1967年に1作目が出版されてから、今もなお愛され続ける「11ぴきのねこ」シリーズ。11ぴきの愉快な仲間たちが繰り広げる物語は、親から子へ、子から孫へと3代に渡って楽しむ人もいるほど人気が衰えることはありません。その魅力をご紹介します。
馬場のぼるが描いた「11ぴきのねこ」シリーズの第1巻、原点となった作品です。
物語の主役は、お腹をすかせた11ぴきのノラねこたち。11ぴきの仲間はいつでも一緒です。ある日、お腹を空かせたねこたちは、湖に大きな魚が住んでいることを聞き早速探しに出かけます。苦労してやっと探し出した大きな魚はまるで怪物のよう。なかなか捕まえることができません。11ぴきは力と知恵を合わせて、魚を捕まえることができるのでしょうか。そしてその結末は……。
- 著者
- 馬場 のぼる
- 出版日
- 1967-04-01
11ぴきのねこ達の掛け合いと、ほのぼのとした絵に何度読んでも笑ってしまう作品です。
魚に何度負かされても諦めずに力を合わせて立ち向かうねこたち。そのたくましく前向きな姿につい「がんばれ!」と声に出して言いたくなります。そして、ラストでは自分の気持ちに素直なねこたちの姿に大笑いすること間違いなしです。仲の良い11ぴきの愛されるねこたちの物語はここから始まり、そして続いていきます。
子どもと一緒に、ワイワイとと楽しみながら読みたいですね。
シリーズ2作目となる作品では、11ぴきのねこ達がコロッケ屋さんを開きます。意外にも料理が上手なねこ達。そのコロッケ屋さんに、この物語のもう1匹の主役「あほうどり」がやってくることからお話は展開していきます。
お腹が空いていたあほうどりに、コロッケをごちそうしてあげた11ぴきのねこ。その思惑とは、あほうどりを鶏の丸焼きにして食べようというのです。しかし、あほうどりが11羽の兄弟だと知ったねこ達は、兄弟達も食べようとあほうどりの島に向かいます。
ごちそうにありつけると、意気揚々と島に向かった11ぴきのねこですが……。
- 著者
- 馬場 のぼる
- 出版日
- 1972-11-10
11ぴきのねこと少し抜けているあほうどりとの掛け合いが面白く、テンポよく読める作品です。
鶏のまるやきをたくさん食べようと欲張ったばかりに意外な結末を迎えることに。その憎めない愛らしさと面白さが、ねこの表情やコミカルな動きから伝わってきて思わず笑ってしまいます。
コロッケのお店や、ねこが島に向かう時に乗っている気球が何気なく可愛くて、優しい絵のタッチに癒されますよ。
シリーズ3作目となるこの作品は、ちゃっかりした11ぴきのねこと人の良いぶたの物語です。
旅に出た彼らが見つけたのは、古い家。ねこ達は家を掃除して綺麗になった家をちゃっかり自分たちの住処にすることにしました。そこにやってきたのが、1匹のぶた。ぶたはおじいさんの家を探しているようです。
ぶたに家を取られては大変と表札を付けちゃっかり猫の絵まで飾り、自分たちの家だとアピールするねこ達。
家がないぶたは、自分で家を建て始めました。雨の中、外で過ごすぶたをみて可愛そうに思った11ぴきのねこは、ぶたを家に入れてあげて、更には家づくりの手伝いまでしてあげました。
優しいと思ったのも束の間、上手にできた家をぶたにあげるのが惜しくなって、今度は新しい家を自分たちの家にしてしまいます。やっぱりちゃっかり者のねこです。
もともとは、おじいさんの家だった古い家に住むことになったぶた。しかし、これでめでたしめでたしではありません。
なんでも自分の物にしてきた11ぴきのねこに最後は大変なことが起こってしまい……。
- 著者
- 馬場 のぼる
- 出版日
何でも自分たちの物にしてしまった、11ぴきのねこ。しかし、それでも悪者には見えないのがこのねこ達です。少しちゃっかりしていて自分の気持ちに正直すぎるだけなのですよね。そして、何とも穏やかで大人なぶたの登場が、物語の面白さを更に引き立てています。
最後の結末が、何でも自分の思い通りにしているとこうなるよという教訓のように感じます。
シリーズ4作目となる作品は、子どもがついつい「わかる!」と頷いてしまうような、気持ちを代弁してくれるお話です。
ある日、遠足に来た11ぴきのねこ。そこには禁止の立て札がいっぱいです。「はなをとるな」「きけんわたるな」「きにのぼるな」そして「ふくろにはいるな」。自分の心に正直なねこ達。禁止されるとついついやりたくなってしまいます。花を取って、つり橋を渡って、袋に入って。
しかし、これは化け物の罠だったのです。化け物の城に連れていかれたねこ達は毎日働かされて檻で眠り……。でも、ここで諦めないのが11ぴきのねこです。仲間達で力と知恵を合わせて立ち向かいます。無事、化け物の城から逃げることができるのでしょうか?
- 著者
- 馬場 のぼる
- 出版日
禁止されるとやりたくなってしまうのが子ども心ですよね。でも中には本当に、大変なことが起こる場合もあります。今回、化け物の城に連れて行かれたのが良い例ですね。
でも、ねこ達は諦めずに力を合わせて化け物から逃げ出そうと奮闘します。ねこ達の大逆転劇です。ドキドキハラハラする物語と、子ども達への教訓を含めた物語。ぜひ、親子で読んでみてくださいね。
最後には、しっかりと学習をしている11ぴきのねこの成長した姿も微笑ましいです。
シリーズ5作目となる作品では、なんと11ぴきのねこが宇宙から来たねこと出会ってしまいます。
ある日、彼らが川で釣りをしていると、見たこともない水玉模様のねこがあらわれました。そのねこはへんな家に住んでいて、なぜか家に葉っぱを付けています。面白そうだと思った11ぴきのねこ達は、葉っぱを付けるのを手伝うことに。水玉ねこはそのお礼にと、なんと川に潜ったまま歩いて魚を取って来てくれました。
なんとも変わったこのねこの正体は、宇宙からきた宇宙ねこだったのです。ねこ達からもらった大きなやかんの蓋を使って宇宙に帰るという水玉ねこ。宇宙に行ってみたい11ぴきのねこ達は、水玉ねこに内緒で宇宙船に乗り込んで……。
- 著者
- 馬場 のぼる
- 出版日
今回の作品では、11ぴきのねこの他に新しいねこが登場します。しかし、そのねこはなんと宇宙から来たねこ。なんともビックリな展開です。やかんの様な宇宙船に乗っていて、息継ぎをせずに川の中を歩けて、こんな宇宙ねこがいたら面白いですよね。
水玉ねこにたくさん魚を捕ってもらったにもかかわらず、置いて自分達だけ宇宙に行こうとしてしまった11ぴきのねこ。その結末は何とも残念な結果に……。
最後のページであんぐりと口を開けて空を見上げるねこの表情がなんとも面白くて、思わず笑ってしまいます。
シリーズ6作目となる作品は、11ぴきのねこと恐竜との交流、そして思い切り泥んこで遊ぶ楽しさが伝わってくるお話です。
11ぴきのねこがねぐらの山小屋近くを歩いていると、泥沼に子どもの恐竜が。さすがは、数々の冒険をしてきた11ぴきのねこ、全く驚きません。
次の日、崖の下で登れずに困っている恐竜をねこ達は力を合わせて助けてあげました。泥沼でジャブジャブ遊んでいたから「ジャブ」と名付けすっかり仲良しになた恐竜とねこ。しばらく経って大きくなったジャブの背中に乗って遊んでいると、突然泥沼にザブーン。ジャブは泥んこが大好きなようです。
ある日、11ぴきのねこが魚の干物を作っていると、りんごを持ってきたジャブが魚を全部持って行ってしまいました。魚の敵討ちと眠っているジャブにねこ達がいたずらを仕掛けると、驚いて逃げてしまったジャブは全くねこ達の元に来なくなってしまったのです。落ち込むねこ達……。11ぴきはもう2度とジャブに会えないのでしょうか。
- 著者
- 馬場 のぼる
- 出版日
11ぴきのねこが子どもの恐竜の世話を焼く姿が微笑ましく、これまでの作品とはまた違った楽しさがあります。
いたずらをしたのも、魚も持って行ってしまったジャブを少し懲らしめようと思っただけなのですよね。でもそのことが原因で、もうジャブに会えなくなってしまったと落ち込むねこ達の表情から悲しさが伝わってきます。
結末はハッピーエンドです。みんなで一緒に泥んこになってはしゃぐ姿が微笑ましく気持ちが温かくなる1冊です。
ロングセラーシリーズ「11ぴきのねこ」の作品を紹介してみました。11ぴきのねこ達は、自分に正直でちゃっかり者ですし失敗もたくさんしますが、いつも愉快で楽しそうな姿やどんな時も仲間と力を合わせて頑張る姿は読者の心を掴んで離しません。
また、それぞれの作品に登場する、11ぴきのねこと関わるキャラクターもどれも魅力的で物語にはなくてなならない存在です。
11ぴきのねこ達の姿に思い切り笑って、表情までもが生き生きと描かれた優しい絵に癒されながら物語を楽しんでみてくださいね。きっとシリーズの中でも1番お気に入りの作品が見つかるはずですよ。