不快感がクセになる…欲望の深淵を覗く“イヤミス”の魅力
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不快感がクセになる…欲望の深淵を覗く“イヤミス”の魅力

更新:2016.4.3 作成:2016.4.3

イヤミスとは、読んだ後にイヤ~な気持ちになるミステリーのこと。怖いもの見たさとはよく言ったものだが、後味の悪さが止められないと人気のジャンルだ。作者の悪趣味である裁判の傍聴にも相通ずるものがある。人の皮一枚下の中身を見たい、というのは誰しもが常に抱える願望だが、それは不体裁であったり未知の恐怖を包含するほどに、不気味な引力を持ってしまうのだ。

寺田御子プロフィール画像
グラビアアイドル
寺田御子
1992年6月11日生まれの岐阜県出身。 2014年に本格的にグラビアデビュー。 清楚な顔立ちとは裏腹に、極度の潔癖症・元ひきこもりというエピソードを公表し、抜群のスタイルを活かしてバラエティのみならず女優業界にも進出。 幼少期からの読書経験から生み出される独特の言葉のチョイスでも注目を浴びている。
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「彼らはきっと、畏れるがゆえに忌み嫌うことだろう。善良な羊飼いを磔刑にした連中のように」

著者
我孫子 武丸
出版日
1996-11-14
愛こそが人間の究極の目標であるのなら、そのためには何を犠牲にしても構わない……自らの手で殺めた女性との行為を、美しく切ない究極の愛の儀式だと気づいた男。次第にエスカレートし、陵辱と惨殺を繰り返す。

永遠の愛を求めて彷徨う彼が辿り着く衝撃のラストシーンは、息子に不穏な影を感じ、猜疑心に苛まれる母親の切実さや、家庭における父親の希薄さ、家族の崩壊という主題と重なり、恐怖を超越して深い感動を覚える名作。

「俺は誰だ。俺の核にあるものは、何なのだ」

著者
乃南 アサ
出版日
同じ殺人事件の、一方は加害者、もう一方は被害者の独白。 そこそこ豊かな家庭で育ち、末っ子で甘やかされた穏やかな男と、貧しい家に生まれ育ち、会社でも家庭でも居場所のない男。兄弟以上の絆で結ばれていた2人の間に、軋轢など生じるはずがなかったのだが……。

加害者は殺意が芽生えて以来、3年がかりでゆっくりと育てていった。なぜ人は人を殺し、他人の生を否定するのか。そんな問いに延々と向き合っていく。

「鬼哭」は被害者が刺されてから息を引き取るまでの、遠退く意識の中での走馬灯だ。幾度も反芻される加害者とのやり取りに、孤独に怯え、同時に陶酔していた男の哀愁を見る。結局、俺は幸福だったのだろうかと自問自答する哀れな末路に、人の業と因縁について改めて考えさせられた。

「我が家の鬼畜は、母でした」

著者
深木 章子
出版日
2014-04-15
保険金目当てで家族に手をかけてゆく母親。巧妙な殺人計画、殺人教唆、資産収奪ののち、末娘だけが生き残った。徐々に見えてくる事件の真相は、読者を鮮やかに裏切っていく。

著者は元弁護士。法律関連の生々しく精密な描写は流石だ。一家の呪縛と狂気は壮絶だが、取材形式のエピソードによる見事な叙述トリックに感服した。テンポ良く一気に読ませてくれる作品。