ある日突然届いた荷物を開けてしまったことから現実そっくりな世界で殺し合いをすることになるというパニックホラー漫画『ブラックアウト』。謎だらけの世界での命の奪い合いにハラハラする作品です。今回は本作の魅力をご紹介!ネタバレありなのでご注意を。 アプリにて無料で読むこともできます。
- 著者
- ["黒井 嵐輔", "前川 かずお"]
- 出版日
- 2015-05-11
人気パニックホラー漫画『ブラックアウト』は「E☆エブリスタ」で人気だったWEB小説を原作とし、漫画でも多くのファンを獲得しました。
『奴隷区 僕と23人の奴隷』や『神様の言うとおり』などをはじめとし、近年ブームを起こしているパニックホラー漫画。『ブラックアウト』も同じジャンルに分類されますが、他の漫画と異なる魅力は登場人物。歴史上の人物や昔話のキャラクター達のコラボには胸が熱くなります。
和也はこれといった特技もない平凡な18歳のフリーター。毎日が同じ繰り返しの日々に感じられ、退屈している少年です。日常に刺激を求め、ゲーム世界のような非現実的な世界に憧れを持っています。
働かなくても自由に金を奪って使ったり、好き勝手に飲み食いをしたり、どこへでも飛ぶことができたり、魔法をつかったり、そして罪悪感なく人を殺したり……。
少し恐ろしいことを考えるほど現実に飽き飽きし、欲望のまま生きたいと思うようになっていたのです。
そんな和也のもとに、夜中だというのに宅配便が届きます。その箱に書かれていたのはブラックアウトという文字。中身を見てみると「何でもありのオープンワールド 遊んでリアルマネーをゲット」という触れ込みのゲームセットが入っていました。
それが届いた夜は怪しいと思って手をつけなかった和也ですが、翌朝暇つぶしにプレイしてみることにします。説明書に書いてある通りに名前を入力し、リストバンドを装着、ヘッドセットをつけると、そのヘッドセットはとれなくなり、そこから説明音声が流れ始めます。
「新規プレイヤーを確認いたしました
プレイヤー狩りには充分お気をつけください!
ただ今のあなたの単価は45万となっております」(『ブラックアウト』1巻より引用)
そして和也の視界は暗転。
目を覚ますとそこはいつも通りの自分の部屋でした。しかしリストバンドもヘッドセットも着用しておらず、部屋にはブラックアウトと書かれたダンボールが増えています。
ダンボールの中を見てみると「それでは早速冒険へ出掛けてみよう!」というメモ書きが入っており、和也は本当にゲームの世界に入り込んでしまったことに気づき……。
架空の世界だと知った和也は自分だけの世界に究極の現実逃避だとご満悦。しかし何をすればいいのか分からないので説明書を探し始めます。
その途中でAランクの武器と書かれた刀を見つけます。試しにそれを持ってみると、自然と体が動きます。それに感動していると、外から大きな奇声が聞こえてきます。
不思議に思って外に出てみると、外はいつも通りの見慣れた景色。部屋だけでなく、外もどう見ても現実世界のようなのです。しかし人も車もいない不気味なほど静かな町に警戒心を抱く和也。
ちょうどその時ダンボールに入っていたスマホが鳴り出します。画面には「警告 敵接近中」の文字が。
たいていはスライムや小動物など、簡単に倒せる敵だろうと普通のゲームのように思っていた和也ですが、そこに出てきたのは何と人間。しかも相手は屈強な男率いる大人数の集団なのです。
レベル15の和也に対し、レベル21から74までいる彼らは有無を言わさず襲ってきます。和也は不思議な声の助けによって何とかその攻撃をまぬがれますが、腕に切り傷を負い、その痛みが本物であることに衝撃を受け、パニックになってしまいました。
そのあともとにかく聞こえてくる声の助言の通りに走って逃げる和也ですが、着いた先は行き止まり。和也は多少痛くても我慢するから死んでゲームオーバーになってほしいと願います。
しかし彼が生き残るのをあきらめたその時、またしてもスマホが鳴りました。画面には「乱入者登場 沖田総司」の文字が。
そして和也が目にしたのは何とレベル2458という強さの和服の麗人。彼は圧倒的な力で集団を焼き尽くすと、今度は和也に近づいてきて……。
沖田総司に恐れをなす和也でしたが、意外にも彼は優しく、近くで傷の手当をしてもらうことになりました。
そこで沖田総司はハンドルネームで、本名は優だと知る和也。本名で登録した方が優良プレイヤーとして認められると聞かされますが、もうこのゲームはしないから関係ないやと言う和也。しかし優はある衝撃の事実を告げます。
「このゲームは止められないよ?
まぁエンディングまで辿り着ければ止められるかもしれないけど…」
(『ブラックアウト』1巻より引用)
しかしあくまでそれも仮定の話。まだ誰もエンディングまでたどり着いた者はいないと言います。
現実の世界に戻れないのかと落胆する和也。しかし優は現実の世界には戻れると告げるのです
「戻り方は後で説明するよ
でも現実に戻ったらやらなければならない事があるんだ
友達を2人この世界に引き込まなければいけない!
それが出来なければ君は死ぬ事になる!」(『ブラックアウト』1巻より引用、中略あり)
実際には紹介するのは友達でなくとも住所と氏名、電話番号が分かっていればいいとのこと。実は最近テレビで話題になっている原因不明の突然死はこの世界での死や友達を紹介できなかった者の末路だというのです。
こんな恐ろしいデスゲームに誰を誘えばいいのか迷う和也。しかしそんな時にも優や和也を狙う敵は現れ、死の危機がつきまといます。少しの猶予も許さない展開。優は和也にこう言います。
「和也君 残念だがもう後戻りは出来ないんだ
とにかく君はいったん現実に戻れ
そして48時間以内に…
友達2人をこの世界に招待するんだ!」(『ブラックアウト』1巻より引用)
多くの作品が存在するパニックホラー漫画ですが、ブラックアウトだけの魅力としてロールプレイングゲームの様な形でストーリーが進んでいくことが挙げられます。
バーチャル世界に入ったプレイヤー達は、戦闘を重ねるごとにレベルが上がるシステムの中で、多くのクエストをこなしていきます。クエストを乗り越えるたびにレベルが上がり、強くなっていく主人公。まさに読んでいると自分がプレイしているかの様な気分を味わうことができ、ゲームが好きな人達にはたまりません。その他にも、何度話しかけても同じ返事しかないNPCのキャラクターやドロップする武器がランク付けされているなど、RPG要素満載の作品になっています。
主人公達はバーチャル世界から抜け出すために、物語のエンディングを迎えなくてはなりません。そのエンディングを迎えるために必要なのがキークエストと呼ばれるクエストのクリアでした。それらのほとんどは有名な童話や昔話をテーマとしたものになっていて、桃太郎やかぐや姫などを題材にしたクエストが多く登場します。
主人公達が最初に挑むことになったのは桃太郎のクエストです。内容は至って簡単で、おじいちゃんおばあちゃんを守るため鬼を退治するというもの。クエストを達成するために桃太郎の世界に飛ばされた主人公達でしたが、目を開けるとびっくり、そこには自分達の何倍もの大きさのおじいちゃんとおばあちゃんが恐ろしい顔でこちらを見つめていました。
早速きびだんごをもらい、鬼ヶ島へと船を漕ぐ4人。なんだこんな簡単なのかと余裕綽々の様子でしたが、仲間の1人が海の中に無数の死体の影を発見します。ただの海のはずなのに何故こんなに死体があるのか、と不思議に思う主人公ですが、その瞬間、船のすぐ側に大型ミサイルが飛んできました。そこで、桃太郎は大量のミサイルを避けながら海を越え、強敵の鬼を退治しなければならない超難関クエストであった事にようやく気が付きます。果たして彼らは、桃太郎のクエストを生き残ることはできるでしょうか……。
他にも、竹取物語のクエストでは蓬莱の玉の枝を1番早くかぐや姫に届けた者がクリアとなっており、基本的に原作のストーリー展開に沿ったクエストになっています。童話や歴史上の人物が登場する漫画が好きな方にはぴったりの作品かもしれません。
ひょんなきっかけから、デスゲームに巻き込まれてしまった和也。いきなり複数の敵に囲まれたものの、沖田総司に扮する少年・優の助けにより九死に一生を得ることに。しかし、和也を待ち受けていた次のミッションは、仲間を2人現実世界からこのデスゲームの世界に連れてくること……。失敗すればもちろん命を落とすことになります。はたして彼は、生き残ることが出来るのでしょうか。
- 著者
- ["黒井 嵐輔", "前川 かずお"]
- 出版日
- 2015-05-11
冒頭の日常生活から一転し、急にバトルシーンへと突入する『ブラックアウト』第1巻。1話から中盤まで臨場感のある戦闘シーンが続きます。
「毎日が繰り返しの生活に飽き飽きしてて、退屈なのは確かだ……」
(『ブラックアウト』1巻より引用)
生きることの意味を見失い、堕落した生活を送っていた和也ですが、デスゲームの世界に迷い込み、命の危険を強く感じることで、次第に俺はまだ生き延びたいと思い始めます。デスゲームを通して、強くなる生きることへの思いや執着心。和也の移り変わっていく心情にも注目です。
無数の鬼に囲まれて、主人公の和也は叫びます。
「死ぬ!死ぬ!死ぬ!!!」(『ブラックアウト』2巻より引用)
桁外れに強い敵が続々と登場する中で、何度も死にそうになりながらクエストをくぐり抜けて行く和也達。彼らはこの世界から抜け出し日常世界へと戻るために、前へ前へと進んでいきます。
- 著者
- ["黒井 嵐輔", "前川 かずお"]
- 出版日
- 2015-11-11
本格的なクエストが始まる第2巻。桃太郎のクエストから始まり、かぐや姫のクエストと、次から次へと新しい試練がやってきます。
ほとんどのクエストで昔話が題材とされているので、歴史上の人物や昔話のキャラクターが助っ人になる熱い展開が続きます。そのため1巻に比べると、ほとんどが戦闘シーンで埋め尽くされる第2巻。手に汗握る展開の連続に注目です。
2巻から描かれてきた、かぐや姫クエスト。蓬莱の玉の枝を手にするために、和也たちは険しい岩山を登っていきます。
NPC(ノンプレイヤーキャラクター)の与作いわく、頂上の巨大なキノコのような形をした岩の上に、求める枝があるとのこと。しかし岩にはつかまる突起物がなく、身長の10倍ほども高さがあるため、簡単には登ることができません。
しかも、岩に登ったことはないはずなのに、与作はてっぺんに枝があると言い張るのです。彼の発言に困惑する和也たち。はたして彼らは無事にクエストをクリアして、先に進むことができるのでしょうか?
ブラックアウト
3巻から現れた新しいクエストは従来の昔話を題材にしたものではなく、自分自身の過去と向き合うクエストでした。テーマは簡単で「現れた人間を殺せ」というただそれだけのものです。しかし試練が始まってみると、和也の目の前に現れたのは、これまでを共に乗り越えてきた仲間達で……。
物語の最終巻にあたる第3巻。これまで一緒にクエストを乗り越えてきた仲間との絆がテーマになっています。主人公の和也は仲間を助けることを選ぶのか、自分自身の命を選ぶのか。そして彼らは、現実世界に戻ることが出来るのでしょうか。
- 著者
- ["黒井 嵐輔", "前川 かずお"]
- 出版日
- 2015-05-11
さえない生活を送っていたフリーター男子が、ある日突然、怪しげな箱を開いてしまったことから始まったゲームの世界へのトリップ。興味本位で試してみたところ、初めから殺し合いが始まるデスゲームな展開で……。
ストーリーが進むにつれて、歴史上の人物や昔話に登場するキャラクターと出会います。主人公は次第に仲間を増やしていき、ゲームのクエストに挑戦していくのです。
はたして主人公は、このゲームから抜け出すことはできるのでしょうか?
『ブラックアウト』は、無料のスマホアプリで読むことができます。ストーリーが気になった方は、ぜひ試してみてくださいね!
全3巻と気軽に読みきれる『ブラックアウト』。スリル満点のパニックホラー漫画を味わってみてください!