本の読み方指南書、おすすめ5選!読書術が分かればもっと楽しく読める

更新:2021.12.20

世の中には2種類の人がいます。「本を読む人」と「読まない人」です。しかしこの2種類の人々には共通点もあります。それは「本の読み方」について意識したことのある人はあまりいないということ。今回はそんな読書術が分かる5冊の本を集めました。

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読書の意義を教えてくれる一冊

『本を読む人だけが手にするもの』の作者は藤原和博。東京都の義務教育で初の民間校長を務め、子どもだけでなく大人にも読書の大切さを伝えて来た人物です。本書では彼が「何故『本を読みなさい』と人は言うのだろうか?」という素朴な疑問に答えるべく、読書の本質について語っています。

著者
藤原 和博
出版日
2015-09-30

これから先やってくるのは成熟した正解のない世界。そんな世界を生き抜くために必要な「コミュニケーション力」「ロジック力」「シュミレーション力」などの力は読書によって培うことが出来ると藤原和博は言います。作者の今まで3000冊を読んだ読書経験を元に、実際に読書がどのように自身の人生の役に立ったのか、読書によってどんな力が身につくのかなどを解説してくれる点もこの本の大きな魅力だと言えるでしょう。

本を読む習慣のある人にとっても「本を読むことによって得られること」という視点で本を読むという見方はなかなか新鮮なのではないでしょうか?自己啓発のため、勉強のため、映画化された作品の原作を読むため……本を読む理由は人それぞれにありますが、それによって手にすることが出来るものを意識したことのある人はあまり多くないかも知れません。本を読む習慣のある人にとっても新たな発見に導いてくれる一冊だと思います。

これからの時代、答えはそこにあるのでなく自ら探し出さないといけない時代がやってきます。そんな時代に向けて、この本は一読の価値があります。本を読む素晴らしさが詰め込まれているので、読書の意欲が湧かない人だけでなく、すでに読書が好きな人にもおすすめです。
 

本好きの心をくすぐる読書のための本

『読書の腕前』は岡崎武志が読書の腕前を上げるヒントを記した体験的エッセイです。「空気のように本を吸う男」と呼ばれる作者の本にまつわる思い出や思考がぎゅっと詰まった、読書好きにはたまらない一冊です。

著者
岡崎 武志
出版日
2014-10-09

作者は本を「非常に効き目が遅い」メディアであるという考えを語っています。本というのは速効性はないが、あとになって考えると「ちゃんと効果があったんだな」とわかる、じわじわと効いてくるものなのだと。その絶妙な例えは、本好きの読者の心にゆっくりと馴染んでくることでしょう。それがその通りだと知っているからです。

年に3000冊のペースで本が増え続けていくという作者。地震が来た時に大変ですね、とよく他人に言われるエピソードや、19世紀にピアノ奏者のアルカンという人物が実際に自分の集めた大量の本の下敷きになって死んだというエピソードも紹介しています。堅苦しい内容だけでなく、このようなリラックス出来る内容も盛り込まれていますので、肩の力を抜いて楽しむことが出来るでしょう。

本好きの人は身体は自由になれなくても、精神はどこまでも自由になれることを身をもって理解している、そんな作者の思いが文章の端々から伝わってきます。次の日が休みで、寝る前に枕元に読みたい本を積んでベッドに入る時のワクワクした気持ち。本の世界に旅立つ前の自由で安らかな気持ち。本好きの人が思い切り頷きたくなるような本への愛が溢れんばかりに綴られた一冊です。
 

乱読に新しい価値を与える一冊

思いがけないことを発見する能力を表すセレンディピティという言葉。この言葉の表す能力が乱読によって得られるという、斬新なアイデアを記したのがこの『乱読のセレンディピティ』です。作者である外山滋比古は文学博士で、思考法に関する本やエッセイを多く執筆している人物で「知の巨人」とも言われています。

著者
外山 滋比古
出版日
2016-09-29

一般的には、本の内容をじっくり咀嚼するには時間をかけてゆっくり読み進めることが大事だという考えが根強いですが、本書での主張は全く反対です。様々なジャンルの本を速いスピードで大量に読む乱読こそセレンディピティを生み出す大きな助けになるのだといいます。正確に読むことだけを求めていてはいけない、本は風の如く読むのが良い、と目からウロコの発見に導いてくれる一冊だと言えるでしょう。

本書の後半部分では、作者自身が乱読の経験から得たアイデアの数々も紹介されています。乱読によってセレンディピティを得る読書の勧め、という主張がさらに説得力に支えられる構成になっているのが特徴です。「編集とは料理に似た加工である」という作者がトイレの中で思いついたアイデアは、まさに乱読の賜物だと言えると思います。

「広く地の世界を、好奇心にみちびかれて放浪する」(『乱読のセレンディピティ』より引用)

この言葉が意味する乱読の魅力的な世界を、ぜひ本書でお楽しみ下さい。知の巨人が記した教養あふれる文章の数々に、すぐにでも乱読してみたくなること間違いなしでしょう。
 

最高の読書のための指南書

読書技術を解説した手引書として世界各国で翻訳され、いくつかの諸外国では義務教育課程での本書の学習が必修とされています。

著者
J・モーティマー・アドラー V・チャールズ・ドーレン
出版日
1997-10-09

本書は読書レベルを①初級読書②点検読書③分析読書④シントピカル読書の4つの段階に分けています。この段階を踏んでいけば読書のレベルを上げて更に深い理解を得ることが出来るのです。さらに本を読む際の百科事典の使い方、小説、詩、戯曲の読み方、作者の主張に対してどのような姿勢で本を読んだら良いのかなど広い範囲で読書のテクニックを伝えています。

「ところで、人間の精神には一つ不思議なはたらきがある。それはどこまでも成長しつづけることである。このことは、肉体と精神の際立った違いである。肉体にはさまざまの限界があるが、精神に限界はない。(中略)積極的な読書は、それ自体価値のあるものであり、それが仕事のうえの成功につながることもあるだろう。しかしそれだけのものではない。すぐれた読書とは、われわれを励まし、どこまでも成長させてくれるものなのである。」(『本を読む本』より引用)

正に読書の真髄に迫る一冊。世界中の人々に親しまれているのも納得です。読書好きの人も、これからたくさんの本に出会ってみたい人も、どちらの人も楽しめるでしょう。

「本を読む」とはどういうこと?

茂木健一郎は脳科学者として脳と心の関係について研究している人物で、テレビなどのメディアにも数多く出演しているので知っている人も多いことでしょう。本書では彼が読書についての考えを脳科学者の立場から語っています。

著者
茂木 健一郎
出版日
2015-06-24

本書の面白さは脳科学という切り口から読書の本質に迫っている点。読書をすることが脳科学ではどんな意味を持つのか、という知的好奇心をくすぐるトピックで読者の興味を集めます。さらに茂木健一郎の読書に対する思いや、彼が選ぶ厳選されたおすすめ本の紹介など、本書を読むだけで多くの知識や情報が得られる大満足の一冊になっています。

「本を読むとどんないいことがあるのか。それは読んだ本の数だけ、高いところから世界が見える、ということに尽きます。読んだ本の数だけ、足の下に本が積み重なっていくイメージです。(中略)その足場は、読むジャンルが多ければ多いほど、より安定します。」(『頭は「本の読み方」で磨かれる:見えてくるものが変わる70冊』より引用)

読書の習慣がある人には背中を更に押すような、読書の習慣のない人には読書欲を刺激するような、こんな言葉も記されています。読書と脳科学の繋がりから、本当の知性とは何なのかというテーマまで掘り下げて結論に導いてくれる良書です。

本を読むことは、1つの点である物事を2面、3面……とより立体的にしていくことだと思います。自分自身で創り上げた数多くの知識の立方体をころころ転がして自由な思考の世界を泳ぐのも読書の知的な楽しみのひとつ。この世界には絶対的な答えのない物事も多いですが読書をすれば「自分だけの答え」を掴むことが出来て、その事実は自分を「こうあるべき」というしがらみから解放してくれるのだと思います。

茂木健一郎が優しく分かりやすく語る読書術。あなたもぜひ手にとって脳科学と読書の関係を楽しんでみてください。
 

いかがでしたか?今回は本をさらに楽しく読むための読書術に関する本をご紹介しました。ぜひ今回紹介した本を読んで、読書の時間を更に有意義な時間にしてください。

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