ジョン・レノン ザ・ニューヨーク・イヤーズ
2005年10月09日
ビートルズ時代の代表的な写真集の中から、個人的に引っかかりのあるものを計10冊、2回に分けて紹介してきたが、今回はそのパート3となるソロ編。ビートルズ時代に比べると写真集の数はそれほど多くはないが、4人それぞれにまとめられているので、自ずと私的な色合いの強いものが増えている。そんな中で、70代半ばになった現在もまだライヴ活動を続けているポール・マッカートニーやリンゴ・スターよりも、40歳でこの世を去ってしまったジョン・レノンの写真集が圧倒的に面白い。山あり谷ありの人生を歩んだ証、なんでしょうね。
ジョンとヨーコの長年の友人でもあっただけに、レコーディングや唯一のコンサート(72年の「ワン・トゥ・ワン」)など、二人に密着した写真はもちろんのこと、ハウス・ハズバンド時代のジョンの子育ての様子までしっかりカメラに収めている。ヨーコの『無限の大宇宙』(73年)のレコーディングでのミック・ジャガーとのセッションの様子もいいが、中でも見ものはジョンの「土下座」写真。なぜジョンはヨーコに「あいすません」と謝ったのか。映画『ジョン・レノン、ニューヨーク』を観れば、その理由がわかります。本書刊行時に取材をした際、ボブ・グルーエンは「70年代後半にダコタ・ハウスにジョンといた時にポールが訪ねてきたんだけど、シャッターを押そうという気持ちは全く起きなかった。でも撮っておけばよかったかな(笑)」と語っていたのが印象的だった。ジョン・レノン ザ・ニューヨーク・イヤーズ
2005年10月09日
ジョンとポールのソロ時代の唯一のツーショット写真(この時に撮られて公表された写真は3枚ある)はこうして生まれた。もちろん本書にも掲載されているが、ジョンがヨーコとしばらく離れてみて良かったのは、ポールやリンゴだけでなく、ニルソンやキース・ムーンなど旧知のミュージシャンとの新たな交遊関係が築けたことだ。半面、悪かったのは酒とドラッグに溺れたことだが、この「失われた週末」があったからこそ名盤『心の壁、愛の橋』が生まれたのだから、人生どこで何が起こるかわからない。同じく本書刊行時に取材をした際、メイ・パンは「別居時代にジョンとヨーコは会話を交わすこともなかったと言われていたけど、ひっきりなしに電話で話をしていたわ(笑)」と語っていたのが印象的だった。ジョン・レノン ロスト・ウィークエンド Instamatic Karma
2008年11月15日
リンゴのアルバム『リンゴズ・ロートグラヴィア』(76年)の中ジャケットに、箸を持つジョンの写真が掲載されたあとは、たまに日本にやってきて軽井沢で過ごしたり記者会見を開いたりした時の様子が雑誌に掲載されるぐらいで、音楽活動はもとより、どこでなにをやっているのかさっぱりわからない状況だった。そんなジョンの“精悍な姿”を久しぶりに見たのは80年夏。『ロッキング・オン』に掲載された写真だった。『ダブル・ファンタジー』レコーディング中の、髪を後ろにひっつめた細身のジョンは、まるで別人のようだった。本書は、ジョンがミュージシャンに戻るまでのその“空白の5年間”をまとめたものでもある。爪楊枝を上手に使う様子や、小野家の人々との記念写真など、日本滞在時の写真も満載された内容は、大袈裟じゃなく、ひとつひとつが目に焼き付くほど刺激的。ファンじゃなくても必見だろう。1990年11月に小学館から出た改訂版もいいけど、衝撃度の強さで初版を選んだ。ジョン・レノン 家族生活
1982年12月26日
そうした中で、ふつうなら、上記の写真集か『Photographs』(82年)、『Linda McCartney's Sixties』(92年)、『Light from Within: Photojournals』(2001年)をまず挙げるところだが、ここでは79年に出た本書を紹介することにした。理由はいくつかある。まず、ビートルズ専門店『Get Back』が82年12月8日に高田馬場にオープンしたその初日に“ジャケ買い”したものだということ(4260円は安くはなかったけど)。息子ジェイムズ(当時2歳)と一緒に写る、アルバム『マッカートニー』の裏ジャケを思い起こさせる体裁も良かった。何より、写真付きのカレンダーという体裁が素晴らしかった。この手のシリーズは78年以前にもあり、中でも76年度版『Linda's Pix For Seventy Six』(ジョンとリンゴも登場)はウイングス・ファン必携だMATEY FOR EIGHTY
1979年12月01日
「勉強が嫌いでノートにギターの絵ばっかり描いていた」。ジョージのそんなエピソードはビートルズの伝記本のあちこちに出てくるが、ほんとにそんな絵ばかり描いていたことが本書を読めばわかる。やんちゃな10代の若者が、東洋思想に惹かれ、シタールを学び、徐々に老成していくさまが、数々の写真とともに綴られているので、同じく2回目に紹介した『ジョージ・ハリスン自伝―I・ME・MINE』と本書があれば、ジョージがどんなことを考えながら、ミュージシャンとして、人として生き抜いたかが実感できるはずだ。本書の“ぶっとび”写真は、日本とフィリピン公演直後の66年7月にインドで撮影されたビートルズの4人のくつろぐ姿。こういう写真が何十年も経ってから出てくるのだからたまらない。69年のワイト島フェスティバルの時にボブ・ディランとテニスに興じる写真も微笑ましくて最高だ。
- 著者
- オリヴィア・ハリスン
- 出版日
- 2011-11-11
本と音楽
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