喪女とは、ネット上でモテない女子を指す言葉として認知されています。世にモテる女子あらば、もちろんモテない女子がいることは必定。好きでモテないんじゃない!と共感度抜群の、喪女が主人公のおすすめ恋愛漫画5作品をご紹介いたします。
モテない女子、喪女は何らかの症状を拗らせている場合が多く、それゆえ恋愛どころか人間関係を形成することすら、上手くできません。人間関係をうまく作れないことで最初につまづくのが、学校生活。30人以上いるクラスメイトの中でボッチというのは、かなり精神的にくるものがあります。
『私がモテないのはどう考えてもお前たちが悪い!』は、人見知りのコミュ障で彼氏どころか友人もなく、自意識過剰で見栄っ張り、自己中心的で、かなりの妄想癖を持っている女子高生が主人公。
- 著者
- 谷川 ニコ
- 出版日
- 2012-01-21
智子はそのコミュニケーション能力の低さと、空気の読めない言動から、中学時代も地味な生活を送っていました。しかし、根拠もなく女子高生になったらモテる、とおもっていたけれど、そんなことはありません。気がつけば教室でボッチ。
智子の喪女ボッチな日常が中心ですが、話しかけられるシチュエーションを狙って漫画雑誌を読んだり、クラスの手伝いをしようと話しかけたり。心中でリア充たちを罵倒しながらも、智子は誰かと関わろうという努力をします。しかし、上手くいけば過去友人ができたであろう、と推察できるため、結果は散々なもの。そのあくなき挑戦に涙すら出てきます。
努力の方向性を間違っているのも、コミュ障あるあるでしょう。読んでいて辛くなる読者もいるほどの強いインパクトがありますが、これでも随分緩和されているという驚きの情報も。笑って、自分の黒歴史を思い返して痛みに悶絶してしまいますが、めげずに斜め上方向の努力をする智子を応援したくなる、頑張る喪女のいるギャグ漫画です。
「ワタモテ」について紹介した<漫画「ワタモテ」の見どころを全巻ネタバレ紹介!【最新12巻】>もあわせてご覧ください。。
教室でボッチだったとき、あなたはどうしていましたか。読書をする、スマホを見る、という意見をお持ちの方もいるでしょう。しかし、寝たふりをしていた、と答える人も多いはずです。寝たふりは、眠いんだよ自分は、という、不自然に見えないボッチじゃないアピールができる、唯一の方法なのでした。
『眠れる教室の喪女』は、そんな机に伏せて寝たふりをしている姿が、教室の風景と化している喪女、田の中じゅえるが主人公。喪女ボッチなのに名前がじゅえるという究極のキラキラネームであるところも、涙を誘われます。
- 著者
- 風上 旬
- 出版日
- 2014-06-20
物語冒頭で、パンツ描写にやたらと気合の入った、ナイスバディの女子高生が出てきたことで、何やら錯覚を起こしかけますが、これは喪女の物語。じゅえるは教室の誰からも、何かいつも寝ている人、と認知されています。寝ていて何をしているのかといえば、妄想。稀に本気で寝ていて卑猥な寝言を言ってしまうなど、かなりの残念喪女っぷりを見せています。
妄想以外での顔出しをしないところが、このマンガのすごいところ。じゅえるの理想の顔は出てきますが、1人でトイレでご飯を食べる時も顔を伏せたままという徹底した顔出しNGっぷりを見せつけます。ちなみにトイレでのボッチ飯は、音も立てずに素早く咀嚼して出るという、じゅえるの妄想通り、まさしく訓練された女兵士がごとき行動。
喪女であるがゆえに性的な方向にずれまくった妄想が痛々しく、さらにキラキラネームであるところにさらなる悲しみを誘う本作。無駄な努力はせず、妄想と夢の世界に生きるじゅえるの姿に、どこか安心感を覚える究極の喪女ボッチ女子高生漫画です。
喪女、それは日陰の人生を歩むことを義務づけられた存在。10代からすでに自分の定められた道を認識し、日々友達が欲しいと嘆くボッチ喪女がいました。影野由輝は、15年間彼氏なしの喪女ですが、なんと恋愛展開が鉄板の少女漫画のヒロインなのです。
『影野だって青春したい』は、正真正銘の少女漫画です。主人公は高校に入ってから友達がおらず、用務員さんの花壇整理の手伝いをする心優しき少女、影野。しかし、リア充たちの会話を聞いては心の中で罵倒をする、立派な拗らせ女子です。
- 著者
- 北川 夕夏
- 出版日
- 2013-10-11
そんな彼女を見ていた男子が1人。光永陽太は、成績優秀スポーツ万能、目があっただけで異性を勘違いさせるほどの、イケメンです。そんなモテすぎるキラキラ男子から、友達になる代わりに彼女のフリをしてほしいと頼まれたことから、影野の青春が一変します。
いわゆる喪女が登場する際の、痛々しさや拗らせ感はさほど強くはなく、影野も嫌味なく素直で優しいものの、コミュニケーション能力が底辺な女子として描かれています。ネガティブですがそこで立ち止まるわけではなく、光永を守ろうという気概を見せたり、相応しくなろうと努力したりする姿が好印象。頑張る姿を素直に応援してあげたくなります。
一応ブスという設定ですが、イケメン×ブスとかそういう少女漫画はちょっと、という方でも眼鏡の下の素顔は可愛らしいのでご安心を。壁ドンや顎クイなど、少女漫画らしい夢のような展開も楽しめる、拗らせている場合ではないぞと思わせてくれるような、爽やかな青春恋物語です。
非モテではあるものの、実はかわいかったという漫画は数多くありますが、喪女ですが正真正銘の、ちょっと微妙な顔面でした、という漫画はほとんどありません。創作は夢を描く場ですが、現実はそんなに整った顔の女子ばかりではありません。化粧ですべてが修正できるのなら、美容外科はいらないのです。
『圏外プリンセス』の圏外とは、恋愛圏外。つまりは女性として認識されていない領域ということでしょう。そんな圏外からの逆転を狙い、恋に奮闘する少女を描いた作品。本作には、不美人だからと恋愛に消極的な女子を元気にさせる力が詰まっています。
- 著者
- あいだ 夏波
- 出版日
- 2014-10-24
目黒美人(みと)は、中肉中背ながら、顔に肉が付きやすい体質の少女。見た目はあまりかわいくないため、非モテ街道をまっしぐら。乙女ゲームと妄想を糧に日々を生きていました。美人はその名前と、好きな人に容姿とともに過去の恋心をからかわれ、酷く傷ついた時がありました。そんな彼女を、何気ない言葉で救ってくれたのがイケメン男子国松。美人は当然の成り行きのように、国松に恋をします。
美人のすごいところは、国松に片想いをして青春時代を過ごしたわけではなく、自分で努力をしていったところ。委員の仕事を真面目にこなし、少しでもかわいくなれるように自分自身を見つめなおしていきます。少しでも好意を持ってもらおうという健気さに、美人の恋が叶いますように、と祈りたくなるほど。
喪女はコンプレックスを持っており、そこから抜け出すことが難しい生き物。しかし、辛い思いをした事があっても、下を向かずに前を向いて進んでいこうとする美人の姿に勇気を貰えるでしょう。心は乙女で、自分自身を否定せず努力する美人と、友達になりたくなるはずです。
喪女は非モテ女子。あまりかわいくなく、それなりの努力をしてもやはり喪女は喪女なのだ、と悟りを開いている人もいらっしゃるでしょう。しかし、心はしっかりと乙女。可愛い格好はしたいし、心優しきイケメン男子にときめくくらいの女子としての感情は残っているものです。
『ブスに花束を』は、ネガティブボッチの自虐系喪女子高生、田端花が主人公。少女漫画のヒロインに憧れ、トレードマークは黒神と眼鏡、丸顔で目が小さく、けして美人ではない花の恋物語が語られます。
- 著者
- 作楽 ロク
- 出版日
- 2016-11-04
花はとにかくシャイで、人と話すことは少し苦手。教室ではボッチですが、美化委員として毎日花瓶の水を変えるなど、仕事は真面目にこなしています。その姿をクラスカーストの最上位、イケメン男子の上野陽介に目撃されたことから、物語は始まります。
花はとにかく真面目で、拗らせてはいるものの他者を罵倒することなく、自虐に走ります。秘密にしてほしければ口止め料、コンビニに寄ればおごれということか、とその思考は極端。しかし、そのパニックっぷりがクセになり、可愛く見えてきます。
可愛いのに実は腹黒い肉食系女子の鶯谷さんが登場したり、イケメン上野くんはかなりの天然だったりとキャラクターも秀逸。漫画らしい要素はありつつも、花のことを理解しようとしてくれる上野くんに感動。王道展開もありつつ、自虐で真面目な花がかわいくなってくる、爽やかな青春恋愛漫画です。
喪女は拗らせてはいますが、乙女心をしっかりと持った女子です。喪女と呼ばれ自虐に走ろうが、ときめきを忘れるべからず、と教えてくれる作品ばかり。悲観的にならず、強く明日を生き抜きましょう。