こう言います。

出典:『カンナさーん!』1巻

見つめ合うふたり、そして礼の足元に嬉しそうに駆け寄る麗音。説明が不要なほどの名シーンです。カンナの今までの悲しさや諦められない辛さ、その分の嬉しさが伝わってきます。

強い言葉を言いながらもところどころで少女のように純粋な彼女を見ているとどんどん可愛く見えてくるから不思議です。そして本当にいい言葉はそんな純真さが伝わってくるシンプルなものだと気づかされます。

離婚したばかりなのですぐに再婚とはならないものの、ふたりは再び恋人同士として付き合い出すのです。

泣ける名言4:誰しも通る道・嫁姑戦争!「一番大事なこと」

礼とヨリを戻し、ウキウキのカンナ。彼と復縁してから最初のデートにノースリーブ、フリフリスカート、そして満面の笑みで気合十分です。

そしてもう一度一緒に暮らしたいと言ってきた礼に喜ぶカンナですが、この話にはまだ続きがありました。なんと彼はカンナが戻ってきてくれれば実家を二世帯住宅に立て直すので姑の柳子と住んでほしいと言うのです。

一度しばらく一緒に暮らした時も、ことあるごとにカンナの言動に小言を言い、挙句の果てにはカンナが入った後の風呂を油っぽいなどと言う柳子。何となく言いたいことは分からなくもないですが、かなりひどい姑です。

せっかく復縁できたのに思わぬところからまたひと波乱。礼とヨリを戻したいけれど姑との同居は絶対に無理。カンナは迷いますが、やはり自分の気持ちに素直になれる方を選ぶことにし、姑に同居を断ってこう言うのです。

「つまんねーケンカより 自分で選ぶ生活苦ですよ!」

そのあけすけな様子には姑も口あんぐり。しかしカンナは一番大事なことを守れた自分に満足しています。それが何かと礼に聞かれ、彼女はこう答えます。

出典:『カンナさーん!』1巻

やはり彼女の言葉はシンプルで強いです。あけすけな様子を嫌がる人も多いかもしれませんが、そんな小さなこと気にならないくらいの人柄の良さが彼女からにじみ出ています。

結婚すると誰もが一度は通る姑問題も、カンナさんの手にかかればスッキリキッパリ解決なのです。

泣ける名言5:カンナに新恋人!?「大好きだから傷つけられない」

カンナと礼の関係は順風満帆かと思いきや、また暗雲が。彼はふたりのためにマンションを買おうと仕事に打ち込みすぎて、逆にカンナと麗音を近くで見守ることができなくなってしまいます。

そんな時に、カンナの仕事も大忙し。日曜も仕事をしないと間に合わないほどの忙しさ。しかし礼とは連絡がつかず、仕方なく彼女は無理して麗音を遊びに連れて行き、徹夜で仕事をしました。それでも全く終わらず、1時間仮眠をして仕事を繰り返し、つい麗音に強くあたってしまいます。

そんな時に友人の結婚式で外国人のエディという男性に出会うのです。優しい彼はジェントルマンな猛アプローチを仕掛けます。家まで家事をしにきてくれて麗音と遊び、美味しい手料理を振舞います。

そんなエディのサポートに癒され、カンナは彼と付き合うことを決めました。

しかしそんな嬉しい時に限って礼も男らしさを見せ、カンナと麗音のために購入したというマンションを契約してやってくるのです。しかもタイミングが悪いことにカンナとエディが一緒にいる時に。

今まで自分たちのために頑張ってきてくれた礼に複雑な気持ちを抱いているカンナの様子を見て、エディは彼女の未練を感じ取り、自ら身を引いてしまいます。

カンナはエディのことが大好きなのに、まだ礼のことを見捨てきれない自分も感じ、あえて彼を引きとめません。

出典:『カンナさーん!』1巻

カンナさんらしい女前な言葉です。礼と恋愛関係に戻るかは分からないけれど自分の心の中に彼の居場所があることを認め、彼と新しい形で付き合っていこうと決めます。

礼と元サヤに戻る可能性も大きくはないのに、エディのために無理に追わないカンナさんは本当に女前です。

エディはかなり序盤に出てくるのですが、本当にいい人。なぜ彼を選ばなかったのか……。そんな後悔を読者に強く感じさせる人物でした。

カンナさんの泣ける名言6:仕事も子供も礼も失う!?「どん底での決意」

ある日、カンナの職場にやってきたのは「人員整理係」。デザイナーの多さを危惧して社長が外部から呼んだのです。

成績も悪く、子供がいるから残業なしで休むことも多いカンナは大ピンチ。どうにか面接で名誉を挽回しようと決めます。

そんな面接当日、麗音が事故にあってしまうのです。面接を断って迷うことなく病院に向かったカンナ。無事ではあったものの、麗音は手を骨折してしまいました。ベビーシッターを雇う余裕のないカンナと礼は迷った末、事故に居合わせて責任を感じている礼の幼馴染・潔子の申し出に乗って、彼女に麗音を預けることにします。

そんな中カンナは再面接で生産管理部への異動を命じられるのです。その部門は2週間程度の上海出張がよくある仕事内容。子供のいるカンナにそんなこと出来る訳なく、それか早期退職を選べと言われてしまいます。事実上のリストラ宣告でした。もしかすると麗音のもとへ駆けつけたあの出来事がだめ押しだったのかもしれません。

日本中の女性を綺麗にするのだという意気込みで13年続けてきた仕事でしたが、自分は人員整理でクビにされてしまうような「いらない人間だった」のだと落ち込むカンナ。

そして困難は続きます。実は潔子は礼の姑が彼のお見合い相手にしようと目論んでいた人だったのです。退職前の整理や再就職活動でなかなか一緒にいられないカンナを見て、麗音は家に帰らずに礼の実家で潔子たちと過ごしたいと言い出します。

自分を遠ざけるような我が子の悲しい言葉を聞いてその場を感情的に去ったカンナでしたが、思い直して麗音のもとへ戻りました。

しかしその時に実は潔子がお見合い相手だと知り、しかも礼が「こんないい女このままにしとけないよ」と言っている現場を目撃してしまいます。とうとうプライベートにまで自分の居場所がなくなってしまったと考えるカンナ。

そんな時に彼女が思い出したのは学生時代の部活での経験でした。当時ソフトボール部に所属していたカンナは後輩にレギュラーのポジションを奪われてしまいます。

表面上は後輩を応援しつつ心の中では彼女の失敗を望んでいたカンナ。しかし卒業時に後輩から「カンナが応援してくれていたから頑張れた」という言葉をかけられ、カンナはソフトボールの実力でも人間的にもその子に負けていたのだと知らされました。

そんな過去を思い出した彼女は一番大事なことは、自分がメンバーになることではなく、みんなが幸せになるために自分が身を引くことだと思うのです。

出典:『カンナさーん!』2巻

本当に女前。仕事も不安定な時に今まで自分を支えてくれた人間関係を手放すなんていくら何でも簡単にできることではありません。

そして大好きな麗音と礼のことをあきらめようとするのですが……。

カンナさんの泣ける名言7:保育園からの呼び出!「子供の可能性」

いつもわがままを言わない麗音ですが、ある日朝食の席でこんなことをつぶやきます。

「レオねぇ ほいくえん いきたくない……」

それをただのワガママだと思ったカンナはいつも通り支度をさせて彼を送り出します。この時カンナは無職になったことに加え、礼が仕事のミスから背負った借金2000万円のためにマンションを手放さなくてはならず、てんてこ舞いだったのです。

そんな中、カンナは保育園から呼び出されます。彼女が見たのは友達に遊びに誘われてもその場を動かず、じっと下を向いている麗音の姿でした。

やりかえせばいいのに、何やってんだかと笑うカンナに、保育園の先生は麗音はずっと泣いているのだと告げます。実は去年の夏頃、離婚や礼の別居があった時から泣くことが増え、カンナに見捨てられるのではないかといつも不安そうだったと言うのです。

以前カンナと一緒に泣いたことを覚えていた麗音は「自分が泣くとママも泣いちゃうから」とカンナの前では絶対に泣かないようにしていたのでした。

その夜、なぜ保育園で泣いてしまうのか、自分が迎えにこないと思ったのかと麗音に聞くカンナ。泣きながら「ほいくえんは…ママがいないもん」と言う麗音。「あとは?」と優しく聞くカンナ。

それを聞いた麗音は後ずさりした後に何とカンナを蹴りつけます。

そして「……て じゅんくんがキックするんだ……!」と言いながら自分でもカンナを蹴ってしまったことに混乱するのです。そして「ママをキックするのイヤーー ごめんね レオがわるいんだ」と今度は自分を何度も殴りつけます。

まだ子供の麗音の頭では離婚や同年代で成長の早い友達のことを処理しきれないのだと理解したカンナ。彼は優しすぎるゆえに「やられたらやりかえす」ということが出来なく、ストレスの発散場所がなかったのでした。

そこでカンナはマワシをつけて即席の相撲大会を始めます。「おすもうさんはようふくきてないよ?」と言う麗音の言葉を受け、やけくそになって裸でまわしをつけ、ぶつかり合うふたり。たくさん汗をかいて「ママはつよいねえ それにレオもつよかったねえ!」と言う麗音にカンナはこう言います。

出典:『カンナさーん!』2巻

子供のために何ができるかを本気で考え、真摯な言葉で向き合うカンナさんはまさに理想のお母さんです。

カンナさんの泣ける名言8:再婚でハッピー!「ふたりのために買いたい」

借金を背負った礼に職無しのカンナと金銭的な余裕がないふたりですが、不安定な麗音のために家族で旅行に行くことになりました。

そしてやってきたのは沖縄!快晴の中さぁ海に入ろうという時になって麗音が近くのお土産屋さんのショーケースの前から動かなくなってしまいます。
 

「みてるだけ!かってっていわないよ(中略)
かってっていわないもん かってあげたいけどいわないもん」


そう言いながら泣いてしまう麗音。

 

お菓子は1週間に1度という約束をしたのに毎回スーパーでおねだりするのを叱るようになってから彼は回りくどい要求をするようになってしまったのです。

異常に泣き続ける麗音。礼は「この際まずはレオの気持ちを受けとめてみない?こんなとこからでもさ」と言い、欲しがっていたおもちゃの指輪がたくさん入ったケースを買ってあげます。

そしてその後海ではしゃぎ、みんなで木陰で寝ている時に麗音がそのケースを持ってカンナと礼にどれがほしいか聞いてきました。そしてふたりにこう言うのです。

「ママもってるのパパにあげて?パパはママにあげて?」

 

出典:『カンナさーん!』2巻

以前ママと結婚したいと言う麗音を、親子では結婚できないよ、実はパパと結婚したいんだ、となだめたカンナ。その言葉を覚えていた彼は、ふたりに指輪を買ってあげたかったのだと言うのです。子供らしい、ストレートな名言。ついじーんとしてしまいます。

それを受けて礼とカンナは再び幸せな家庭を築くと誓いあうのです。

そのあとは言葉はなく、ただ抱き合い、喜びを分かち合う3人。麗音の無邪気な名言に引き出された最高の名シーンです。

カンナさんの泣ける名言9:子供のお受験!「合格通知」

紆余曲折あった末に公立の保育園に入園した麗音ですが、ある日カンナは茨木田先生から呼び出されてしまいます。そして彼女に麗音はスケジュール通りに行動出来ず、保育士たちの言うことも聞かない問題児で面倒が見切れないので、どこか他の保育園に行って欲しいと遠回しに言われてしまうのです。

落ち込むカンナですが、その後に呼び出された保険の先生からは、麗音の行動には全て理由があるから「彼の個性をはじかないで評価してくれる学校はあると思いますよ」と励まされ、麗音に合った場所を探すのに小学校受験という道を考え始めました。

しかしそこからが大変!学校説明会で浮いた格好をしている父兄は目をつけられると知ってポリシーでもあるド派手なファッションをいったんやめたり、受験のために麗音を塾に通わせたり、ママ友からいじめを受けたりと波乱万丈。

それでも理解してくれるママ友が出来て、カンナは麗音と一緒に奮闘します。しかし結果は本命3校の受験すべて失敗。そんな時に新しい私立の学校を紹介してくれたのが茨木田先生でした。カンナはどちらかというと麗音のことを好ましく思っていなさそうだった彼女の優しさに感動します。

その学校の受験後、約束を破って無駄話をしてしまったという麗音を詳しく聞かずに叱るカンナ。普段はおおらかですが、やはりお受験でピリピリしています。

しかし茨木田先生は彼女を止め、落ち着いてなぜ話をしてしまったのか訳を聞きました。実は麗音は体力測定のテストの時に失敗した子を励ますために話してしまったのです。良いことかもしれないけれど受験としては失敗だと自分を責める麗音の様子を見て、茨木田先生はこう言います。

「それでいいんだよ!すごく難しい問題だったね
でも素晴らしい答を出したね」

 

出典:『カンナさーん!』7巻

その言葉を聞いてカンナはこれまで受験を頑張ってきたのは一番家族以外で身近に麗音を見ていた茨木田先生から認めてもらいたかったのだと気づきます。

「今 言ってもらった!
先生のその言葉が合格通知です」

子育てやお受験を経験したことのある人なら更に沁みるふたりの言葉。子供に何かを教えることの難しさ、子育てへの不安に共感してしまいます。お受験は子供も子供の周囲も試されるものなのだとしみじみ感じられるものです。

カンナさんの泣ける名言10:離婚→再婚→破談!?「ザッツOK!!」

それまでは比較的いいパパモードだった礼ですが、どうしても定期的にクズな一面が出てきてしまいます。ある休みの日、じゃれついてくる麗音に冷たい態度をとる礼。カンナはまた仕事で何かトラブルがあるのかと心配します。

しかし彼を励ますためにセックスで癒してあげようとしたカンナに対し、礼は「俺カンナとはもうできないと思う」と突きつけるのです。そしてひとりの相手にいつまで興奮できるかと彼女に聞いてきます。

「俺はねどーも2年が限界なんだよ」

「俺は婚外恋愛もセックスも認めるよ」

「俺は正直に生きたいんだ
たとえ立派な生き方でも自分以外のものにはなりたくない」

独特すぎる自論を展開して家族そっちのけでどんどん仕事にのめりこんでいく礼。麗音との約束も守らず、仕事の話の時くらいしか笑顔をみせません。そして以前のように一緒にいたいカンナについにこう言い放ちます。

「俺たちは生き方が違うんだよ(中略)
離婚してください」

いくらなんでも辛い時に支えてくれていた人に対する言葉とは思えません。本当にどうしようもない人物です。

そんなショックなことがあったカンナですが、自分の仕事も勝負どころで忙しく、とりあえず仕事に没頭します。麗音の世話もあまりできず、どんどん生活は散らかっていってしまいました。

そんな時にカンナに一目惚れした亀井が彼女を支えます。当初は礼と麗音がいるからと彼のラブコールを断っていたカンナでしたが、徐々に彼に惹かれ、ある日一夜をともにします。

そして何とその一度だけのセックスでカンナは第二子を身ごもってしまうのです。付き合って2ヶ月だから引いてしまうのではないかと思いながらも彼は全く動じず、晴れてふたりは家族になります。

気持ちが冷めている礼もこのことを素直に喜んでくれ、カンナはお腹の子を産むことを決めました。

しかしそんな時に立ちはだかったのは軌道に乗り始めた仕事と亀井の元カノ。

仕事場では妊娠しているなら仕事はやめてもらうと解雇され、それと時を同じくして亀井の元カノが妊娠していることが発覚したのです。最終的にまた亀井と歩むことを決めますが、どんどん彼の言動に不信な点を感じるようになるカンナ。

そしてある日亀井の元カノから「もう二度と会わない」と一方的な怒りの電話を受けて驚きます。そしてそのことを彼に聞いたことで不信感が確信に変わってしまうのです。

実はカンナの裏で亀井の父が弁護士を雇い、元カノにもう二度と亀井や彼の家族、カンナに会わないことを約束させていたと言うのです。あちらからすればカンナから言われて仕方なく会っただけなので完全に濡れ衣です。

自分がやったことじゃないからよく分からないと言う亀井に詰め寄るカンナ。しかし彼が「どうせ自分と同じで養ってもらえなきゃ生きていけないような立場だから同情しているんだろう」と言ったことからどうしようもない人だと気づかされてしまいます。

そんな時、一度はやめたもののカンナの状況を知ってバイトをさせてくれた社長。カンナは憧れブランドのイギリス人デザイナー・サディを接待することになります。彼に今の状況を話したカンナは大変そうだと言われてこう答えるのです。

出典:『カンナさーん!』11巻

こんなに力強くてシンプルな英語なかなかありません。ここまで逆境に追いやられてもポジティブさを忘れないカンナには本当に勇気付けられます。

カンナさんの泣ける名言11:自分の道を歩むカンナ【最終13巻ネタバレ注意】

サディにその生き方と才能を見込まれたカンナは、妊娠したまま心機一転ロンドンに住んで仕事をすることになります。そして1年後にはどうにかそこで子供ふたりを養えるまでに成長しますが、いきなり来月から東京に行って販売として働けと言われてしまいました。

しかもその仕事内容は日本市場の撤退に伴う店舗の人員削減の告知。要するに首切り係りとして派遣されたのです。

1年間5時間以上寝ることのない生活を続けて働きまくったものの、会社からデザイナーとしてはリストラされたことを悔しく思うカンナ。いっときは落ち込みますが、もう一度ロンドンに戻ってデザイナーとして働くことを胸に決めます。

しかし現場に入って働くうちにどんどん日本の社員たちに愛着が湧いてきてしまいました。そしてある女性が仕事がなくなることを主夫をしてくれている夫に話して殴られてしまったという話を聞いて撤退を覆そうと決めるのです。

そして売り上げを倍増させるために、ひょんなことから一緒に住むことになったミンクというモデルを起用してキャンペーンを行うことにします。そのキャンペーンは大成功。売り上げが落ち込んでいた東京店が世界各店での売り上げランキングで本店に次いで2位になります。

喜ぶスタッフたちに次の手はメジャーヒットとなる商品ん投入だと言うカンナはあるデザイン案を出します。それは平均的な1日分の給料で買えるという8000円のTシャツ。

しかしそれはブランドポリシーの「高品質・高価・高価値」に反するものです。ロンドン時代に発案したこの企画は本部会議でもトップの意見が別れてペンディングになったものでした。

そして今回もトップふたりのうちひとりがNGを出します。しかしカンナは独断でその企画を進めることにします。

そしてひとりだけ事情を知っているミンクに勝手にやって大丈夫なのかと聞かれて、うまくいかなかった場合もスタッフたちは知らないので騙されていたことにできるから大丈夫、責任はひとりでとると言うのです。 

出典:『カンナさーん!』13巻

最高にかっこいい!彼女の女前な性格が現れた名言です。

しかし無理なスケジュールで頼んだ縫製工場で最後の仕上げであるブランドのタグ付けをしながら、勢いにまかせて走り続けたものの、ブランドの名を借りて独断で仕事を進めることにさすがに抵抗を感じます。

たとえ成功しても大変なことになると感じているカンナ。果たして『カンナさーん!』最後の彼女の大仕事はどうなってしまうのでしょうか?

『カンナさーん! アラフォー編』の面白さをネタバレ紹介!

著者
深谷 かほる
出版日


ここからは『カンナさーん!』の続編として出された「アラフォー編」のご紹介をします。第1作が現実のドタバタ騒動を描いているのに対し、40近くなったカンナの物語は彼女の過去に焦点が当てられた作品です。

その過去とは『カンナさーん!』時代のものを感じさせる展開や、更に前の昔の彼女の幼少期、学生時代に出会った人物との物語だったりします。どれも更にカンナについて深く知ることのできるもので、ただの二番煎じの続編にはなっていません。

ここからはそんな『カンナさーん! アラフォー編』の名言をご紹介します。

アラフォー編泣ける名言1:麗音の成長

歳を重ねても全く成長しないのが礼。彼はアラフォー編で再びカンナと別れたあと、金欠と再婚の準備で息子の学費を出せないなどとのたまうのです。

しかも麗音の学校は礼が母校だから通わせたいと言った私立。本当にいくつになっても最低っぷりが変わらない男です。

そんな父親に顔は似てイケメンになったものの、心は幸いなことに似なかった麗音。彼は礼のせいでいつも苦労をさせられ、自分に謝り続けるカンナにこう言います。

「謝らないで
上がる時は一緒に調子に乗ろ 沈む時は一緒に沈もう それでいいんだ

僕は もう幸せだ」

父親に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいほどの息子の言葉。立場が逆だろうという感じです。人間にはもともとの器の大きさというものがあるのだと感じさせられます。

カンナはこの間まで自分が育てていた麗音の思いがけない頼もしさを感じ、「下手したら追い越されちゃうな」と考えます。寂しくはあるものの、今までの彼女の生き方、子育ての仕方が間違っていなかったということが証明される、子供の自立の兆しです。

『カンナさーん!』で散々苦労している姿を見た読者にとってもこの麗音の言葉は何か胸にくるものがあります。

アラフォー編泣ける名言2:母の言葉

カンナがこのような素晴らしい女性に成長したのは母親の影響が大きいようです。『マリーゴールド』でかなりの亭主関白っぷりを見せ、妻に離婚を切り出されたカンナの父親はその昔かなりのモラハラを母親にしていました。

専業主婦の母親に対して「働きもせず食わしてもらってる分際で!!」などと声を荒げることも多かった彼。カンナが「食わしてる食わしてるってバカじゃねーの お母さんは働いてるよ お父さんより早く起きてお父さんより遅く寝て お父さんより働いてんじゃん」と言い返すとグーでなぐることもありました。

しかしそんな争いを見て、母親はカンナにこう言うのです。

「お母さんね このごろ思うの
人間の値うちはどれだけはたをらくにできたかじゃないかしら

カンナがどんなはたらく人になるか 楽しみよ」

そしてにっこりと笑います。

「はた」とは「はたから見ると」などの「はた」と同じ意味で、周囲の人間のことを表した言葉。母親のこんな言葉があるからカンナは人のためにおせっかいを焼かずにはいられないのです。

カンナの性格の良さは脈々と受け継がれて、家族を、そして周囲を幸せにしていくのだと心が暖かくなります。

『カンナさーん!』、「アラフォー編」でカンナの生き様に学ぼう!

著者
深谷 かほる
出版日


『カンナさーん!』ではこの後もカンナの人生は波乱万丈。金銭トラブルや、麗音が精神的に不安定になるなど息つく暇もなく次々と事件に巻き込まれていきます。そんな風に話がどんどんテンポよく進んでいくので、息の長い作品ですが飽きるということがないのです。

また、「アラフォー編」ではその波乱を乗り越えた舞台裏とその後の日々が綴られています。

ふたつとも読めばカンナの生き様、そしてセリフの重みがより心に沁みてきます。ぜひ作品で見た目ではない心の美しさ、強さを教えてくれるカンナに会ってみてください!彼女のことが大好きになること間違いなしです。

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