「ぐりとぐら」シリーズは、昔から愛されている大人気絵本です。子どもの頃に読んだことがあるお父さん、お母さんも多いのでは?意外と全部読んだことがある人は少ないかもしれません。今回は、年代別にシリーズ作品の魅力を紹介していきます。
シリーズ第1作として1967年に出版された絵本です。その人気は衰えることを知らず、今もなお子ども達に愛され続けています。
主人公は、お料理が大好きな野ねずみのぐりとぐら。森の中で巨大なタマゴを見つけた2匹は、カステラを作ることに決めました。2匹は歌いながらカステラが焼けるのを待ちます。すると、徐々に森の仲間たちが集まってきました。
みんなで食べている熱々のカステラが本当に美味しそうで、子ども達が目を輝かせること間違いなしです。
- 著者
- なかがわ りえこ
- 出版日
- 1967-01-20
素朴で愛らしいぐりとぐらのキャラクター、そしてのんびりと進むストーリーは子ども達の心を掴んで離しません。彼らが歌っている歌も子どもにピッタリ。小さい子にも覚えやすい台詞ばかりなので一緒に歌って楽しむこともできますよ。
みんなで仲良くカステラを分け合って食べている場面は微笑ましくて、思わず笑顔になってしまうでしょう。何度読んでも楽しい一冊です。
第1作と同じ年に出版されました。表紙にうつるのは、雪の中にいるコートと帽子を被った2匹の野ねずみ。その表紙のイメージの通り、なんとも可愛らしいお話です。
野ねずみのぐりとぐらは、雪の中で大きな足跡を見つけました。気になってその足跡をたどって行くと、何とそこは彼らの家。ドアを開けると、大きな長靴に真っ赤な羽織もの、そして真っ白なえりまきに真っ赤な帽子を発見しました。それから、大きな袋も置いてあります。
ぐりとぐらの家に訪れたお客さまとは……。
- 著者
- なかがわ りえこ
- 出版日
- 1967-06-01
子どもが大好きな雪とクリスマス。その2つが合わさって子ども心をくすぐり、ワクワクする物語となっています。
大きな足跡に、大きな靴や洋服。謎解きをしているような楽しさと、ぐりとぐらの掛け合いの面白さで子ども達はお話に引き込まれていくことでしょう。そしてお客さまの正体が分かった時には歓声をあげること間違いなしです。
クリスマスの季節に読めば、楽しみなイベントがよりワクワクとしたものになるでしょう。
1977年に出版されました。今回は海で素敵な冒険をする物語です。
ある日、ぐりとぐらが波打ち際で遊んでいると、中に手紙と地図と浮袋の入った瓶が流れ着きました。差出人はうみぼうず。早速2匹は地図の場所に向かいます。そこで出会ったうみぼうずは、真珠を穴の中に落としてしまい、助けてもらうために手紙を流したようです。2匹が真珠を取ると、うみぼうずは喜んで得意の泳ぎを見せてくれました。
新しい友達の真似をして泳ぐ2匹の姿が何とも可愛らしく描かれています。
- 著者
- なかがわ りえこ
- 出版日
- 1967-06-01
海に瓶に入った手紙が流れ着くなんて、夢のような場面ですね。そこから始まる冒険を想像した時のワクワクした気持ちは、お父さん、お母さんも子どもの頃に感じたことがあるのではないでしょうか?
泳ぎが上手なうみぼうずの真似をすると2匹もあっという間に泳げるようになってしまうことが、新しい友達との出会いは新しい発見をさせてくれると伝えてくれているようにも感じられるでしょう。
夏の時期にぜひ読んでいただきたい1冊です。
1983年に出版された穏やかな春の1日が描かれた作品です。
2匹は野原に遠足に行きお弁当の時間を待ちながら体操やマラソンをしていると、緑の毛糸がのびているのを見つけました。ぐりとぐらが毛糸を巻きながら辿っていくと、何とそこには鼻歌を歌っているくまが!毛糸は、くまのチョッキからほどけたものでした。
くまを誘って3匹が一緒に野原に戻っていくと、ちょうどお昼の時間。シートの上に並んだ美味しそうなお弁当を、3匹が仲良く食べる姿が微笑ましく描かれています。
- 著者
- なかがわ りえこ
- 出版日
- 1983-03-05
綺麗な新緑に美味しそうなお弁当。彼らの姿を見ていると、一緒に遠足に行って遊んでいるような気持になります。そよそよと吹く春風まで感じられそうです。
一つひとつの絵もとても素敵で、くまの家の中のシーンはまるでミニチュアで作られた様に可愛らしく描かれています。
こんな風にのんびりと春の1日を過ごせたら素敵ですね。
1992年に出版された作品で、2匹の他に手長うさぎのくるりくらが登場します。
ぐりとぐらが、歌いながら原っぱに向かうとそこにいたのは、手が長くて木登り上手なうさぎのくるりくら。3匹は一緒にお弁当を食べたり踊ったりと楽しく過ごします。
2匹が「木登りがしたい」と言うと、彼らを肩に乗せたくるりくらはとても高い木の上へ。「雲に乗りたい」と言うと、なんと長い手で雲を集めてその雲の上に乗ってしまいました。まるで魔法使いのようです。雲のボートに乗って、空の旅をする3匹。まさしく子どもの夢が詰まっています。
- 著者
- なかがわ りえこ
- 出版日
- 1992-10-31
高い木に登ってみたい、雲に乗ってみたいというのは、子どもの頃に誰もが一度は想像する夢なのではないでしょうか。そんな思いをぐりとぐらが代弁してくれて、その夢を叶えてくれるくるりくらは子どもの想像力をさらに豊かにしてくれます。
そんな魔法使いの様なくるりくらが向かったところは、お母さんのところ。夢のように楽しい場所があっても、帰る場所はやはり一つなのですね。
不思議だけれど、ほんわりと気持ちが暖かくなるお話です。
2002年に出版されたお話です。この作品では、彼らがお料理だけではなくお掃除に挑戦します。
朝ご飯中に、家が汚れていることに気付いたぐりとぐらは早速大掃除を開始。まずはその用意がユニークです。埃よけのマスクにゴーグル、帽子。そしてぼろぼろのほうきの代わりに、ぼろ布をたくさん身に着けて自ら雑巾やはたきの代わりになります。お腹やお尻で滑り、手足に着けた布で埃を払い……。
綺麗になった家で、友達のうさぎ達と楽しいおやつ。美味しいおやつも家が綺麗だとますます美味しく感じられそうですね。
- 著者
- 中川 李枝子
- 出版日
- 2002-02-01
子ども達が苦手な掃除。でもこんなに楽しい掃除なら子ども達も楽しめて家もきれいになって一石二鳥ですね。一見楽しくない様に思う事でも、見方ややり方を変えるとこんなにも楽しめるよと、大人にも子どもにも教えてくれる絵本となっています。
ぐりとぐらの楽しそうな様子を見ながら、親子で楽しんで大掃除に挑戦できると良いですね。
2003年に出版された可愛らしい人間の女の子が登場する物語です。
2匹のもとへ、突然やってきたすみれちゃん。リュックサックに入れた大きなかぼちゃを持っています。とても硬いかぼちゃを割ろうと、高く投げると森の動物たちがたくさん集まってきました。
大きなかぼちゃでたくさんのごちそうを作り、かぼちゃパーティーの始まりです。
- 著者
- なかがわ りえこ
- 出版日
- 2003-10-10
ぐりとぐらと動物たちとの交流の中に、初めて登場する人間の女の子、すみれちゃん。彼らの掛け合いと、可愛らしい仕草が微笑ましく、読者は思わず笑顔になってしまいます。
自分で育てた食物で料理を作り、それをみんなで頂くって素敵なことですよね。人間の女の子が登場することで、絵本の中のお話ではなく、現実感が出て自分達もこんな生活がしてみたいと夢が膨らみます。
読み終わった後に彼らと同じように、お料理をしたり外でピクニックをしても楽しいですね。
たくさんの読者に長い間愛される「ぐりとぐら」シリーズ。素朴で愛らしいキャラクターと自然の中でのんびりと展開していくストーリーは子どもの心を掴んで離しません。
料理や掃除といった日常的に行っていることもたくさん登場しますが、その一つひとつをぐりとぐらが楽しんでいて、少しの工夫と気持ちの持ち方で生活はこんなにも楽しくなるのだということを私たち大人にも教えてくれます。また、季節感のある絵本が描かれていることもシリーズの魅力の一つですので、ぜひ親子で読んで季節の行事を楽しみに待つことにも役立ててみてくださいね。