コメディアンとして、そして映画監督として。ビートたけし、または北野武は日本を代表するタレントです。そんな北野は、実は様々な種類の本を執筆しています。そんなコメディアンや映画監督だけじゃない、北野武の世界に迫ります。
現代の日本人でビートたけしを知らない人はいないでしょう。テレビをつければ、バラエティ番組からニュース番組まで出演し、その多彩な才能を発揮しています。しかし、言うまでもないことではありますが、ビートたけしはコメディアンであると同時に、映画監督、北野武でもあります。活躍は日本にとどまらず、そのマルチな才能には誰もが驚かざるを得ません。
北野武は、1947年、東京足立区に生まれます。その後、明治大学への入学と除籍を経て、本格的にコメディアンとしての活躍を始めます。浅草フランス座での活動を経て、漫才コンビ「ツービート」を結成し、次第に人気が高まり、漫才ブームを巻き起こすことになるのです。その後の北野は、テレビでの活動を中心にタレント活動を行って現在に至りますが、1989年に初監督作を発表して以来、映画監督としての活動も展開します。特に、ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した『HANA-BI』は有名です。
その後は、コメディアンとして、また映画監督として、どちらも活発的に活動を継続しています。今回は、北野自身の著作に当たってみることにより、そんな北野の素顔に迫ってみることにしましょう。
北野武は、先に述べたように、1947年、東京において父・菊次郎と母・さきの間に生まれます。北野はどのような家庭環境で育ったのでしょうか。その一側面が本書では自らの手によって明らかにされています。
本書は「SAKI」「KIKUJIRO」「北野さきさん死去」の3篇からなります。小説のため、フィクションとして読むべき箇所はもちろんありますが、それでも北野のルーツを知るためには格好の一冊です。
- 著者
- ビートたけし
- 出版日
- 2001-11-28
「SAKI」は病気の母を見舞いに行く北野が、自らの人生を回想するという内容になっています。自らの人生の中でも北野は特に幼少期の出来事を鮮やかに思い出します。厳しかった母の思い出。北野のルーツがここにあると言えるでしょう。
本書は、テレビドラマにもなっています。すでにご存知の方も多いかもしれませんが、映像化作品と本書の両方に触れてみることには大きな価値があります。映像のみご覧になった方も、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。
教育や人間関係といった私たちの生活に身近な事柄から、地球環境問題という規模の大きな問題まで、現代社会には多くの問題があります。そんな様々な問題に対してあなたはどのような考えを持っているでしょうか。
本書は、そのような様々な社会問題に対する北野武なりの誠実な答えを集めた一冊です。本書において北野は、独自の視点から現代社会の抱える様々な問題を取り上げ、それぞれについて新たな切り口から解決の糸口を探ります。
- 著者
- 北野 武
- 出版日
例えば、本書の中で北野は自らの抱えている不条理を指摘しています。それは、世界的な貧困という大きな問題があるにも関わらず、それには何の手も打てず「映画」を撮っている自分がいる、ということです。
ここからも北野の考えの射程は実に広がりを持っていることが分かるでしょう。北野は実は彼なりの視点から誠実に、現代社会に対峙しようとしているのです。北野が何を考えているか。それは本書において簡潔に示されています。
詩人、というと少し気取った感じがするでしょうか。確かにそう思われてしまうような独特の「気取り」が詩人の書く「詩」にはあるかもしれません。しかし、北野の詩はそのような気取った感じを読者に与えません。なぜでしょうか。
それは、北野の詩が自らの感じるところを素直に、自分に誠実に表現しているからです。それは、必然的に読み手の心の共感を呼び、多くの人に受け入れられるような内容となっていると考えられます。
- 著者
- ビートたけし
- 出版日
北野は、本書の中で恋に関連する詩を多く書いています。恋。それは普遍的な人間の営みですが、北野はそれを自分のものであるとともに、恋に悩める多くの人のものでもあるように表現しています。
詩人・北野の書く文章はコメディアン・ビートたけしの姿からはある意味想像しがたいものであるとも言えるでしょう。しかし、そんな詩人・北野を知ることによってこそ、人間・北野武の新たな魅力を知ることができると言えます。
あなたは小さいころ、どのような絵本を読んだでしょうか。誰にも思い出に残る一冊があると思います。本書は、北野が自らの画家としての才能も活かして仕上げた絵本であり、北野の書いた本の中でも異色の一冊です。
北野は画家としてもその能力が注目されています。まさに様々な才能を持った人物だと言えるのですが、本書はそんな北野によって描かれた星空の絵から構成されています。北野の画力にも注目です。
- 著者
- 北野武
- 出版日
- 2012-12-14
本書は、少年とその祖父である老人の温かい交流を描いた一冊です。少年に対して、老人は「星空の話」を語り掛けます。パートナーである祖母を喪ったばかりの祖父は、どのような話を少年に語るのでしょうか。
本書は、子供と一緒に楽しむことができるだけでなく、その画力とストーリーは大人をも引き付ける魅力のある一冊だということができます。初めて読んだ絵本のことを思い出しながら、北野の描く世界に入ってみませんか。
「達人」とは、一般的にはその道に通じた人のことを指すと思われていますが、本当の「達人」とはどんな人のことを指すのでしょうか。本書を手に取ることによってその輪郭が浮かび上がります。
本書は、北野武が様々な「達人」総勢10人と対談するという一冊です。北野の鋭い質問はその道の本質がどこにあるのかを的確に問いただします。本書からは「達人」の半生とともに、その道を極めるとはどのようなことであるのかが分かるでしょう。
- 著者
- ビートたけし
- 出版日
- 2009-05-28
例えば本書の中では、競馬の達人、岡部幸雄との対談が収められていますが、そこで北野は岡部がした過去の大きな賭けを伴う勝負の裏話を非常に面白い形で聞き出すことに成功しています。
このような「達人」の素顔に迫ることができる対談は、北野が対談相手であるからこそでしょう。北野は、自らのコメディアンとしての経験を活かし「達人」の魅力を明らかにします。北野のトーク力にも注目の一冊です。
コメディアン、そして映画監督。北野武の多様な才能はそれだけにとどまりません。それは、今回紹介した本を手に取ってみることで実感していただけると思います。社会批評から絵本まで。北野は様々な分野でその持てる力を発揮しています。コメディアンとしてのビートたけしや映画監督としての北野武について興味がある方はもちろん、そうでない方も北野の本を手に取ってみると新たな発見があるかもしれません。北野の様々な才能に触れてみませんか。