恋愛漫画のヒロインは人並み外れた美形が多いものですが、本当に人ではないヒロインの漫画もたくさんあります。今回は可愛らしい宇宙人がメインヒロインの恋愛漫画ベスト5をご紹介します。
高校生1年生の佐藤悠太が、同級生の奥園愛恋(おくぞのあいこ)の自室に招かれました。悠太は成績優秀、スポーツ万能のイケメン少年。対する愛恋は人付き合いの苦手な、少し野暮ったい眼鏡の少女です。ちぐはぐと言えばちぐはぐですが、傍目には初々しい恋愛一歩手前の関係に見えます。
悠太の本名はルテラ・ルンタッターン。その正体はクラゲ星人で、彼は危機に瀕した母星を救うために派遣された心理学者でした。彼は学校教師、鈴木優子になりすました同族のスーア・スダララッターのサポートを受け、ある思惑から地球人少女に近付いていました。一方の愛恋も、悠太に対してある思惑がありました。
宇宙人と地球人の思惑は、偶然にも一致していました。それは――セックス!
- 著者
- 中島 こうき
- 出版日
- 2017-02-09
日本人女子の恋愛観を軸に、恋愛に無知な宇宙人が振り回される様子を描いたSFラブコメディです。
悠太ことルテラ・ルンタッターンの目的は、地球人が生来的に持つ優秀な遺伝子交配手段である有性生殖能力の獲得と、その前提条件となる恋愛感情の研究。平たく言えば、宇宙人の進化のため、地球にセックスを学びに来たのでした。
セックスと一言で言うと、どうしてもいやらしく考えてしまいがちですが、本作ほどあけすけに表現されると面白おかしく思えてきます。生殖の概念のない、まっさらな状態からなら、セックスはさぞや不思議で興味深い行為に映ることでしょう。
本作のもう1つ面白いところは、宇宙人の恋愛研究、セックスの対象にされている愛恋。眼鏡をかけて一見理知的で清純な彼女が、実は見た目とは裏腹なムッツリスケベということです。小学校、中学校と女子校で過ごしてきた彼女は、これまで男子とは無縁の生活でした。高校でようやく打ち解けたルテラ(悠太)は、イケメン高偏差値で彼氏にするには100点満点。
地球人女子なら誰でも良かったルテラ。高校デビュー出来なくて寂しかった愛恋。かくして両者の思惑は一致したわけです。勿論、愛恋は悠太や鈴木教師が宇宙人であることを知らず、逆にルテラ達宇宙人は、自分達の最終目標であるセックスを愛恋が求めていることを知りません。
お互い目的は一致しているのに、無知と無理解から予想外、あるいはラブコメ的に想定内のすれ違いを繰り返してしまいます。セックス目的の宇宙人と地球人は、果たして地球基準で当たり前の恋愛をすることが出来るのでしょうか?
ネミミとゆりこは気楽に話し合う友人同士。ある時、優しいゆりこはネミミに捨て犬を拾ったことを打ち明けます。それは人間の3倍はあろうかという、犬らしき巨大生物。優しいゆりこは、目の前に落ちてきた虫も拾ったと言います。見るもおぞましい巨大な節足動物でした。
またある時、不可思議な奇声を上げたゆりこは、スカイフィッシュと称する巨大な謎の生物を空間から引きずり出して見せました。
ゆりこの異様さを薄々感じ取っていたネミミは、夏休みの前日に彼女の自宅に招かれました。そこで、自分は女の子が好きな宇宙人であると告げられます。
- 著者
- 木村 享平
- 出版日
- 2016-06-23
女の子大好き宇宙人ゆりこと普通の女子高生ネミミのナンセンス日常コメディです。
宇宙人と言っても、ゆりこは長い黒髪の似合う日本人にしか見えません。しかし、言動は異常そのもので、見たこともない奇怪な巨大生物を拾ったり、従えたりするところは衝撃的です。
また、女の子というかネミミへの執着心も凄まじいものがあります。ゆりこの論理感なのか宇宙人の性質なのかは不明ですが、ネミミとことに及ぶためには一切手段を選びません。そんなゆりこですが、ネミミへの好意は本当らしく、ネミミに嫌われることを恐れて宇宙人だということを隠していたほどです。
ゆりこの少し不思議で、かなり異常な日常に巻き込まれる形になったネミミ。驚きはしたものの、彼女はそれを受け入れます。妙な出来事や出自などよりも、大切な友人と過ごす時間を優先したのです。2人の過ごすちょっと変わった夏休みは、まだ始まったばかり……。
県立青箱(せいしょう)高校の新入生、広瀬岬一(ひろせこういち)は、入学早々に仮面を被った少女に追いかけられます。命をもらう、と尋常ではない身体能力で岬一に迫る少女。
彼女の名前は大鳥希。岬一の先輩に当たる2年生です。希は岬一に思いがけないことを告げます。自分がオルベリオ星人であること。10年前の事件で瀕死の岬一を助けたこと。その時に移植した心臓が彼に同化してしまったこと。そして、心臓が取り出せなくなった代わりに、岬一を仲間に引き入れたい、とあろうことか彼を地球侵略に巻き込もうとするのでした。
希の発言をただただ異常と思った岬一は拒否します。しかし、そんな岬一の思惑をよそに、宇宙人の侵略の手は彼のすぐそばまで迫っていました……。
- 著者
- 小川 麻衣子
- 出版日
- 2012-07-12
宇宙人の少女と、地球人なのに宇宙人側に着かざるを得なくなった少年のSFラブコメディです。
主人公の広瀬岬一は人より小柄ですが、ごく普通の少年でした。双子の兄凪と9歳年上の龍介、そして祖父の豪志の4人家族。軟派かつ病弱な凪と違い、一度始めたことは最後までやり通す律儀な性格で至って健康体です。しかし、そんな岬一の生活が、希との出会いで一変します。
ヒロインの大鳥希。可愛らしいと評されはするものの、1年生時には大半を病欠、復学してからも奇行を繰り返すことで有名な女生徒でした。当然、知り合いも友人もいません。その正体は侵略宇宙人と呼ばれるオルベリオ星人。見た目は一般的な日本人女子高生ですが、常人離れした身体能力と、口にした言葉で望む現象を引き起こす「魔法」を使います。
希によると、地球は「港」と呼ばれる防護壁のようなもので宇宙人から守られており、オルベリオ星人である彼女は「港」を管理しているそうです。ところがどうやら、その「港」は岬一に移植した心臓に関係しているらしく、彼が心臓と同化した結果、「港」の封鎖機能が低下しているようで……。
それを機に、数々の侵略宇宙人が岬一の周囲を跋扈し始めます。「港」がある限り、宇宙人の本隊が地球に到達することは出来ません。本格進出を阻む「港」を狙った、少数の尖兵が岬一の日常を脅かすことになります。そこで、希は岬一に提案します。
「2人で一緒にこの星を征服しましょう!」(『ひとりぼっちの地球侵略』より引用)
彼と、彼の日常を守る代わりに、自分の地球侵略に手を貸すようにと。これまでたった1人で地球に派遣されていた希。彼女が岬一に与えた心臓は、地球人の肉体をオルベリオ星人のものへと徐々に変質させていました。岬一は希にとって、地球で初めてにして唯一の仲間と呼べる存在になっていたのです。
こうして岬一と希は協力関係になりますが、岬一の日常に接するうちに希の心境にも変化が現れます。人間らしい感情を得て、岬一に惹かれていく希。やがて岬一の大事なものが、彼女の大事なものになっていきます。
設定だけではシリアスに感じられますが、心の交流の肝と言える日常パートが微笑ましいこと、宇宙人との戦闘も凄惨ではないことから、SFが苦手な方でも楽しめるでしょう。
自らを侵略宇宙人と名乗りながら、「壁」を管理し、地球を守る希。果たして彼女の、そしてオルベリオ星人の真の目的とは一体なんなのでしょうか?
結城リトは恋愛ごとには奥手の男子高校生で、クラスメイトの西連寺春菜へなかなか告白出来ずにいました。そんなある日のこと、リトが風呂に入っていると、湯船から全裸の少女が現れました。ララ・サタリン・デビルークと名乗った彼女はデビルーク星の王女。生来のお人好しであるリトは、追われるララをかばって、ララの家出騒動に巻き込まれてしまいます。
騒動の翌日、リトはついに春菜に対して想いを告白しました。しかし、ちょうどそこへやって来たララが告白に割り込む形になり、リトがララに告白したと誤解されてしまいます。真に受けたララは彼を婚約者候補と定め、結城家で共同生活を送ることに。以後、リトの恋の三角関係に起因する様々なトラブルが彼を襲うようになります。
- 著者
- 矢吹健太朗、長谷見沙貴
- 出版日
- 2006-11-02
少年漫画では群を抜く際どいお色気で知られるラブコメ漫画です。
リト本人は人畜無害でお人好しのキャラとして描かれますが、彼の持つ最早超常現象とも言えるラッキースケベ体質が本作最大の特徴でしょう。
ラッキースケベとは、幸か不幸かはともかく、言葉通りに意図せずしてエッチな状況に立ち会ってしまうこと。従来のラブコメでも、女の子のスカートが風でまくれてパンチラしたり、水着がほどけるなどということは珍しくありませんでした。従来のそういった表現は少年誌的に健全な範囲でしたが、本作においてはレベルが違います。
パンチラなどは優しい方で、ララをはじめとするヒロインのストレートに裸体が出るなど際どい表現が多数あります。その上、リトがなんらかの弾みで、そのような状態の女の子の胸や股間に顔を埋めるなど、規制の限界に挑戦しているとしか思えません。
デビルーク星の第1王女であるララは、地球基準の常識こそないものの、銀河有数の頭脳の持ち主で発明家。凄まじい性能の発明品を開発するのですが、どれも何かしらの欠陥が存在し、その欠陥が引き金になって様々なトラブルが起こることもあります。
ララの誤解から始まった婚約者候補の選定。ララに振り回されるリトの日常ですが、学校生活では意中の春菜以外にも古手川唯などの別の魅力的な女の子も登場します。ララの幼馴染みや、その姉妹、果てはララの命を狙った刺客までやってきて、望まぬ一大ハーレムが築かれていくことになります。
主人公の諸星あたるは無類の女好きで、ガールフレンドの三宅しのぶに愛想を尽かされてしまいます。あたるは旅の僧、錯乱坊に類い希な凶相を持つと予言されました。予言は的中し、彼は地球侵略を目論む強大な宇宙人である鬼族から、地球代表として一騎打ちの相手に選ばれてしまったのです。
対戦相手は鬼族代表の娘、ラム。一騎打ちの形式は鬼ごっこで、10日以内にあたるがラムの頭の角に触れることが出来れば地球側の勝ちというもの。空を飛べるラムにあたるは大苦戦。全地球の責任を負った彼にやる気を出させるため、しのぶは勝利すれば結婚するとそそのかします。
俄然やる気の出たあたるは奇策を弄し、無事にラムを捕まえることに成功。結婚だ、と喜び勇みます。ところが、それをラムは自分への求婚と勘違い。地球は侵略を免れますが、ラムが許嫁として諸星家に住み着くことになります。
- 著者
- 高橋 留美子
- 出版日
- 2006-11-17
1980年、小学館漫画賞少年少女部門受賞。高橋留美子の代表作で、サブカルチャーに後々まで影響を与え続ける、ラブコメの金字塔的漫画です。
前述のあらすじに、どこか既視感を覚える方もいらっしゃるでしょう。本作は当時としては斬新な内容、それまでなかった魅力的なキャラで以後の漫画界、アニメ界に多大な影響を残した、いわばラブコメ漫画の始祖的存在。見覚えがあるのも当然で、なぜなら本作が源流だからです。
ヒロインのラムは、ある種のアイコンとして、ほとんど崇拝に近い人気を集めるキャラ。角が生えている以外は地球人の美少女と変わらず、虎縞模様のビキニを日常的に身に付けています。飛行能力以外に、ラムの代名詞的な超能力として放電能力があり、あたるの浮気などへの制裁としてしばしば使われます。
ラムをはじめとする鬼族特有の「~だっちゃ」という語尾も特徴的で、「ラム語」「ラムちゃん語」などとも呼ばれ、本作を代表する要素の1つになっています。
主人公の諸星あたるは、非常にだらしない性格で気の多い男。美人と見れば声をかけ、セクハラもしょっちゅう行います。しかし、押しかけ女房と化したラムにはなぜか冷ややか。それも1つ屋根の下で暮らすうちに変化し、徐々に辛辣なのは表面上だけで、心の中では大切に想うようになっていきます。
物語は基本的に1話完結で、あたるとラムの日常や、ラム関係で乱入してくる宇宙人の話が繰り返されます。ラムは常にあたる一筋ですが、当のあたるはまったく素直にならず、しのぶや養護教諭のサクラ、ラムの友人である弁天などばかり追いかけます。
最後の最後、本作の最終回で明かされるあたるの本心は実に感動的です。最終回の2人のやり取りは、ラブコメ漫画のみならずサブカル界に残る感動のシーン。そんな本作こそ、宇宙人がヒロインの恋愛漫画ランキングベスト1位に相応しいでしょう。
いかがでしたか? エンタメの基本はコミュニケーションにある、とも言われます。惑星間レベルの異文化となると何から何まで別次元のスケール。しかし、こと恋愛に関して大差ないのは、ご都合主義と捉えず、ロマンチックなことと思いたいです。