料理って、哲学。かもしれない料理本

料理って、哲学。かもしれない料理本

更新:2021.12.19

ふくろうず・内田万里さんによる連載書評コラム。今回は片岡譲『アルポルト』、栗原はるみ『ごちそうさまが、ききたくて。』、高山なおみ『おかずとご飯の本』、辰巳芳子『あなたのために』、脇雅世『冷たいデザートレシピ』を取り上げます。

泡の子
最近はレシピが知りたければパパッとネットで検索しちゃいますよね。
わたしもそうです。
でも久々に料理本を読んでみたら、その面白さに感動しました。
素晴しい料理本って、ネットのように単に材料や作り方が書いてあるだけではなく、その人の趣味や生き方や哲学が込められているんだと思いました。
料理本を通していろんな考え方に触れてみるのも楽しいですよ。

「アルポルト」片岡護のパスタ・スペシャリテ60

著者
片岡 護
出版日
わたしにとってのイタリアンの先生は落合シェフ!ではなく、片岡譲。
なぜかというと、生まれて初めて買ったイタリアンの本が、この本だからです。
簡単だけど、あくまで本格的。物腰柔らかだけど、譲らないところは譲らないぞ!といった気概がふんわり感じられます。
この本に載っている料理は作りまくったなあ。特に19、20歳の時に作りまくって、食べまくって、太りました。
どのレシピも美味しいものばかりですが、ゴルゴンゾーラのペンネは本当に簡単で美味しくて言うことありません。ぜひお試しあれ。

ごちそうさまが、ききたくて。―家族の好きないつものごはん140選

著者
栗原 はるみ
出版日
栗原はるみって本当にいつまでも美しくて、いつまでもズルイ!とおもわせてくれる超魅力的な女性だと思います。
とにかくオシャレ。この本のタイトルもオシャレ。そして信じられないほどの若さ。今年70歳。見えない。栗原はるみのようにオシャレになれたらな、あんな風に歳をとれたらな、とテレビで見かけるたびに思います。
そんな栗原はるみの料理はとっても男前。味付けはしっかりガツンと、脂っこい。串揚げも作っちゃう。そこが大好きなのですが、ちょっとオーガニックなイメージがある人だったので、はじめはビックリしました。
でもそれくらいガツンとした料理で勝負に出れるからこそ、あんなに若々しいのかもしれません。
穏やかめだけど、芯がぶっとい。
わたしといえば、最近は胃弱でお粥食べたりしています。しょんぼり。

おかずとご飯の本

著者
高山 なおみ
出版日
2007-11-24
レシピをネットで検索していくうちに、この人のレシピに当たることが多くなり、そのシンプルさと美しさとオシャレさに参ってしまって本も買ってしまいました。
料理本ですが、盛り付けやら食器やらなにやら美しい写真がズラリ。読み進めていくうちに、理想の生活がボンヤリ浮かんでくるような、そんなステキな料理本です。
どのページにも、著者の「生活」に対する半端じゃなく強いこだわりや信念が感じられます。
わたしも良い感じに料理が作れたら、食器にもこだわりたくなっちゃうかもだな。
散財地獄!

あなたのために―いのちを支えるスープ

著者
辰巳 芳子
出版日
スープの本。もしかしたら料理本の枠を遥かに越えた不思議な本かもしれません。
厳しい材料選び。細かく丁寧な作り方。
そのひとつひとつの工程に著者の物の考え方や哲学がハッキリと現れていて、あーすごいなあ、と思わずため息が出てしまいます。
こんなにも手間暇惜しまず心を込めて料理を作ったことは、残念ながら無いです。
む。今年こそ。

冷たいデザートレシピ―アイスクリーム・シャーベット・ゼリー・ババロア

著者
脇 雅世
出版日
この方のレシピはいつも大胆で、シンプルで、素材を活かしたものばかり。出来上がりもちゃんと綺麗。一本筋の通ったサッパリとした考え方の人なんだな、かっこいい! 憧れてしまいます。
夕飯のおかずでは何度もお世話になっていますが、デザートもまたステキ!
砂糖の甘さがそこまで得意ではないので、甘さ控えめのデザートが食べたい時は自分で作ります。
特に甘いものだとババロアが大好きなのですが、このレシピ通り作れば舌触りネットリの美味しいババロアが、あら簡単。
他にもこれからの季節にピッタリなステキなデザート盛りだくさんです。
そりゃ太る。
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