世の中の「なぜ?」になんとなく答えてくれる本
幼い頃とにかく「なんで? どうして?」とよく聞く子供だったらしく、親としたらかなりめんどくさい子供に違いなかったと思うのですが、図鑑に飽きてしばらくした頃、コタツのテーブルの上にこの本を見つけました。

みるみる理解できる相対性理論

著者
佐藤勝彦
出版日
『Newton(ニュートン)』です。わけがわからないまま毎月読んでいたのですが、動物や遺跡など写真も豊富にあるので子供でもわからないなりに楽しめました。そして「わからないまま理解する」という、今思うと今の自分の表現を形作る大事なテクニックを鍛えられたような気がします。

この『ニュートン別冊 みるみる理解できる 相対性理論 改訂版』は、大人になって「相対性理論の概要をなんとかわかっておきたい」と思って、何冊か読んだ本の中で一番わかりやすく親切なものでした。定期購読したい雑誌No.1です。
次の一冊は歴史、世界史を知りたくてウィリアム・H・マクニールの『世界史』や、いろんな本を買って途中まで読んで諦めてはまた買う、を何度か繰り返していた時に、本屋さんで見つけた本です。

137億年の物語

著者
クリストファー・ロイド
出版日
2013-07-12
この宇宙の始まりから今日までのことがコンパクトに(137億年ぶんとしたらかなり)まとめられていて、それをタイトル通り物語として読ませるこの著者に感心させられました。「自分の子供に読ませるため」という著者の動機のせいもあるのかもしれません。個人的にはもう少し高くてもいいので良い紙質のバージョンがほしいです。一家に一冊。

ピダハン

著者
ダニエル・L・エヴェレット
出版日
2012-03-23
子供の頃に見たドラえもんの大長編で、のび太が「ジャイアンとスネ夫がもうこの地球上に謎の文明なんてないっていうんだー(泣)」、といつものごとくドラえもんに泣きついて、ひみつ道具でアフリカのコンゴを衛星で撮影していると、確か“スモーキーフォレスト”と呼ばれる森の中にまだ見ぬ文明の石像があって犬みたいな人が住んでいた……的な話があった。

で、確かにそんな派手な発見はもうないのかもしれないけれど、『ピダハン』を読んでいるとそれに近い知らないことがまだまだあるんだろうなと思わせられる。たとえば、アマゾン奥地に住む彼らの言語には色や方向や挨拶に相当する言葉がなく、過去や未来といった概念もないという。

ただ目に見える今だけで生きて行くと言えば聞こえはいいですが、そのために失うものも多いわけで、親類や子供ですら救わないというエピソードに自然の中で生きて行くことのシビアさと、文明の素晴らしさとそれによって失われたものを考えさせられる良書です。

超訳「資本論」

著者
的場 昭弘
出版日
2008-04-23
「日本はまだマシ」と言われ続けてますが、少しずつ格差が広がっているのを実感する中で、「なんでこんなことになってるんだろう? 資本論読んでみよう」と数年前に本屋で少しめくっただけで眩暈がしたので、比較的読みやすそうなこの本を買いました。僕にはこれでも難しかったです。なので、今のところ分からないままです。

「そんなこと知って何になるの?」と言われれば、実際どれだけ実生活の役に立つかはわからないけれど、そのことでぼんやり見えてくるものがあるのも事実です。アマゾンの蝶のはばたきが太平洋で台風になるように、気づかないだけで何か役に立ってるかもしれないですね。

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    バンドマンやソロ・アーティスト、民族楽器奏者や音楽雑誌編集者など音楽に関連するひとびとが、本好きのコンシェルジュとして、おすすめの本を紹介します。小説に漫画、写真集にビジネス書、自然科学書やスピリチュアル本も。幅広い本と出会えます。インタビューも。

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