怖いモノに不用心に首を突っ込むのは剣呑だが──ミイラ取りがミイラになる。心霊スポット巡りなど、本当にやめた方がいいです──エンターテインメントとして楽しむ分には、客観的に眺めている分には、カタルシスが得られ、生の実感に立ち返ることが出来て、なかなか有り難いものではないだろうか。 今回は怪談本をいくつか紹介してみようと思うものである。
カランコロンとやって来た嬢さまの幽霊、やがて男は取り殺される……誰もが知っている牡丹燈籠。出典は、中国の「剪燈新話(せんとうしんわ)」から。だが円朝が作り上げた本編は実はもっと長く、縦横無尽に筋があっちに飛びこっちに飛び、複雑な因縁話の様相を呈している。嬢さまの件はまるで導入といった扱い。円朝がこれを作ったのが二十三、四歳の頃というから、その天才ぶりがうかがいしれよう。
- 著者
- 三遊亭 円朝
- 出版日
- 2002-05-16
岡本綺堂の怪談は、時代が変わっても再版され続ける。つまりそれだけ色褪せないということだろう。まず何といっても文章が上手い。感情的にならずいたずらに扇情的にもならず、語彙も的確で品があり、怪談の文体かくあるべしといった筆致である。タイトルがまたいい。「猿の眼」「窯変」「一本足の女」、別な本だが「停車場の少女」。いったいどんな話なんだろうと、想像力をかき立てられる。
- 著者
- 岡本 綺堂
- 出版日
- 2006-05-11
こちらは実話怪談集。いきなり余談だが、実録ものは怖い。リアリティのある内容もさることながら、手元に置いておくとロクなことがない。これがまたハマると何かに憑りつかれたかのように集め出してしまうもので、僕自身、現代実話怪談の嚆矢「超怖い話」シリーズから「新耳袋」あたりまで、新刊が出る度にせっせと買い溜めていたものだ。
- 著者
- ["木原 浩勝", "中山 市朗"]
- 出版日
最初この本を読んだのは中学生の頃だったか。当時安岡章太郎が好きで、遠藤周作が「第三の新人」の仲間だというので、興味を覚えて手に取ったかと思う。久しぶりに読んでみたくなり、アマゾンで古本を購入した。
- 著者
- 遠藤 周作
- 出版日
本と音楽
バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。