ペネロペって知ってる?おすすめの絵本5選!青くて可愛いコアラ

更新:2021.12.20

作者ゲオルグ・ハレンスレーベン、アン・グットマン夫妻から誕生したペネロペは、幼稚園に通う青いコアラの女の子です。

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気にしない、気にしない!ペネロペのプラス思考に脱帽です……

朝起きるとペネロペは「今日はひとりで服を着て、幼稚園へ行こう」と決めます。パパとママのビックリする顔を想像するとワクワクします。

自分でなんでもやってみようとチャレンジするペネロペは、あれこれ考えながら、はじめにコートに手を伸ばします。

「ちがう、ちがう!」(『ペネロペ ひとりでふくをきる』より引用)

そうです、コートは一番最後ですね。ママに「行ってきます」を言う時ですね。

その後も悪戦苦闘は続きます。はじめに履くのはパンツで正解だったのに、1つの穴に両足を突っ込んでしまいます。椅子にちょこんと手を添えて片足を抜こうとする様子が可愛らしくて微笑ましいです。

著者
アン グットマン
出版日
2005-01-27

靴下も足ではなく手にはめてしまい慌ててあのセリフ、「ちがう、ちがう!」。そうです、靴下は足ですよね。手ではありません。得意のズボンを履くのも、問題なく履けたかと思ったらパンツがちょっぴり見えてしまったり、シャツを着るのも頭が引っかかってなかなか出てこなかったりで、読んでいるこちらが手を貸したくなりそうな衝動に駆られます。

シャツが通って、髪がくしゃくしゃになってないか気にするところはやはり女の子ですね。最後には、ママに内緒で新しい靴を取り出し履いてみます。もう、これで完璧!

「パパ、ママ、みて!」(『ペネロペ ひとりでふくをきる』より引用)

……と安心してラストを迎えたいところですが、ちゃんとオチがあります。オチの後にはもっとオチがあります!ペネロペって、‟超”がつくくらいのプラス思考の子なんだなぁ、と思えてならない前向きな絵本です。

大丈夫、きっと挨拶出来るようになるよ

小さなペネロペはまだしっかり挨拶が覚えられていません。挨拶する気持ちはあっても間違った挨拶をしてしまいます。

幼稚園のお迎えの時間、ママがペネロペに、先生に挨拶をするように促します。帰る時の挨拶です。帰る時の挨拶と言えば……。ペネロペはちょっぴり自信なさげに「こんにちは……かな」と答えた瞬間、間違いであることに気がつきます。帰る時はそう、「さようなら」です。

猫さんの背中を踏んづけてしまったペネロペは、急いで猫さんを抱っこします。パパに「そんな時はなんて言うの?」と聞かれ、考えます。「ありがとう……かな」と答えた瞬間、またもや間違いであることに気がつきます。「ありがとう」じゃなくて「ごめんなさい」ですよね。

著者
アン・グットマン
出版日
2006-11-28

間違っていても挨拶することを恐れずに、正しい挨拶をしてみるペネロペは健気で可愛らしいです。時折、「なんでそんなところでその挨拶……?」と目がテンになってしまう時もありますが、女の子は愛嬌です(笑)小さな失敗なんて気にすることありません。

眠る前にママに「今日はたくさんの挨拶を覚えたね。寝る時はなんて言うのかな?」と聞かれます。ペネロペは答えます。「ありがとう?」。この場面はズッコケてしまいそうになりますが、さらに「ごめんなさい?」、「さようなら?」と、今日覚えた挨拶を一通り答えてみます(笑)。「ペネロペ、頑張って!焦らないで!」と読んでいる方も力が入ってしまう場面です。

相手に挨拶することは難しいことです。間違ってもいいので、声を出してゆっくり覚えていきましょう。ペネロペと一緒にね。

ペネロペの変化に富んだ仕掛け絵本に大人も楽しめます

ペネロペにとって幼稚園は楽しい1日の始まりです。絵具を使ってお絵描きをしたり、運動の時間にはでんぐり返しや平均台の上に乗ってダンスをしてみたり、水槽にいる金魚にエサを上げたりもします。そして何より幼稚園にはたくさんのお友達がいます。

本作は、そんなペネロペの幼稚園での1日を綴った絵本です。しかもこの絵本、‟仕掛け絵本”になっています。これがとても楽しくて、読み終わってもまた最初から読み返したくなる絵本なんです。

どんな仕掛けになっているかと言いますと、ペネロペは自分のコートを床に脱ぎっぱなしにしています。絵本が「壁にかけてあげてね」と読者に語りかけると、絵本のページ下には矢印が付いていてその矢印を下方向に引っ張ると、床にあったコートがヒョイッと壁にかかる仕組みになっているのです。これ、まさしく絵本の中に参加する‟参加型絵本”ですね。

著者
アン グットマン
出版日
2004-08-24

仕掛けはまだまだ続きます。ページ左側に少し飛び出ている紙で出来たダイヤルを指で回すと、ペネロペが持っていた絵筆の色が変わったり、画用紙に描いた色も同時に変わったりしてあっと驚かされます。各ページの矢印を引っ張ると、平均台の上のペネロペとお友達のリリーローズがダンスを始めたり、バースデーケーキのろうそくの火をフッと吹き消す事が出来たりして、変化に富んだ絵本に子供達はもう釘付けになります。

ペネロペの世界が体験出来て、一緒に楽しむことが出来る絵本です。子供だけではなく、大人も一緒になって仕掛け絵本の魅力にはまってしまう一冊でしょう。

日常的なハプニングも仕掛け絵本にしちゃいました

こちらの絵本も楽しい仕掛け絵本になっています。『おやすみなさい ペネロペ』は、眠りにつくまでのお家の中での行動を主とした内容。いつも通り「あらら……」と思わせるようなことをしてくれます。ペネロペの魅力のひとつでもあるんですけどね。

著者
アン グットマン
出版日
2004-08-24

特に最初の方に出てくる「チョコレートクレープ」を作る場面ですが、フライパンのクレープをひっくり返そうとするページで、例の‟矢印”がついてるんです。読者なら全員「これは、もしや……」と思うことでしょう。矢印を引っ張ると、案の定、クレープはうまくひっくり返せず、ペネロペの顔の上に乗っかってしまいます。

読者は毎回心配させられますが、強い子といいますか、失敗を失敗と思わない性格なのか、顔やエプロンがチョコレートだらけになっていても、涙ひとつみせません。やっぱり強い子なんでしょうね(笑)ファンならこんな些細な粗相は当たり前とすら思っているかもしれません。

ラストは、お布団の中に潜り込むペネロペです。お布団がひらく仕掛けになっていて、ペラっとめくると可愛い寝顔をしてもう夢の中にいます。可愛らしい仕掛け絵本に堪能できる一冊でしょう。

誰しもがこのタイトル通りの気持ちになります……

小さなお子さんの多くは、お片付けが苦手だったりするのではないでしょうか。まだまだいっぱい遊びたいし、まだまだ好きなものに囲まれていたいし、やっぱりお片付けは出来ればもっとあとにしたいものなのかもしれません。でもそんなことを言っていてはきりがありません。

ペネロペもそのひとりです。ママに部屋を片付けるように言われふてくされます。おもちゃでいっぱいになったお部屋を「ちっとも散らかってないでしょう?」と言ってのけます。それでもしぶしぶ片付けながらぺネロぺはとんでもないことを思いつくのです。

著者
アン グットマン
出版日
2007-10-01

「おもちゃを全部お布団の下に隠したら、お片付けがあっという間に終わるよ」と、考えるのです。いたずら好きで想像力豊かなペネロペはさらにこんなことも考えます。「机と椅子もお布団の下に入れたら、夜になってもお絵描きができちゃう」。ぶっとんだアイデアに只、脱帽してしまいます。でも、こんな発想子供の時にしたよ、という読者もひょっこりあらわれるかもしれませんね。

ペネロペはおもちゃを全てお布団の下に隠してしまうのでしょうか。そして机や椅子までもお布団の下にいれてしまうのでしょうか?子供って、やはり遊ぶことに限界がないのですね。「ペネロペ、あきらめてお片付けしましょう」となだめてあげたくなる絵本です。

可愛いだけではないんですね。ちょっとやそっとのことでヘコたれてしまうような「やわなコアラ」ではありません!失敗を恐れず行動力のあるペネロペの絵本は、元気や勇気をわけてもらえる気分にしてくれます。ゲオルグ・ハンスレーベンが独特なタッチで描く世界からもそんなパワーを感じます。クヨクヨと悩んでいたり、落ち込んでしまった時は、可愛い青いコアラのペネロペに頼ってみるのもいいのではないでしょうか。

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